この的も貴方の心も射抜いてあげましょう。
□MONSTER GENERATiON
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それから日が過ぎた。
写真撮影の跡に完成したフライヤーや、サイトも好調で、当日のライブには期待がされていた。
しかし、当日―――
「ひーふーみー…9人か。」
「…やっぱり、声が小さかったのかな…」
「あんま落ち込むなよ。初めてのライブで人が集まったんだ。それだけでも凄いことだ。それに、この人数ならあの子たちも緊張しないさ。」
「うん…」
落ち込む妹の頭を撫でて励ました。
「さ、二人はあの子たちの所に行ってきなさい。大丈夫この損失なんて僕たちが日の丸弁当で我慢すればいいから。」
父の声に促されてIDOLiSH7の待っている控室に向かった。
「お客さんが全然入ってない!?」
「はい…すみません、皆さんが悪いんじゃないんです。こちらの落ち度です。本当に申し訳ありません…!」
紡と一緒に結実も頭を下げる。
「それで?」
「え?」
「全然といっても何人か入るんでしょう。」
一織の声で顔を上げる。
「1人?2人?」
大和も聞いてくる。
「え…9人。」
紡が答えると7人は不満なんて言わずに暖かく受け入れ、ライブに向けての志気を高めていた。
「大和、気遣ってくれてありがとね。1人とか2人とか言って紡が9人て言いやすいようにしてくれたんでしょ?」
「さぁ?なんのことでしょうね。」
なんのことやらと顔を逸らす大和に結実は笑みをこぼした。
「大和さん、結実さん、何話してんの?」
「大和が意外にいいやつだねって話。」
「ふーん…大和さん、号令やってよ!」
「えー」
「あんたが一番おっさんだろ!だからリーダー!」
「まだ22だっての。」
「三月、その理論だと私はおばさんになるんだけど〜?」
ぬうっと三月の後ろに立ち、肩をつかむ。
「いや、結実はおばさんじゃないですよ!ほら、大和さん!」
「はいはい。」
7人が円陣を組み、結実と紡は離れる。
「マネージャーも入って!!」
紡は陸に、結実は大和に手を引かれて円の中に入る。
「別に私はいいって…」
「お前だってマネージャーと同じくらい今日の為に準備してたんだから入れって。」
離れようとする結実の背中を大和が引き留めた。
「ったく…わかったよ。」
「よっしゃ、行くぞ!!」