この的も貴方の心も射抜いてあげましょう。
□MONSTER GENERATiON
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結実と大和は小鳥遊家に向かっていた。
「なあ、なんで俺まで一緒に来てんだ?」
「運びづらいもんがあるからね、父さんが大和に手伝ってもらえってね。」
「タマに頼めばいいだろ。」
「環はあそこにいなかったし、大和が近くにいたから。」
あと、大和は同い年だから話しやすいし。と結実は付け足した。
「で?何を取りに行くんだよ。売ったらいい値でもするのか?」
「まあ売ったらいい値はするだろうけど、多分それより稼げる。」
どこか自信満々の結実の横顔に疑問を持ちながらも大和は歩を進めた。
ようやく小鳥遊家に到着した二人。
結実が家の裏手に周って行ったので、大和も後を追った。
小鳥遊家の裏手はどこか質素で、物置と隣家との塀に張られた的。
野球でもやっていたのだろうかと大和がそれを見ていると、物置に入って行った結実が声をあげた。
「大和ー!ちょっと手伝ってーー!!」
物置の中で何かを取り出そうと結実が格闘していた。
「大和、こっち。こっち引っ張って!」
物置からわずかにのぞく深緑の布を指した。
「これか?」
「ん、そう。そーっと引っ張ってね。」
結実は大和が布を引っ張るのを確認した後、布の反対側をどうにか出してきた。
女性の平均身長より少し小柄な結実以上のサイズの深緑の布。
引っ張った時の感覚から、細い棒状の何かだった。
「結局何なんだよ、これ…すんげぇ長いし。」
「いづれわかるから楽しみにしてな。」
やはり結実の表情は自信に満ち満ちたようで、大和の疑問は深まっていくばかりだった。