風は。

□風は。
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数年ぶりの日本の空。イタリアと違って青く澄み渡っているよう。

「待っててね、Mio fratello minore(私の弟)」




風の噂によれば私の弟はこの並盛にいるらしい。

「並盛かぁ、小さい時に来たよなぁ。」

私が向かった先は並盛中学校。一つ年下の弟はそこに通っているらしい。

(そういえばあの時の子も…)

会えたら嬉しいなぁ、なんて呑気なことを考えながら学校に忍び込んだ。
さてさて、どこにいるのか…校舎の様子を伺っていると、後ろに誰かが立った。

「君、ここで何してるの。」
「あはは、すみません。ちょっと知り合いを探しに…」

どうせ警備員だろうと踏んで適当に誤魔化そう振り返ると、懐かしい顔があった。

「ん?君は…」

相手もどこか引っかかっているようだ。

「「…」」

二人で顔を見あって記憶の糸を探る。
「あ、思い出した。」

先に思い出したのは私だった。

「ヒバリちゃんでしょ?雲雀恭弥。懐かしいね〜」

昔教えもらった名前。日本語に慣れてなかった頃は上手く言えなくて「ヒバリちゃん」呼んでいたのだ。

「ああ絢音か。」
「お、思い出したね。えへへ、久しぶりだね〜」
「そうだね。」

雲雀ちゃんは少し笑った。

「でも、この学校に忍び込んでいるのは関係ないよ。」

どこからともなくトンファーを取り出した。

「あれっなんか思ってた再会と違う。」

仕方なく応戦しようとしたがやめた。あとが色々面倒だ。うん逃げる。それっきゃねぇ。
向き合っていた状態から回れ右。校舎に向かって全速力で私は走り出した。
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