風は。

□黒曜
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小さい頃、並盛に来た時、まだこの街のトップは雲雀ちゃんではなかったはずだ。

十年近く前はまぁ狂暴だったけど、あそこまで酷くなかったはずなのに。

久し振りに再会できた幼なじみのような男の子が引っ越し先の絶対王者で戦闘狂になっていると誰が予想できようか、いや出来まい。

そんな絶対王者の権力にあやかり、私は並盛中学に籍を置いた。

それから色々なことがあったものだ。
…思い出せば色々あり過ぎて語りきれない…語ろうとしても労力がいるから語らないことにしておこう。



並盛に来て数カ月、私はリボーンに呼ばれていた。

「どうしたの?」

「九代目から依頼が来てるぞ。イタリアへ飛べ。」

「うわー早速過ぎる。」

「ツナが十代目になるまでは九代目から指令を受ける立場だからな。」

「んじゃ、今日中に荷物まとめて明日には発つよ。綱吉たちにはよろしく言っておいてね。」

「わかったぞ。」




その数日後に並盛は次々と風紀委員が襲われる事件が起きる。

最終的には隼人や雲雀ちゃんまで襲われる始末。

そして、私が日本に帰って来た時には、ほとんどの事が終わっていた。

ただ、隣町の黒曜ヘルシーランドに来た時、復讐者たちがこの一件の首謀者を捕えていた。

(あの復讐者が出て来たって…ちょっとした中学生の乱闘騒ぎじゃなかったのかよ…ってか捕まったのも私と変わらない歳の奴だろ?)

事件の実態が把握できてない中、復讐者を見送った。

「綱吉っ!?」

廃墟の中には綱吉、隼人、ビア姉、雲雀ちゃんが倒れていた。

「おお、絢音。」

「え、ちょ、これどういうことなの?復讐者まで出てきてるし…皆倒れてるし…」

「襲った奴らがエストラーネオファミリーの実験体でな。」

エストラーネオ…ロクなことやってない黒マフィアだったか…

「他の皆は大丈夫なの?」

「雲雀は骸にボコられたらしいがまあ、生きてるだろ。獄寺もビアンキも大丈夫だ。」

「よかった…」

姉弟の安否に一息ついた。
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