風は。
□リング争奪戦
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イタリアから私の荷物が全部そろった。
本当なら隼人に手伝ってもらう予定だったんだけど、隼人は外出しているらしい。
「ただいま。」
「おかえり、隼人。またケンカでもしたの?その怪我…」
隼人が怪我をして帰ってくるのはあまり珍しいことではない。けど、いつもと様子が違う。
「今日、街で…」
「街?じゃあ、あの騒動隼人達だったの?」
「銀髪で長髪の刀を持った男が…」
銀髪で長髪…まさか…
「隼人、まさかそいつ…黒服で声が大きかったりした?」
「何でそれ…」
「…なんでもないよ。ほら、手当てするからそこ座って。荷ほどき手伝うって約束したでしょ。」
きっと他人の空似。そう思うしか出来なかった。
「姉ちゃん、この荷物はここでいいんだよな。」
「うん。ありがと、隼人。」
「姉ちゃん、この写真…」
「!」
隼人が持っていたのは昔の写真。
「これはいいの。しまっておいて。」
「…」
写真に写るのは、数年前の私と、金髪の少年。
(まだ持ってるとか…私も未練あんのかなぁ…)
捨てられたらどれだけ楽なんだろうな…