銀魂・長編夢

□人のことを怪しんでいる時が実は一番怪しい
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「狽ョあっ!!」

「ったく…今年の新入隊士はひでェ出来だな
…おい!もっとまともな奴はいねぇのか!」

今日は土方さんが
自らが隊士に稽古をつけるということで
屯所で稽古中

『…よろしくお願いします』

女ということもあって
私の身体は大きくない

…いや、そもそも男と比べるということ
自体がおかしいんだけど…

…まぁとりあえず、何が言いたいかといえば…

「あぁ…よろしく頼む」

目の前にいる
この新入隊士のデカさが半端ないということ

「…やあっ!!」

シュッ!

『…』

目の前で木刀振り下ろされる

タン!ビシッ!

「っ!? な、何が起こった…!?」

『…何って…普通に…』

向かってきた刀を横へと流させて
後、数cmのところで
首元に刀を突きつけただけのこと

「おおお…!」

「素早い捌き方!」

『…少し動きが大きいから…
俺みたいな小柄な奴だと
簡単に間合いに入られてやられると思う』

そう言って突きつけていた木刀を引き
少し距離をとった

『じゃあ勝負ありってことで
…ありがとうございました』

それだけ言って背を向け
次の待っている人の方へ向かう

「っ…くっそぉ!!」

ダダダッ!

「お、お前…!」

「早乙女!危ないぞ!」

隊士の皆がざわつき始め
私はゆっくりと振り返った

『…』

ヒュッ! カンッ!

「な…に…!?」

グググッ…

振り返った瞬間、すぐに木刀を横持ちにして
振り下ろしてきた木刀を受け止めた

『…重たさは十分伝わってくる…

…でも、人のアドバイスは
きちんと聞いた方がいいよ

………でないと…!』


シュッ!

タンッ タンッ タンッ タンッ!

「っ…!」


木刀を押し返し
今度はこちらの番とばかりに木刀を振り下ろす

相手はそれを受け止めるのだけで
精一杯な様子で顔が苦しそうだった

『……こうやってさ…』

シュンッ…

……スッ…

「は、はや…」

『後ろ取られちゃダメでしょ

…これが木刀じゃない状態で
本当の戦場だとしたら…

ここで後ろから突かれて…おしまい』


「っ…」

「なんなんだアイツ…お前見えたか?」

「いや…ほぼ見えなかったぞ…」

「あんな小さな身体のどこに
そんな身体能力が…」

まわりがまたざわつき始めたので
今度こそ木刀を退けて下がった

『…そんじゃまた…』

回れ右をして向きを変えると
次に目の前に立っていたのは…

「お…き…たさん……?」

悪魔のような笑顔の沖田さんに
私は自然と顔が引きつった












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『っ……ふぅ…
…まだやるんですか?』

「あぁ…まだまだ出来るだろィ?早乙女…!」

ヒュッ!

カンカンカンッ!

『…はっ!』

カンッ!
…グググッ…

「おいおい…あの二人いつまで続ける気だ?」

「かれこれ一時間以上は
ずっとあーやってるもんなぁ…」

沖田さんに手合わせ願いたいと言われ
拒否する権利もなく、稽古をしていたが…
一向に終わりが見えない攻防戦

気づけば周りは稽古を終り
私たちを見ていた

「…おい、総悟
テメェそのくらいにしとけよ」

とうとう土方さんも口を出してきた

「土方コノヤローは黙っててくだせェ」

「そんじゃあさっさとケリつけろ」

「…言われなくてもわかってまさァ」

『…』


負けるのは癪だけど…
そろそろ私の身体も限界だろうし
やめておこうかな

…次の攻撃が来たら軽く受けて負けにしよう

そう思って
バレない程度に…構えを緩めたつもりだった

「…早乙女…テメェ舐めてんですかい?」

『…べつに…』

…いや、普通にバレちゃった!?

「きちんと構えなせェ…
…最後は軽く本気でやりまさァ」

『…』

真っ直ぐで真剣な瞳を見て
私はやはりきちんと構えなおした

本当に軽くなのか…それとも本気なのか…

沖田さんがどの程度で来るのかが
まったくわからない以上
こちらも…

『…全力で受け止めます』

「…フッ…そうこなくっちゃ!!」


タッ!



…来る!










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