名探偵コナン・短編夢
□シャルル
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大きく広がる水平線を
崖からただ眺めていた
「………れい…」
背後から
名前を呼ばれ、振り返る
目に映るのは
優しく笑う彼
私の恋人
『………秀一!』
ぎゅっと抱きつくと抱き締め返してきて
彼は大きな手で私の頭を撫でる
「愛してる、れい」
『私も…私もだよ…!………っ!?』
…見上げると
そこには何も無かった
背中に回していた腕の中にも
彼はいない
『秀一!…どこに行ったの…!?
…ねぇ秀一…!』
走って、走って…
ひたすら走っても彼はどこにも見当たらない
目に映るのは
深い青色が広がった海
…もしかしたら
この崖から飛び降りたら……?
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『っ……!!……はぁ…はぁ…』
目を覚ますなり
荒い呼吸をしている自分に気がつく
身体を起こして
ベッドの縁に腰掛けた
『…ごめんなさい』
私はあなたのことを忘れることはできません
それどころか
どんどん想いは募る一方で…
カタッ…
何でもない風景写真
その写真立てを手に取り
中にある写真を出した
『もうあの頃には戻れないの……?』
彼と私の唯一の写真
それを見て涙が零れた
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