名探偵コナン・短編夢

□素直に
1ページ/4ページ





※沖矢昴は料理上手という体で
いかせていただきます。







−−−−−−−−−−−−−−−−







ピンポーン


『……』






ピンポーン




『……』










ガチャッ




『沖矢ーーーーー!!!
いいかげん出て来なさいよーーー!』


「っ……はいはい、今ちょうど……」


『何よ!2回もチャイム鳴らしたのに…
ほんっと、
変なところで抜けてるんだからもう!』

ツンとした態度で
そのまま家(工藤邸)へとあがった





…今日ここに来たのは他でもない
沖矢昴に呼び出されたからである



彼は私にやたらと絡んでくる

…一度、告白されたこともある



私も……

本人の前では絶対に言ってやらないけど…


……好き



でも、ついついいつもの癖で
強く当たってしまって
私が振ってしまった形になっている


…ほんと、私ってバカ…



…だからといってまぁ気不味いから
会うのを控える
とか、そういうのは一切してないから
いいんだけど…
…やっぱり私は彼と友人止まりな気がして
どうも心のモヤモヤが晴れなかった





そんな中、今日もまた彼に呼び出されたため
こちらから出向いてやった、という訳





『…で、今日は何の用事?』

ソファーに座って立っている沖矢を見つめる

「あぁ、今日はれいさんと一緒に
料理でも出来たらいいなと思ってね」

眼鏡の奥で
細い目を更に細めながらそう言った


『はぁ?なによそれ!
私が料理出来ない事知ってて
わざとそんな意地悪言ってんの!?』

本当にありえない!

そう思って
ソファーに置いてあったクッションを投げた



だって…
私、一応女なのに…料理が全然できなくて
すごく恥ずかしい思いしてるのに…
更にそれを好きな人の前で披露しろと?

…ふざけてるとしか思えない



『私嫌だからね!!』

ふいっと顔を背けると
沖矢は冷蔵庫から白い箱を取り出した




『っ……!!』

これはまさか…

「それは残念…料理に付き合ってくれたら
あの有名なお菓子屋さんのケーキを
一緒にデザートとして食べようと
思っていたんですがね…」

『………べ、べつに…
やらない、とは言ってないんだから!
勘違いしないでよ!』

そう言って早速手を洗いに行く

「ありがとうございます」

笑いながら彼も私の後ろについてきて
手を洗った



「あ、少しジッとしててください」

『え?』


何をするかと思えば
彼はいきなり後ろから私に抱きついてきた



『ちょ、な、…何してんのっ…!』

驚きと恥ずかしさで硬直して目を閉じる私


…しかし、彼はすぐに離れた


「エプロン」

『…あ…』


目を開けてみると
彼はどうやら私に
エプロンをわざわざ着けてくれた様子


『あ…りがと……』


ボソッと呟く


「どういたしまして
…それでは始めましょうか」



そうして私達は料理を始めた












−−−−−−−−−−−−−−−−





『……こう…?』

トン…トン……トン…

「えぇ、上手です」

恐る恐る包丁を握って
キャベツを切っていく


その隣で彼は
ハンバーグを作っている




トン……トン…トン


『……ねぇ』

「ん? どうかしましたか?」

『……千切りにならないんだけど…』

頬を膨らませて拗ねる


「ちょっと待ってください」


そう言って彼は一度手を洗うと
私の後ろに立って私の手に手を重ねて
一緒に包丁を握った


『っ……』


近い近い…!


「こうやって…左手は猫の手にして…」

トントントントン…

「こんな感じでリズムよく切るのがコツです」


耳元で喋られると息が耳にかかって擽ったい


「……れいさん?
…どうかしましたか?」


近距離で顔を覗きこまれ
顔があつくなる


『な…なんでもないわよ…』

目をそらすと「そうですか?」と言って
また彼はハンバーグを作り始め

私も気を紛らわすかのように
野菜を切っていった










.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ