名探偵コナン・短編夢

□愛と好き
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──────カランカラン…




「いらっしゃいま…」


目に入った一人の女性を見て一瞬固まった


「あ、安室さん! こんにちは」

『こんにちは』


「…あ、あぁいらっしゃい
今日は…おふたりで?」

「ボクもいるよー、安室の兄ちゃん」


「…コナン君もいましたか
では3名様ですね、こちらへどうぞ」


そう言って僕は蘭さんとコナン君と…
れいさんの3人を席へと案内する



「こちらへどうぞ」

「あ、ボクこっちのカウンターがいいな!」

「どうしたの、コナン君?」

「い、いやぁ…
2人の話の邪魔しちゃいけないかなぁって…
あははは…」

両手を頭の後ろにやって
苦笑いをするコナン君


「うーん…邪魔とかそんなことはないけど
…コナン君がそう言うなら
そっちの席に座る?」

『まぁ私たちの話聞いても楽しくないよね…
……あ!
今日お客さんも少ないし、カウンターの方で
安室のお兄ちゃんとお話でもしとく?

…すみません、いいですか?安室さん』


眉を寄せながら首を傾げて尋ねられては
断れるはずもない


「えぇ、もちろんいいですよ
じゃあおふたりはこちらへ、
コナン君はこっちにどうぞ」


「すみません、ありがとうございます」

「いえいえ、お気になさらずに
…注文が決まりましたらお呼びください」

『はーい、ありがとうございます』



そう言って僕は
カウンターの向こうへと引っ込んで
コナン君の正面へ立った


奥では2人が楽しげに話をしている




「…コナン君は何かいるものあるかい?」

テーブルに肘をついて
目線をなるべく合わせて尋ねる


「じゃあオレンジジュースください!」

「かしこまりました」


オレンジジュースを注いで
コナン君へと渡す


「どうぞ」

「ありがとー」


ちらっと先ほどの二人を見てみると
蘭さんが手を振っていたので席へと向かう


「ご注文はお決まりですか?」

「はい、私はオレンジジュースで…」

『えーっと…私はフルーツパフェで!』

「…れいさんって
甘いものお好きなんですか?」

『え?えぇ、そうですが……なにか?』


「あ、いえ…
いつもは頼んでらっしゃらないから
少し気になって…少々お待ちくださいね」

「はーい」


あのタイミングで聞くのは不自然だったか…?

…いや、そんなことはないか

ちゃんと言い訳もしたし…



『…れいさんは甘いものが好き…と…』




小声で呟いて
オレンジジュースとパフェを作り
2人のところへ持って行った後
またコナン君の所へと戻った



「お待たせ、コナン君
特に話すこともないけど…
最近調子はどうだい?」

「んー、まぁまぁかな
…ところで安室さん」

「ん? なんだい?」


コナン君は手招きをして
手を口元に当てたので
僕は自然と耳を傾ける



「安室さんってさ…

…れい姉ちゃんのこと…

…好き…だよね?」



「っ、な、何を言ってるんだい、コナン君!」


驚きのあまり
少し声を張り上げてしまったらしい

2人がこちらを心配そうに見ている


「どうかしましたかー?」

「い、いえ…なんでもないですよ」


笑顔を浮かべながら僕は気を紛らわせるために
食器洗いを始めた



「否定しない…ってことは
……図星、だよね?」

「……コナン君にはなんでもお見通しか」

ため息をつきながら白状すると
コナン君は少し笑った


「よかったね、安室さん
れい姉ちゃん、
つい最近彼氏と別れたみたいだよ」

「……へぇ、そうなんだ…」


気のないような返事をしつつも
内心は少し複雑な気持ちだった


彼氏がいた
という事さえも知らなかったから…
別れたと聞いて喜んでいいのだろうが…

もし今アタックしたとしても
れいさんにまだ
元彼に対して未練があるのなら
今はまだ僕の出るタイミングじゃあないし…


チラッと彼女の方を見てみると
パフェを美味しそうに食べながら
蘭さんとの話で盛り上がっているようだった


「安室さん、明日って暇?」

「え?…あぁ、
明日は暇だけど…
それがどうかしたのかい?」

「…よかった」

にんまりと笑顔を浮かべた後
コナン君は1度大きく息を吸い




「へぇー!
安室さん、あの明日までの映画
ずっと前から見に行きたかったのに
チケット取れなかったんだー
明日はちょうど暇だって言ってたのに
…残念だったねー」


「こ、コナン君…?」


ものすごく棒読みでわざとらしい作り話を
大きな声でしたかと思えば
またコナン君は話し始めた






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