僕っ子少女のトリップ物語

□音が一つ〜退屈な日々に別れ告げて〜
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いやいや、MZDが現実にいるわけが無い。

よく出来たコスプレイヤーか何かだろう。
最近のコスプレは設定まで成り切るのか。
かと言って僕の所に見せに来る理由は不明だが。
もしかしたら余りにも出来が良すぎて自慢して回ってるとか?でもわざわざ窓辺に行く必要無いし…

「行っとくけどな、俺様コスプレとかじゃ無いからな?本物だからな?」

一人悶々と考えているのを察したのか、MZD(と思わしき奴)はそう告げる。

「…流石に信用出来ないよ。MZDって、僕らの中じゃゲームのキャラだし。
あと勝手に心読むな」

それでも言い張るのなら証明して欲しい。
自分が本物のMZDという事を。

「証明と言われてもなぁ…
あ、そうだ」

何かを思いついたのか、MZDはグーにした手でもう片方の手をぽん、と叩く。
ってかまた心読んだろ。

「お前確か、さっき退屈って言ってたよな?」

「…ああ、言ったよ。
それがどうした?」

「その後に、俺様が面白いところに連れてってやる、と言ったよな?」

「…うん。言ってた。」

そんなこと聞いてて何になる?
先の見えない質問に苛立ちを覚える。
MZDはまだ笑っている。

「お前は俺達のこと知ってる様だしな、丁度いい。」

まさか…

「なぁ、どうだ?俺様の世界に来ないか?」

「…は?」

間抜けな声。自分の。
まあ、いきなり現れたやつにいきなり「自分の世界に来ないか」なんて聞かれたら、ねぇ?

しかもMZDの世界と言うのなら、pop'n musicの世界しかない。

戸惑う僕、少しニヤニヤしているMZD。


少ししたら僕も落ち着いて、聞いたことから状況整理をする。

まず、MZDは前々から僕のことを付け狙っていた。(言い方悪いけど)
で、引き込むチャンスを狙っていた。
でも僕と接触しない限り、引き込むことなど出来ない。
そして今日、MZDを初めて使ったから接触が出来た。

…ツッコミどころが多いがあえてスルーしよう。

でも、この退屈な世界に飽きてきたし、何か起こらないかなとか思っていたから丁度いい。

ここはこの話に乗ることにしよう。

「…わかった。乗るよ、その話」

「ホントか!?」

目を輝かしている。いや、グラサンで目ぇ見えないけど。

「うん。でもその前にさ」

「なんだ?」

「着替えさせてくれない?あと、持ってく荷物とか色々準備したい」

パジャマのままで行くのも気が引けるし、何も無しで行くのも嫌だ。

「ああ、別にいいぜ」

「うん、着替えるから出てってくれると非常にありがたいんだけど」

僕がそう言うと、MZDは部屋から出ていった。
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