僕っ子少女のトリップ物語
□音が二つ〜不思議な夢と街〜
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この場所は確か、僕が昨日連れて来られた公園だ。
今寝っ転がっているベンチに座り直して辺りを見渡す。
連れて来られた僕が倒れていたであろう大きな木。
カラフルな色で塗装されているたくさんの遊具。
僕の記憶が正しければこの公園は近所になかったし、やはりあれは夢じゃ無かったのか。
ポケットからスマホを取り出し、時間を確認する。
『10:00』と表示されていた。
いくらアラームをセットしてないとはいえ、いつもの二倍遅い時間に起きてしまうとは…よほど疲れていたのだろうか。
とりあえず、街を探そう。
街に出ればそれなりに人がいるはず。
そう思って立ち上がり、歩き出した。
暫く歩いたら街が見えてきた。
人で賑わっている。
見覚えがある人がいる気がするが、気にしない。
とにかく、街に着いたは良いもののこれからどうしよう。
住む家も無ければ、頼れる知人もお金も無い。
完全に孤立してしまっている。
退屈な日常が変わると良いな、そう思ってあの考えに便乗したのに、これじゃあ意味がない。
ぶつけようも無い不安が僕の体中を駆け巡る。
もうやだ、帰りたい、そんな気持ちを胸に、気付けば走っていた。
どこに向かっているのかわからないのに走っている。
すると、前が見えていなかったせいか人にぶつかってしまった。
思わずキーボードが無事かどうかを確認してしまう。
とにかく謝んなきゃ。
「てて…すみません。怪我とか無いですか?」
「こちらこそ、ごめんね」
顔を上げるとそこには、明るい茶髪に茶色い目をした青年がいた。
一瞬混乱したが、心の中にしまいこんでおこう。
いやだって、ぶつかった相手がポップンのキャラで、極度のチョコ好きであり、『sugi and reo』のレオ君だとは考えもつかないよね?ね?
「えっと、立てます?」
手を差し出して聞いてみる。
レオ君(と思わしき人)は手を掴んで立ち上がった。
「ありがとね」
「いえ、僕がぶつかったのが悪いんで」
それでは、と言って立ち去ろうとする。
これ以上レオ君といると、混乱で暴走してしまいそうだからだ。
すると、
「よっ」
僕をここに連れてきた張本人(MZD)が僕の目の前にいた。
まあ、飛び跳ねて驚くよね。