長編(仮)

□プロローグ
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一宮しおん

デビューしてから数年は地方のライブハウスなどで地道に活動を続け根を伸ばしていたがある時業界関係者の目に留まりメジャーデビュー。今も才能を見つけ出した加藤正孝氏と二人三脚で活動している。メジャー1stシングル「徒然草」が無名の新人としては異例のヒットを記録し一気に人気アーティストの仲間入りに。抜群のルックスを誇り女性ファンも多い。しかしテレビへの露出は今のところゼロである。本人の意向によるものが大きいらしく雑誌取材も数えるほど。しかし芸能界にもファンが多数生まれるほど彼の歌は人々を魅了してやまない

記者「一宮さんといえばやはりテレビに出ないという強い印象があるんですが理由がやはりあるんですか?」

一宮「そうですね。テレビっていう電波を通してではなく直接会いに来て、声を聞いてほしいというのが大きいですね。事務所も俺の意向を汲んでくれる…ていうかそういう契約なんですよ(笑)」

記者「そういう契約というのは…?」

一宮「俺がしたくない仕事はしない。俺がしたい仕事だけする…っていう」

記者「ええ!凄いですね。それだけ期待されていたんですね」

一宮「いや〜お偉いさんは正直何言ってんだデビューもしてないクソガキが!ってなったらしいですけど加藤さんが説得してくれて。こいつがヒットしなかったら俺が責任取る。こいつは絶対に多くの人の心をつかみます…っていう具合に」

記者「加藤正孝さんですね。一宮さんの盟友と言われていますよね」

一宮「いやいや盟友なんて…加藤さんは恩人です。加藤さんがいなかったら俺は今もどっかで燻ってるか大人のいいなりになってたかどっちかだと思います。今はテレビに出る時間を曲作りであったりライブの演出を考えたりする時間に充てるってのを事務所も理解してくれました」

記者「一宮さんは作詞作曲をこなすだけではなくライブの演出まで考えている事でも有名ですよね」

一宮「俺にとってライブは表現の場なんです。自分の生き様、魂全てを表現する場。だから自分の頭の中を表現するには自分で考えてるのが一番だなと」

記者「なるほど…実は昨日ライブ映像を拝見させていただいたんですがライブを本当に大切にされているのが分かります」

一宮「ありがとうございます…なんか恥ずいですね…」

記者「あ、それでは最後に、これからの展望や目標はありますか?」

一宮「そうですね。正直CDが何枚売れたなんて興味があんまりなくて(笑)もちろんお世話になってる事務所の為になるという意味では有難いんですけど。個人的には何枚売れたかより何人の心に届いたかが大事で。色んな所で色んな人に届けたいんです。それは世界って意味でも」

記者「世界進出も視野に入れていると?」

一宮「そんな大それた話出来るような立場じゃ全然無いんですけど(笑)でもいつかそんな事できたらいいなって。夢ですね」

記者「なるほど…とても素敵な夢です。あ、忘れてました(笑)来週発売の新しいシングルの紹介もお願いします」

「あ〜それをしに行けって加藤さんに言われたんだった(笑)えーと、次のシングル『start』はまぁいわゆる恋愛系で気づくと暗い歌詞書くこと多いので明るめの曲が歌いたいなって。ロックも恋愛もいろんな世界観を見せたいなっていうのが俺のテーマなので、今回は恋愛です。この曲が誰かのいつかの歌になれたらなと思います」

記者「本日は本当にありがとうございました」

「いえ、こちらこそ楽しかったです。たまには取材もいいかなって思いました」

記者「それは嬉しいですね(笑)これからも一ファンとしても楽しませていただきます」


取材で感じたのが彼の人としての深さだ
ずっとこちらの目から目を離さずに目で話を聞くような目線でこちらも目を離せなかったし話を聞く態度がとにかく素晴らしかった
そして一言一言を考えて喋っていた印象だ
それに驕りなどは一切感じられず強い上昇志向を感じた
加藤氏が自らの進退をかけたのも頷ける
これからの彼にも期待せずにはいられない
そんな取材だった

―――――――――――――――――――


西野「すごいなぁ一宮って人」

秋元「えっなーちゃん知らないの?」

西野「名前は最近よく聞くけど…曲聞いたことないから分からへん」

秋元「えーすんごい人気なのに!ほら聞いてみて私のお気に入りの『かわらずのいし』!」

西野「ほーなかなかええやん。優しい歌声」

秋元「乃木坂の中にもファンめっちゃいるよ!蘭世ちゃんとかまいやんとか与田ちゃんとか欅坂ちゃんにも大人気だったはず。イケメンだしね」

白石「ほら二人とも本番だよ」

秋元「え!じゃあなーちゃんまた後でじっくり良さを伝えてあげるからね!」

西野「うん……」


そう言って取材記事が載った雑誌を置き
バタバタと出て行く二人


そんな楽屋の外では


乃木坂マネージャー「えっ本当にいいんですか?本人の希望!なら是非こちらとしてはお願いしたいです!」


彼のメモには


[一宮しおんと欅坂&乃木坂コラボ。両グループに本人書き下ろしの曲を提供&PVにも参加]


今大きな出会いが起ころうとしていた
日本1のアイドルグループといっても過言ではない坂道グループ。そして新進気鋭のイケメンソロアーティスト。その2つの出会いを知るのは今の時点ではマネージャー同士だけだった


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