文豪探偵社

□愁う者 ※
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ひやりとした冷気が頬を撫でる。
何事か? と目を開ければ、そこに広がるのは一面闇。
身じろぐと手を縛られていることに気がつく
...簡単に言えば”拘束”されているのだ。

かなり硬く結ばれているためそう簡単には取れないだろう。
口もうまく開かない猿轡だろうか?
まぁこうなれば まだ殺す気は無い というひとつの意思表明になる。
殺す気ならば気を失っている間にやるば良いのだから

言葉にならない唸り声をあげ、助けを求める
が、結果はただ虚しく己の嗚咽が反響するのみ。

よし、死のう。...としても拘束が邪魔で舌を噛み切るのも、首を締めるのもできない。
できたとしてもそんな面倒なことは私からごめん被りたい。
まずは手の拘束を外そうと思い立ち、立ち上がろうとする...が何故だろうか?うまく起きれない。それを自覚した瞬間体が熱く、意識が朦朧としてきた。

これ以上不幸を重ねるのはやめて欲しいものだ。

何かを盛られたのか身体中が熱く気怠い
勘弁してくれ給え... と拘束された口からため息が漏れる。

多分これは媚薬か何かだろう。
意識をすれば己のブツが明らかに立ち上がっていることに気づく。
人は食欲、睡眠欲、性欲には敵わないらしい

足がふるりと震え背筋に悪寒が走る。
嗚呼、忌まわしき快楽だな
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