第四編
□戦争の代償
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黎明王国・清凛帝国連合軍は、景明皇国の国境まで進軍していた。
「於羅瑕、我々は千軍万馬を得ました!これで、彼の景明皇国とて、持ちこたえられないでしょう!」
1人の武将が、昭潤に話した。
「景明皇国は、いつか倒さねばならないと思っていた。良き機会だ」
「於羅瑕、間もなくです。向こうに見えますでしょう」
「そうだな」
連合軍は、真ん中に小さな丘を挟んで睨み合った。そして、両軍の大将の合図で、戦は始まった。
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その頃宮殿では、孝元王太后が床に伏せっていた。
傍で看病するのは、勿論悠和である。
「瑛嬪…済まぬな…」
「何を仰います!」
「もう私は、これ以上は生きられない…戦がどのような結果に終わるか、それを知らずに死ぬのは…真に無念だが…」
「王太后媽媽…!」
「そなたは必ずこの後宮で生き残り、必ずや仁賢太子を王位に就けるのですよ…!」
「王太后媽媽…!はい、必ずや…そのお約束を果たします…!」
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戦地では、壮絶な戦いをしていた。
「景明皇国もなかなかしぶといですな!」
「仕方があるまい。国の存亡がかかっているのだ。必死にもなろう」
「於羅瑕の仰る通りにございますな」
「そろそろ仕掛けるか」
「仰せのままに」
連合軍は昭潤の命令を受け、物陰に待機させていた遊軍を動かし、敵の意表を突いたのだった。