人生というものは
□“あの時間”からの逃避
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あの笑顔が、
彼女の全てが、
気に入らない。
何かを言えば皆が言うことを聞く。
何かをすれば皆が褒める。
みんな彼女の言いなり。
アンタらは何が楽しくてそうしてんの?
私は、
どうすればこの“虐め”から逃げられるの?
「いっ………」
「あ、やっと声出したね。さ、もっと苦しそうな声、聞かせてよ」
彼女はとびきりの笑顔でいうと周りにいた生徒に顎で私のことを指した。
するとひとりの生徒が私の腹部めがけて拳を突き出した。
ドンッ
「…う……ぐ…ぁ…」
尚も彼女は満足そうに笑っている。
いつもの事だ。
いつも、彼女は自分の手を汚さないように他の生徒に私を殴らせる。
それから小一時間同じようなことが繰り返し続け、息もできないほどになった。
「今日はこの位にしとくよ爛火、
また明日ね♥」
と最後まで笑いながら話した。
早く、帰りたい。
この場から逃げたい。
いつも気づいた時には既に自分の手はカバンを握っていて、下駄箱まで走り出している。
今日も気づいたらカバンを握って下駄箱まで走り出していた。