♂ x ♂

□とあるペットと旦那様 EP 1
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「ひッ…!」


 喉がひきつる。

 しかし背筋を駆け抜けるのは強烈な快楽

で、乳首のすぐ傍で大粒のダイヤが揺れ

《栓》をされていなければ反り返るほど勃

起しているペニスからは勢いよく精液が噴

き出していただろう。

 それが叶わないのは、パクパクとヒクつ

いているペニスの先端の小さな穴に緩いカ

ーブを描く細長い金属製の棒…尿道ブジー

が深々と突き刺さっているからだ。

 じれったい程ゆっくりと動くブジーを動

かしているのは、壮年の旦那様だ。

 旦那様との出会いは数カ月前に遡る。

 その日は俺にとって最悪な日だった。

 初めてできた年上の彼女には「つまらな

い」と一方的に別れを告げられ、クソ兄貴

には小遣いを巻き上げられ、コンビニでも

らったスクラッチはハズレで。

 ムシャクシャしていたら車道の脇に高級

外車が停車していた。

 まるで格差を見せつけられているようで

余計にムカついて…だから、スクラッチの

為に手にしていた硬貨で通り過ぎざま車の

ボディに押し付けて擦りながら横切った。

 ほんの悪戯心で、八つ当たりできるなら

誰でも良くて。

 けれど翌日学校帰りにサングラスをかけ

た体格のいい二人の男に両脇を囲まれてバ

ンに連れ込まれた。

 もともとモヤシに毛が生えた程度しか筋

肉がない俺に逃げ切れるはずもなく、黙っ

て連れていかれた先に豪邸があった。

 通された先に旦那様がきて、様々な角度

から撮られた防犯カメラの映像を見せられ

ながら話をされた。

 防犯カメラの映像は驚くほどクリアでも

う言い訳のしようもなく、背後でずっと控

えていたサングラスの男たちの無言の圧が

ずっと背中を刺し続けていた。

 静かに諭す旦那様の言葉を大人しく素直

に聞きながら自分の罪を自白すると、旦那

様はにっこりと笑って「よく話してくれま

した」と頭を撫でてくれた。

 あの時はまだそれに驚いて、気恥ずかし

くて素直には喜べなかったけれど。

 けれど続く言葉は俺を打ちのめした。

 あの高そうな外車は完全オーダーメイド

製で、わずかなかすり傷と言えど修理は完

全に車の外装の総入れ替えになるらしい。

 もともと高い車だがカラーも材質もオー

ダーメイドなので、傷がついたのがドア一

枚であっても単品受注を受け付けてくれな

いらしい。

 そうなると弁償額は一気に数千万単位ま

で跳ね上がるらしく、しがないサラリーマ

ン家庭で育った俺にはとても返せる額では

なくなってしまう。

 そこで、と旦那様は続けた。

 この屋敷で住み込みで賠償額に達するま

でアルバイトをしないかと持ち掛けられた。

 難しい仕事ではないし、ちゃんとご両親

にも会って許可をもらおう、と。

 賠償額の書かれた紙を目の前にして俺は

もう頷くことしか出来なくて、差し出され

た書類にも殆ど目を通す余裕もないままサ

インしていた。

 そのままシャワーを浴びてくるといいと

言われて連れていかれた広い浴室で汗を流

して出てきた時にはもう俺が脱いだ服は忽

然と消えていた。

 俺がサインした契約書には要約するとこ

う書かれていたらしい。

 “生活その他にかかる諸経費を差し引い

た総給与額が賠償額に達するまで、旦那様

の従順なペットでいること”、と。


「ひっ、あッ、あぁッ…!」


 押し入ってくるブジーが動きを止めたと

思った次の瞬間、今度は同じくらいゆっく

りとしたスピードで引き抜かれていく。

 ぬるぬると滑るブジーに尿道の粘膜を擦

りながら動かれるとそれだけで強制的に射

精感を引き出されるようで一滴も零さない

まま俺は何度目かの絶頂を迎えていた。

 ビクビクと腰が震えるが熱そのものは吐

き出せずにずっと下半身に渦巻き続ける。

 あの契約書にサインした時の俺は、この

世界にこんな強烈な快楽があることをまだ

知らなかった。

 脳の芯が灼けるような快楽なのに終わり

が見えない。

 そのうち本当に射精しているのかどうか

もわからなくなる。

 空気を取り込むことしかできなくなった

口の端からだらしなく唾液が零れる。

 しかしそんなことどうでもよくなるくら

い、旦那様の握る魔法の棒は俺の性欲を掻

き立て同時に全てを呑み込んで満たしてい

く。

 俺の知る、この世界で他では得られない

幸福な時間だ。


「旦那様、もっとぉ…」


 俺の口から零れるのは嬌声より甘ったる

い懇願。

 自分にこんな真似が出来ることも、そし

てそんなことが毎夜繰り返されることも、

あの時の俺はまだ知らなった。



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