夢小説

□旦那のお義父さんにちょっかいかけたら手を出しちゃいけない相手でした【直毘人夢】
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「ああ待て、最後にもう一度酒を飲んでいけ」といいさっきの酒を注いでくれた。よっぽど好きな酒なのね、いいわ一杯くらい。私を帰らせたがらないことを不思議に思ったが明日も早いので理由は聞かずに了承した。
しかし直毘人さんの本心といえばそんなにかわいいものでなく欲望と嫉妬でいっぱいいっぱいだった。
きっとこの先彼女が自分に懐いてくれる隙はない。直哉は名前を愛し、名前も素直でないが直哉を愛している。例え離れようとも心は似た者同士なので磁石のように離れてはくっ付きを繰り返していくだろうし、ワシが禪院家27代目当主に直哉を指名したのだから、今後話すこともない。もう名前は抱けない。
もし名前が直哉から傷付くことを言われて立ち上がれなくなったとき、もし当主様の嫁として反感を買い禪院家の誰かに理不尽な嫌がらせされてしまったとき、俺はこの愛する人に似たこの女を攫ってやれないだろうか、そんな気持ちが湧いてきてしまっていたのだ。これは親としてではない。一人の男としてだ。
お前が不安になったときはいつでも味方してやろう。そんな一言をいっても名前に真意は伝わらない。「お義父さんだから」頼るだろう。
酒に弱いからと言って水と酒をちびちび煽る名前を見て、直毘人は寂しげに目を細めた。

ようやく見つけた老後に必要な相手。1度までとは言わず何度も汚してやりたい好きな女。こんな本音を漏らしてしまえばまた彼女はすぐにこう返してくるに決まっている。「やだ、本気にしないでよね」と。

良い良い、そう返してくれて。お前が好きな男と幸せになってくれたら。この秘密は俺が墓まで持っていく。

「さて、直哉にいい女を捕まえたなと報告しなければ」
直毘人のセリフは何も気付かれることなく笑って流された。


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