導きの先(短編)

□クロウさんこんにちわ
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それは私にとってもあの子にとっても変わった1日だったかもしれません…

(少し外を歩いてみましょうか、この館に引きこもっているのもどうも落ち着かない…)
それはまだケルベロスも月もいない時…
「グスッ……ズビッ………うっ!うわぁぁぁん!あ"ぁぁぁぁん!」
森を歩くことにしたのです。
「捨て子……でしょうか?」
私は私の「孫」となる子に会いました。
「ふぇっ…あぅぅ……おじさん…だぁれ?」
茶色の髪に綺麗なマーガレットの瞳。
「迷子になったのですか?」
まだまだ親の手が必要な小さな子でした。
「わたちね!わたちさくら!おじさんは?」
「私はクロウ・リード。」
「くりょう?くりょうおじさんのおうちどこ?」
「私の家…ですか?近くですが…」
「ママとパパがここでまってて、って……でもねそれからこないの。」
「ママとパパが帰ってこないのですね?」
やはり……捨て子か………
「きっとわるいひとに食べられちゃったの!おじさぁっ…!」
「泣かないでください…ほら、私の家に行きましょう。暖かいですよ。」
「うんっ…ママとパパがね、やさしいひとがいるからそこでねんねしなさいって!それってくりょうおじさんだよね?」
「かも…しれませんね。大丈夫、もう寂しい思いはさせませんよ。」

「娘」でも良かったのかもしれません。ですが…どうしてか「孫」に思えたのです。
どうも親方の事が気になって…

さくらは元気に育ちました。
それに家族というものも増えた。
私にだけでなくさくらにも優しく慕う姿を見てほっとしましたし安らぎを感じるのです。
あの時、あの子を育てようと思ったのは間違えていなかったようです…。
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