御狐様の日記帳

□六話
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拝啓、DIO様。

緊縛プレイで女の輪郭を浮き彫りにされて、生々しい女の声までも、ポロッと出ちゃいました。

まだ処女なのに、三段飛ばしの勢いで大人の階段を登ってます。しかもこの階段は登りっぱなしで降りることが出来ません。

……どうしよう、DIO様、私……キモチイイことにスゴく弱いみたいです。変態ドMだからですか?

あの後、縄を解かれた時、肉に食い込んでた縄が緩んだ瞬間、イクのと同じくらい気持ち良かったんです。

すっと入ってくる空気、血が通う感じ、解放感、それらからくる心身共に真っ白になるほどの脱力感。まるで自分の限界まで走ったような、でも、それがとても良かったんです。

脱力して力が抜けた身体を、ご主人様はギュッとキツく抱きしめてくれました。縄で縛った時と同じくらいの強さと、身体の芯まで熱くなるほどの温もりで、あやふやでドロドロに溶けた身体の輪郭を作ってくれたのです。それに酷く安心しました。

多分きっと今回のご主人様なりの褒め方なんだと思うんだけど、あの抱擁は……もっと……心までも包み込むような、……勘違いかもしれないし、自意識過剰かもしれないんですけど、ご主人様の想いが届いた気がしたんです。

"何の想い"なのか、それを私が言葉にするのは、ちょっと厚かましい気もします。それは本人の問題であって、私の問題じゃあないのです。

それに!DIO様を裏切るなんて真似は絶対にしません!私にはDIO様が居れば充分!これはジョースター御一行様をぶっ殺す作戦であって、飼い慣らされたワケじゃありません!

そう胸を張って言えるのに、もう一人の変態ドMな私が、ご主人様を手放すな!と訴えてくるのです。

どうしてですか?やっぱりキモチイイことにスゴく弱いからですか?ショビッチだからですか?

キツネは考えました。どうしてこうなってしまったのかを、足りない頭で考えて、考えまくった結果、すべての元凶はDIO様という結論に至りました。

そもそもの始まりは、私が屋敷を飛び出した理由です。いつまで経っても処女をもらってくれないDIO様のせいで屋敷を飛び出したのです。……ね?DIO様が悪い。

どうしてくれるんですか。DIO様のせいで登りたくもない大人の階段を……はて、待てよ。そもそもの原因って……ご主人様じゃね?

つーか、いつの間にか自分でも気づかぬ内に、呼び名が憎き敵からご主人様に変わってる!?

ごめんなさい、DIO様。すべての元凶は、DIO様の野望を邪魔するジョースター御一行様でした。怖いね、こうやって洗脳って始まるんだね。深みにハマる前に初心に戻れて良かったです。

私の敵はジョースター御一行様。例えキモチイイことをされようが、敵は敵。DIO様の邪魔をする憎き敵をぶっ殺すことが私の使命。それを忘れずに初心に戻って頑張りたいと思います。

PS、これ以上の変態プレイをされちゃうと、もう初心にも戻れない気がします。でも、それを望んでるもう一人の自分が



「さっきからなにを書いとるんじゃ?」

『ふぎゃう!!?』


日記を書いてるとオジイチャンに声を掛けられた。すぐに閉じたし見られてないと思うけど、ドキドキ。


『日記を書いてるの』

「ほぉ、マメだのう」

『一ヶ月後に見直して恥ずかしさで悶え苦しむのが恒例行事なんだよ』

「もはや日記が一種の羞恥プレイになってるぜ。どれ、俺に読ませろよ。テメーの羞恥を破壊してやる」


隣に居た憎き敵が日記を取り上げた。すぐに取り返そうとしたけど、身長差があるのであと一歩及ばず!『返せ』と喚く私をスルーして、中身をペラペラと捲っていった。


「これ、止めんか!人様の日記を気安く読むもんじゃあない!」


オジイチャンが憎き敵から日記を取り上げてくれた。さすがオジイチャン。とても優しい紳士な老人である。

返してもらった日記を懐に直して、キッと憎き敵を睨んだけど、憎き敵も何故かギロッと睨んできた。私は悪くないけど、恐ろしくてスッと目をそらした。


「しっかしよぉ、たまたま運よく馬車が調達出来てよかったよなぁ」

「車より遅い。こうなったのもホルホースのせいだ」

「でも徒歩よりマシだぜ」


あれから、ジョースター御一行様にやられてしまったエンヤ婆を拘束して、ホルホースが乗ってきたと思われる車に乗って移動してる。元々乗ってきた車はホルホースに奪われてしまった。

本当に徒歩じゃないだけマシだ。早く次の町に行って休みたい。その願いが通じたらしく、けっこう近くに町があった。


「お腹減ったのう。飯でも食って腹ごしらえじゃ」


意義ナシってことで車を停めて、オジイチャンは近くにあったケバブ屋さんへ。ケバブ屋の店員を見て、ハッ!!?と気づいてしまった。

アイツ、アレじゃね?何か……すっげー小さい虫の……えっと、んっと、脳みそに入って何かするヤツ。まっ、これでジョースター御一行様は死んだ。憎き敵の脳内に入ればこっちのもんだ。

でも、エンヤ婆ですらジョースター御一行様にやられたし、下手に向こう(味方側)についてやられた場合が最悪だ。次こそブッ殺されてしまう。

しばらく様子をみて、アイツがジョースター御一行様をブッ殺したら、アイツを殺して手柄を横取り。これでダメだったら一緒にベッド作戦。よし、今回もこの流れでいこう。

そうこう考えてると、エンヤ婆がアイツに殺されてしまった。一応仲間同士なのに協力し合うことも出来ないなんて。そんなんだからいつまで経ってもジョースター御一行様を倒せないんだぞ!

でも、私もアイツに協力する気は全くないので、ボーッと様子を見てた。すると、ジョースター御一行様とバトルに発展。

オジイチャンの脳内にアイツのスタンドが肉の芽を持って侵入してるらしく、あと数十分でオジイチャンが死ぬとのこと。

何で憎き敵じゃなくてオジイチャン狙ったんだろ。一番ヤバイのはジョータローだって思ったけど、余計な口出しするのもなんだし、またボーッと様子を見てた。

今度は、オジイチャンと花京院君とポルナレフが走って逃げた。憎き敵はアイツに捕まってる。根が鬼畜なのにやりたい放題責められてオカワイソウに。

んじゃ、私はバトルが終結するまで町をブラブラしてよう!と、歩き出したら腕を掴まれた。一応仲間のコイツが一緒に来いと命令してきたのだ。


「DIOから、お前を連れてこいと命令されてる。一緒に来い」

『フンッ!!』

「「ぐぎゃあああ!!?」」


コイツの鳩尾を殴ったら、遠くの方でオジイチャンの叫び声が聞こえた。


「な、なぜ…、…なぐるんだ!?」

『麗しのDIO様を貴様なんぞが呼び捨てにしてんじゃあねえ!あと、命令口調が気に入らない!ちゃんと言い直して!』

「すみません!DIO様から、あなた様を無事に!無傷で!早急に連れてこいとの命令を受けました!なのでこの通りです!お願いですから!ジョースター御一行を倒すまでは、勝手な行動は慎んでいただきたい!どうか!この通り!」

『うむ、よかろう!』

「ははっ、ありがたき幸せであります!」


土下座してヘーコラしてるコイツを『情けねーな』と鼻で笑って見下ろして、それを見てた憎き敵が「キツネに土下座かよ」とコイツを鼻で笑って見下ろして、それに気づいたコイツが「あ?調子に乗ってんじゃあねーぞ」と、憎き敵を殴った。

つまり、順位付けをするなら、一番はワタシだ!後の二人は二位の座を争ってるにすぎない!にゅふふん、ワタシが一番偉いのだ。


「キツネ様もどうですか!?こいつ殴ってスッキリしちゃっていいっすよ!」


ドヤっとしてると、コイツが話しかけてきた。名前を知らないから、とりあえず名前を聞くことに。


「スティーリーダンと申します!いやぁ〜DIO様の側近でいらっしゃるキツネ様に会えるなんて……ヘヘヘ」


スティーリーダンさんは自分より上の人にヘーコラするのがとても好きなんだなと思った。DIO様ったら相変わらず友達運なさすぎだ。


「ほ、ほら!1発どうっすか!?」

『人を殴るのキライなの。自分の手まで痛くなるもん』

「た、確かに!そうっすね、今ならコイツ何でもいうことをききますよ!好きなように命令して下さい!」

『……憎き敵が私の命令を?』

「イエス!」

『よかろう!!待つがよい!』


何だかとても楽しい状況なので、近くにあったお店に入り、とある物を購入。素晴らしいアイテムが入った紙袋を持って、憎き敵の前に堂々とドヤ顔で仁王立ち。

あの憎き敵に"好きなように命令"出来る権利をもらった。数々の変態命令をしてきた憎き敵に!今度は私が!命令出来るのだ!


『オスワリ!』

「あァ?」

『オスワリ!』

「……」


"好きなように命令"出来るって言ったのに命令をきいてくれない。これは困ったとダンさんをみると、ダンさんが憎き敵の足を蹴った。誰もそこまでしろなんて言ってない。


「キツネ様がオスワリって言ってんだぞ!オスワリしろ!あのジジイがどうなってもいいのか!?」

「……」


ダンさんがそう言うと、憎き敵は物凄く不服そうにその場にしゃがんだ。とても愉快な気持ちになったので、満面の笑みで、紙袋の中からアイテムを取り出した。

"支配するもの"と"支配されるもの"を分からせるための首輪だ。大型犬用の首輪をつけて、その首輪にリードをつけた。

ぷぷっ、ザマァ。まさか自分が首輪をつけられる日が来ようとは思ってもなかっただろ。


『今から私がご主人様だよ!』

「……」

『返事は、にゃー、です!分かりましたか?』

「……」

『返事は?』

「……」


"いうことをききなさい"の意味で、リードをグッと引っ張ってみると、ギロッと睨まれた。でも、首輪に繋がれてる男に睨まれても少しも怖くないので、笑顔で『返事は?』と言った。


「…………にゃー」


小さく返事をした憎き敵に何か…こう…キュンっとした。
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