御狐様の日記帳
□12話
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俺の為に何でもしてくれるっつーなら、アイツと別れて俺の女になってほしいと思った。俺だけの女になって、俺だけを求めればいい。そしたら俺だって、お前の為に何だってしてやるのに。
そもそもコイツは根本がズレている。
そいつを好きか嫌いかじゃなく、セックスが上手いか下手かで判断している。下手ならサヨナラ。まぁ、ね?今まで誰とも続いてないってことは俺が上手いって話で、俺を越える野郎がいないってこと。
でもジョースケ君は純情なので、そこだけじゃないと思いたいわけです。
まさか本当に性道具?俺の想いじゃなくて俺のあれだけが欲しいんじゃねーの?あれほんとに想いは要らない感じ?この沸き上がる不安を解消する方法はただ1つ。
想いを伝え、想いを聞くこと。
昔と違って上手くいく自信がある。お袋が言うように、本命は俺だと、俺も認識している。でも今はその時じゃない。
憎い人である承太郎さんに復讐しようと躍起になっている。何を計画しているのか知らねーが、そんな気持ちの時に、俺の想いは邪魔になるだろう。
復讐という負の感情、それを越えるほどの想いなら嬉しい限りだけど、恋人を殺されたんだ、気の済むまで向き合うべきだと俺は思う。
今が、過去との決別の時。
「何で拘束されて噛まれるのが計画の一部なわけ?」
でも止まらない俺の煩悩ッ!!
『んっう、きょーりょくしゃがいて、ゆだんさせたらいいって、んん!』
変な拘束具で捕まえたあと、ここぞとばかりに全身舐めた。昔からの念願叶ったりでホクホクなテンションに任せて、腹立つ首にガブリと噛み付いた。大袈裟なくらい震えるコイツにもっと興奮した。
首だけじゃ収まりつかなくて、胸を重点的に責めた。自分でもしつこいと思うくらい乳首を弄んで、イキそうな頃合いに噛んでやった。その痛みでイッていた。
まさかここまでのドMだったとは。そりゃ誰とも上手くいかないし、満たされないわけだ。すげーもん仕込まれてた。でもかわいいからもっといじめる〜って思う俺も大概だ。今は過去との決別の時だってのに。
収まらない煩悩を抜こうと、コンをうつ伏せにして覆い被さった。垂れっぱなしのアソコにあれを擦り付ける。さっきの仕返しだ。俺を散々弄んだんだ、倍にして返してやろうと思う。
「勝手に入れたら終わりな〜」
『やらっ、これっ』
「うんうん、気持ちいいね〜」
『いれたくなるのっ、やだっ』
「あー……かわいいっ、耳も噛んじゃうぜ〜」
『ッッ!!』
ナカに入ってなくてもビクビク震えてんのが分かる。わざと先っぽで入り口を押したら、腰をずらして入れてこようとした。
「あーダメだぜ、お姉さま、これはお預けで〜す」
またアソコにあれを擦り付ける。本当は俺も入れたいけど我慢。コイツが改めて俺を選ぶか、フリーになるか、それまでは絶対に我慢。しょーもないけど、そのラインだけは越えたくねえ。
何がなんでも死守してやる。
『っふ、……うぅ、……うあ』
でも泣き落としは卑怯だ!!
「泣くなって、な?」
『だって、いれてくれないっ、もう、やだぁ』
「じゃーやめる?」
『するっ』
するのかよ。
「そんなに入れてほしーの?」
『ん』
「ジョースケ君のこと、そんなに好き〜?」
『だいすき』
「ジョースケ君のあれじゃなくて〜?」
『ぜんぶ、すき。だいすき』
間違いなく本音であろう言葉が容赦なく飛んできた。過去との決別の時期、受け止めるべきか、避けるべきか、悩むところだ。
コイツは今、気持ち良いことに夢中で、負の感情を忘れている。冷静な俺がそれを上手いこと避けた上でフォローすべき。分かっているけど、ずっと聞きたかった言葉を耳にして、冷静でいられるはずもない。
「それは……別れるってこと?」
ずっと溜め込んでいた想いが次々と溢れ出た。止まらなかった。
「承太郎さんと別れて、俺の女になってくれんの?俺だけの女になんの?好きとか言ってるけど、それがどういう意味か分かって言ってんの?うそでしたなんてオチだけは嫌だぜ。これ聞いて、俺はもう今後この先耐えれる自信なんてねーかんな!」
『……うん』
その意味をもっと詳しく知りたくて、枕に顔を埋めてるコンに手を伸ばした。そっと髪を撫でる。その手にコイツの手が重なった。
『ジョータローのこと殺してやるって思ってるのに、……本当は隙なんていっぱいあったのに、気づかないフリして、ずっと、殺せなかった』
「うん」
『憎いの、大嫌いなの、でも……ジョースケと居ると、そんなのもうどうでもよくなっちゃうの。DIO様よりも、ジョータローよりも、ジョースケと居たいって想いの方が大切なの』
「うん」
『……もう、いいかな。……この気持ち、捨てても……いいのかな』
「……コン」
『どうしたらいいの?私、もう、わかんないよ』
そんなの俺に聞かれても分かんねーけど、初めて見せてくれた想いと涙が、不謹慎だけど嬉しくて、俺も横になって後ろから抱きしめた。
「お前の好きなようにしろよ」
『だから、それが分かんないの』
「分かるまで精々悩めよ。俺はちゃんと待ってるからよぉ、全部終わったら続きしよーな」
『何それ他人事!?』
「おー他人事だぜ〜。お前の過去の話であって、俺には関係ないことだろ」
『酷い!冷たい!話くらい聞いてくれてもいいじゃん!』
「おう、聞く聞く〜。話ならいくらでも聞いてやる。でも解決するのは俺じゃなくてお前だぜ。そこんとこ間違えんなよ、お姉さま」
『……それもそうか』
ようやく落ち着いたところで『うん』の返事を掘り下げたいところだが、何せもう流れてしまった話だ。過去との決別が終わるまで保留にしてやろう。
それに過去も気になる。ここまで蒸し返った話だ。あんまし聞きたくねーけど、コイツとこれからをやっていく上で重要な話でもある。今なら全て話してくれるだろう。
「そもそも何でDIOって野郎の仲間になったわけ〜?」
『そんなのDIO様がイケメンだからに決まってるじゃない!』
「これは聞かなきゃ良かったッスね〜」
『電気に透ける金色の髪、血の色を思わせるような紅い瞳、美男子をそのまま表した素晴らしき顔、岩をも壊せそうな立派な筋肉、人間には鬼畜だけどキツネだけに与えられる優しさ。たまに大声で叫んでうるさいし、処女あげるって何回も誘ったのに他の女と天国逝きまくりだし、やっと両想いになれたと思ったらお預けだし、ジョータローに殺されちゃうし。でも、でもね、もう一度だけ……一度だけでいいの……』
言葉の続きはなかった。でも言わずとも分かる。それに対して俺が言えることなんて何一つなくて、足元まで下がっていた布団を手繰り寄せて、2人ですっぽり被った。
冷えてた体が温かくなっていく。お互い自然と引っ付いてる。肌と肌が引っ付くのはいつものことだけど、心まで近づいたみてーで嬉しかった。
『眠いね』
「寝ようぜ」
『うん』
「おやすみ」
『ねぇ、ジョースケ』
「うん?」
『ジョータローと話してみようと思う』
「そっか」
『だからね、出刃包丁買ってきて』
「何で?」
『武器がないことに気づいたの』
「今さら?」
『うん』
「はい、おやすみ」
『ちょっと!起きなさいよ!武器がないとダメなの!あんなやつ恐ろしくてまともに話せないの!ねえってば!起きてよ!起きて!お姉さまを見殺しにしないでええ!』
さっきの泣いてる姿がウソのように、ビービー喚きながら俺の体を揺すってきた。けっこうマジで眠いから、寝返りをうってお姉さまを見殺しにした。