番外編/短編/過去拍手文/

□四話〜そのあと〜
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ーー「おれを好きになれって言ったんだ」ーー

承太郎さんの言葉と行動が脳内リピート中だ。色々とヤバイ。ドキドキドクドクで心臓が壊れてしまう。やっぱり承太郎さんと居ると心臓がもたないぜ。

これは非常にマズイ。ダメだ。この感情は非常にマズイ。いかんぞ御猫様、今回の目標はディオ討伐なのだぞ!マヌーサ地獄にハマる前に冷静になりたまえーっ!

ってな感じで、我、冷静さを取り戻した。

身分やら資産の書類整理も終わり、ご飯を食べて、お風呂に入って、寝支度を済ませて、部屋に戻ろうとした時、ジョセフに声を掛けられた。


「大きなお世話かと思ったんだが、…まだ早いと思うんじゃ。お前は無防備というか、無警戒というか、…そこで!これをやる!ちゃんと着けてもらいなさい!じゃ、おやすみ!」


ラオウ様(拳王様)が描かれた箱から何かを取り出して、それを手に握らせて、言いたいことだけを言って、立ち去っていった。

ジョセフの行動に首を傾げて、手の中にあるモノを確認。もう一度握りしめた。そして、部屋までダッシュ。襖を閉めてもう一度じっくり確認した。

コンドームだ。何故かコンドームを渡された。薄々BIG拳王様系ってなんだ。ちゃんとやってもらいなさい!って、避妊の話?何でいきなり避妊の話?でも、これは分かったよ!


『薄々BIG拳王様って!そんなのモノがあるの!?トキじゃあダメなの!?ってかケンシローは!?この並びじゃあ、薄々系世紀末対決、拳王様の大勝利だぜ!さすが御猫様の大好きな拳王様、強し強しィー!でもこんなモノ要らねーよッ!!』

「いきなりどうした?」

『!!?薄々BIG拳王様ァーッ!?』

「はぁ?何言ってんだ?」


承太郎さんの突然の声に、コンドームを落としてしまった。そうだった、部屋に承太郎さんが居たんだった。

『失敬失敬』と謝って落とした薄々BIG拳王様を拾った。パッケージに【容赦はせぬぞ!】と書いてあって『あはは!』と大爆笑。その場に四つん這いになって床をバンバン叩いた。

でも、何でコンドーム?愛と優しさは必需品なんだろうけど、そのような関係でござらん!全く、この愛と優しさ+文句付きでジョセフに返してやろう。

いやでも待てよ。一つの部屋で男女が一緒に寝ているってことを考えれば、何が起きてもおかしくない。現に昼間はあんなことをしてしまった。ジョセフはそれを言いたかったのかもしれない。

ってことは、この薄々BIG拳王様は承太郎さんが持つべきであって、え?渡せばいいの?薄々BIG拳王様を?承太郎さんに?

アダルティーなオモチャならまだしも、たかがゴムだもの、渡せないことはないのだけど少し恥ずかしいぜ。

でも、会話のネタにいいんじゃない?お前何派?俺ケンシロー。マジかよ超normal。的な感じでワイワイ話せる。何だ、それなら恥ずかしくないや。

考えもまとまった所で、薄々BIG拳王様を握り締めて、ベッドで寝そべってる承太郎さんの元へ。


『承太郎さん、プレゼント』

「あ?プレゼント?誰が?」

『私から承太郎さんにプレゼント』

「………嫌な予感しかしねーぜ」


薄々BIG拳王様を握ってる手を差し出せば、嫌そうな顔で手を出してきた。その大きい手に薄々BIG拳王様を落とそうと手を緩めて、そして、もう一度ギュッと握り締めた。

あることに気づいてしまったのだ。

我が手の中にある愛と優しさを具現化したモノは薄々BIG拳王様。つまりBIG拳王様。もし、承太郎さんが薄々BIG拳王様ではなく薄々normalケンシローだった場合、彼の心の中で世紀末勃発。愛と優しさが悲しみと憎しみを生み出してしまう!くそッ、どうしてこんなことに!出来ることなら、拳王様BIG、トキmedium、ケンシロウnormal、この三種類用意してほしかった!


「さっさと渡せ」

『それは出来ぬ相談だ。コレは我が手中にある。渡してほしくば、我が拳と勝負するがいいッ!』

「あーハイハイ、拳と勝負ね」

『ぎゃーっ!!?スタンド出すの卑怯じゃね!?しかも手加減ナシ!?』

「チッ、すばしっこいぜ」


薄々BIG拳王様を握ってる手を、スタンドを使って掴んでこようとするので、それを避けて避けて避けて、やっとこさ距離をとった。

「負ける気が全くしねえ」と承太郎さんは起き上がってベッドに腰掛けた。『勝てる気が全くしねえ』と私も呟いた。

シンッと静まり返る室内。見つめ合って、そして、「オラァ!」とゴングが鳴った瞬間に、承太郎さんの足元で土下座した。泣いた。

承太郎さん限定で最強御猫様の威厳すら無くなってることが辛い。ネコ的本能が負けを認めてるからだけど、それを差し引いても、何かもう少し残ってもいいと思うの。


「そのプレゼントとやらを差し出してもらおうか」

『………怒らない?』

「俺が怒るようなモノをプレゼントに選んだのか。まぁ、お前のその神経が凄いと思ったから怒らねーぜ」

『………絶対に?』

「ああ、絶対に」


その言葉を信じて、ずっと握り締めていた手を緩めた。中から出てきたのは【容赦はせぬぞ!】と書かれた薄々BIG拳王様。

承太郎さんは、薄々BIG拳王様を取り上げた。そして、私と薄々BIG拳王様を何度も見て、何故か彼は頭をワシャワシャと撫でてきた。


「これを俺にプレゼントするってことは、セックスに合意するってことだよな?昼間の言い逃れは絶対に出来ねーと俺は思うんだが。……そう思わねーか?」

『…ゴホンッ。……この御猫様に愛や優しさは不要!容赦はせぬぞ!』


正座のままだけど、ビシッと決めポーズをして、よし!この話は終わり!ってことで立ち上がった。

スタンドに腕を掴まれてベッドに放り投げられたけど、上手いことキャッチして仰向けにされた。

これはヤバイと思って、スサササァと逃げようとしたけど、スタンドが手首を一つにまとめてガッチリフォールド。承太郎さんはお腹の上に股がって体をガッチリフォールド。薄々BIG拳王様を指で挟んで、無表情で見下ろしてきた。

クソッ、やられた!ゴムをプレゼントするってそーいう事だったのか!思い付きもしなかったぜ!


「男にこんなモノをプレゼントするってことは、そーいうことだぜ」

『我は知らぬぅ!故に無罪ナリィ!』

「知らぬ存ぜぬで逃げようってワケか?ダメだね、今回ばかりはお前に甘い俺でも見逃せねーぜ」

『え?それで甘いの?マジで?』

「ほう、話題を変えて逃げるつもりか。でも、これ以上の抵抗は諦めろ。先にスイッチを押したのはテメーだぜ」

『すみません、何のスイッチでしょーか?』

「そうだな、例えるなら…俺が狼になっちまうスイッチってヤツだ」


そう言って、薄々BIG拳王様をビリッと口で破った。


『もしかして…容赦はせぬぞ?』

「答えは、yesだ。テメーは俺の理性をおちょくり過ぎた。絶対に逃がさねえ。覚悟しろよ」

『…………ノーッ!!?だ、誰かーっ!ヘルプミーッ!!?』


御猫様の叫び声が空条邸に響き渡りました。すぐに「な、なんじゃ!敵襲か!?」とジョセフが助けに来てくれて何とか貞操を守れました。

「……チッ、せっかくのチャンスだってーのに邪魔しやがって」と、狼さんは言いました。

御猫様は学びました。

コンドームで遊んではいけないこと、承太郎さんはすぐに狼さんになること、そして、薄々BIG拳王様のサイズで合ってたということを。

つまり、それは、、


『承太郎さん…って…大きいのですか?』

「あ?何が?」

『………その……ナニが……』

「触ってみろよ」

『失敬失敬。……ひぃぃぃ!!?…こ、…これは…大魔王様ぁーっ!!?』

「(この女、マジで触りやがった)」


意識しすぎてコッチが狼さんになってしまいそうです。
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