番外編/短編/過去拍手文/
□二十一話〜アヴドゥルさんの死因〜
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ジョセフ、花京院君、承太郎さんが敵に連れて行かれてしまった。でも、あの三人なら大丈夫。承太郎さんがいるんだもの、最強パーティーだ。
問題はコッチのパーティーメンバー。アヴドゥルさん、ポルナレフさん、帝王イギー様。なにこの微妙なメンバー。承太郎さんが居ないのに、どうやる気を出せばいいのだ。
「割り振り間違え過ぎだろ。こっちは人間2、ペット2だぜ?イギーならまだしも、誰がお転婆カネコの面倒みるってんだよ」
「イギーは賢いからな、面倒はかからんだろうが、問題はお転婆カネコだ。……頑張れよ、ポルナレフ」
「いやいやぁ〜、お転婆カネコの世話が出来るのは承太郎かアニマルだけだぜ?ってことで、アニマル代表のイギーに任せた。頑張れよ」
「ガルルァァ!!」
「「……仕方ない、じゃんけんで決めるか」」
「ガウガウ!!」
『それなんてイジメ?もう御猫様泣いちゃいそう』
結局、お転婆カ御猫様の世話役はアヴドゥルさんってことになった。ってかお転婆とバカ合わせたよね?あながち間違ってないから言い返せぬわ!!
っていう冗談はさておき。ジョセフは、10分後までに戻らなければ建物に火を放て!と言ってた。10分間は出番なし。暇なので尻尾をブラッシングすることに。
最近サボりぎみだったからフワモコ尻尾がボサボサだ。至るところが絡まってる。こーいう手入れは飼い主がするもんだ!ジョセフめ、後で説教してやる。
ブツブツと文句を言いながらブラッシングしてれば、アヴドゥルさん、ポルナレフさんが自分の懐からブラシを取り出して、尻尾の手入れを始めた。うむっ、よく分かっておる。苦しゅうないぞ。
「気を緩めないで下さい。ここは敵陣地、いつ何が起きるか分からないんですよ」
「アヴドゥルの言う通りだぜ。承太郎と離れて心配なのは分かるけどよぉ、今はシャキッとしろよ」
『承太郎さんを心配?ノーノー、最強設定御猫様の飼い主になられる御方がこんな所で負けるなんてありえません』
「でもですね、死闘ってのは、何が起こるか分からないですからね」
「そうそう!つーか、もし承太郎が負けたらどうすんの?」
『ディオを殺すに決まってんじゃん。でもその後の人生どうしたらいいんだろ。残りのメンバーで世界征服でもやっちゃう?』
「おっ、楽しそうじゃん。おれ乗った!御猫様組織の幹部にしてくれよ」
『ポルナレフさんは御猫様の下僕になりたいの?』
「んん〜、絶対なりたくねーからやっぱ降りるわ。言葉って大事だねぇ〜」
そんな会話をしながらブラッシングをしてると、あっという間に10分が経ってしまった。話し合った結果、火を放たずに屋敷へ侵入することに。
屋敷内は真っ暗だ。アヴドゥルさんのスタンドの火を使って奥へと進んでいく。敵と遭遇したけど呆気なく倒して終わった。
もっと敵の懐の最新部へ。ってな具合で歩きを進めると、新たな敵が現れた。その敵はポルナレフさんを狙ってた。
アヴドゥルさんは敵の攻撃からポルナレフを庇った。間髪いれずに敵の攻撃がアヴドゥルさんへ。それを庇おうとすかさずドロップキック。壁に激突したアヴドゥルさんの首がグルンと回った。アヴドゥルさんはエクソシストに転職した。
おかげさまで、今の一瞬の出来事で、空気が死んだ。アヴドゥルさんも死んだ。
「でもですね、死闘ってのは、何が起こるか分からないですからね」
そう言ったアヴドゥルさんの言葉が脳内で繰り返し再生される。その意味を体を張って教えてくれた。そこまでしなくてもいいのに。
「…アヴドゥル…?」
「…ガゥ…」
「…嘘…だろ……アヴドゥル!アヴドゥルゥゥゥ!!!」
ポルナレフさんはエクソシストを極めたアヴドゥルの亡骸を抱えて叫んだ。一緒に叫びたかったけど、我、自重した。
「どうしてくれんだよ!お前のせいでアヴドゥルがッ!アヴドゥルがぁぁあああ!!」
ポルナレフさんの叫びが響き渡る。まるで私がアヴドゥルさんを殺したみたいな言い方だ。ホントそういうの止めてほしい。
助けようとしてドロップキックしただけであって、誰も壁に激突してエクソシストに転職しろなんて言ってない。勝手に転職したのはアヴドゥルさんだ。我、悪くない。ワレ、ワルクナイ。
心の中で言い訳を並べてたけども、ポルナレフさんの腕に居るエクソシストを極めたアヴドゥルさんがマジで怖いので、さっさと蘇生させようと思います。
でも、此処で蘇生するとバトルの邪魔になりそうだし、安全快適に蘇生出来る場所を探そうと思います。
『ってことで、移動するね!今の出来事は皆にナイショだぞ?』
「当たり前だ!お前に殺されたなんて言えるワケねーだろ!」
『人聞きの悪いこと言わないで!助けようとしたの!善意なの!御猫様は無罪!罪があるとすれば攻撃をしかけた敵!もしくは勝手にエクソシストに転職したアヴドゥルさんなの!』
「心底最低だ、とことん性根が腐ってやがるぜ」
ポルナレフさんとイギーのありえねえって視線が突き刺さる。でも気にしたら負けなので、スルーしてアヴドゥルさんの両足首を掴んだ。
『ディオ様によろしくな』とドヤッて、安全快適に蘇生出来る場所を求めて、エクソシストを極めたアヴドゥルさんを引き摺りながら、屋敷内をウロウロ。
「……やぁ、久しぶりだな」
タイミング悪いことに、今回の目的であるディオ様に出会った。今はディオ様にかまってる場合じゃないので、舌打ちで返事をしてディオ様の横を通り過ぎようとした。
ハッと気づけば、ディオ様が目の前に。また舌打ちして、ディオ様の横を通り過ぎようとした。ハッと気づけば、ディオ様が目の前に。また舌打ちして、ディオ様の横を通り過ぎようとした。ハッと気づけば、ディオ様が目の前に。
会話をするまでループしそうだったから、ディオ様の相手をすることに。空気読めないのは相変わらずだ。
『ワタクシとても急いでるんですけど』
「……ほう、アヴドゥルは死んだか。ククッ、……クシュン!!」
『……え?』
「……違う、今のは……クシュン!!」
『……』
「クシュン!!」
あのディオ様がくしゃみをした。クシュンって……ドヤったディオ様がくしゃみ……指さして笑ってやりたいけど、クシュンクシュンと連続でくしゃみをしてるので、笑うに笑えない。心なしか苦しそうだ。
「……な、なんだ!くしゃみが止まらん!」
『風邪じゃないの?悪化する前に薬飲んで寝てなよ』
「このDIOが風邪なんぞ引くわけないだろ!」
『ですよね〜、人間止めた不老不死が風邪なんて引かないよね〜』
「あーくそ!鼻がムズムズする!目も痒くなってきた!何なんだ!さっきまで何ともなかったのに!」
『それって猫アレルギーじゃないの?』
「……猫アレルギーだと?……確かにお前と会ってくしゃみ等の症状が現れたな」
『それじゃ行くね。また後で殴りに来るから待っててね』
「このDIOが猫アレルギー……しかも今さら猫アレルギー……んん?もし猫アレルギーだとしたら猫は飼えない……ってことは、御猫様が飼えないってことじゃあないか!こんなにも愛してるのに飼えないだと!?なんだこの要らぬ愛憎設定は!どうしてワタシばかりこんな目に!……まさか!ジョナサンの呪いか!死んでも尚このDIOの邪魔をするのか!やっとなんだぞ!やっと御猫様をこの手に抱けると思ったのにィイイ!!」
一人で叫んでるディオ様の邪魔をするのもなんだったので、ぺこりとお辞儀をして、安全快適に蘇生出来る場所を求めて歩き出した。
結果、屋敷の玄関付近まで戻ってきた。ここなら安全快適に蘇生出来る。ささっと生き返らせよう。
『よし!』と意気込んで、ハエ叩きを出せば、「アヴドゥルと御猫様じゃ!」と言うジョセフの声が。タイミング悪くジョセフ達が戻ってきたのだ。
ハエ叩きを持ったままピシリと固まって冷や汗ダラダラの私を余所に、ジョセフ達が血相抱えて駆け寄ってきた。
「……アヴドゥル!?く、首が折れてエクソシストに転職しとるぞ!?一体何があってこうなったんじゃ!?」
「…これは…敵に殺られた…………いや、御猫様の様子が変だ。明らかに何かを隠してると思うんだが、……承太郎、どう思う?」
「……あー……なるほど……」
ホントそういうの止めて。死因を特定しようとするの止めて。そして承太郎さん、ガン見しないで。どうせ以心伝心でネタバレしてるんでしょ!あーそうですよ!私が殺りましたよ!でも善意の事故だったの!手加減したつもりだったけどエクソシストに転職してしまったの!我、悪くないの!
「な、なんだと!?御猫様がアヴドゥルを殺ったのか!?」
『クソッ、心の声が漏れてやがる!そうですよ、私が殺りましたけど、何か?』
「な、なんでそんなことを……仲間を殺しといてなんで開き直れるんじゃあああ!!見損なったぞ御猫様!今回ばかりは!わしはお前を許せんんん!!」
『うるせーよ黙れよ!どうせ生き返るんだし別にいいじゃん!何でギャンキャン怒るの!?』
「なんということじゃ……性根が……腐っておる……」
『腐ってて悪かったですね!!』
半ば八つ当り半ばヤケクソでハエ叩きのピンセットを抜いて心臓目掛けてブスリと刺そうとした。でも、承太郎さんの一言で降り下ろした腕が止まった。
「誰がなんと言おうがお前は無実だ」
『……え?』
「「……え?」」
「例え殺人鬼だろうが、最低最悪の女だろうが、何があっても俺だけはお前の味方だ」
『…承太郎さん…』
「証拠隠蔽だって何だってしてやる。お前の為なら、お前の望むこと全てを、俺が叶えてやる」
『…承太郎さんっ…!!』
こんなタイミングで口説き文句を言ってくれた承太郎さんに抱きついた。でも、そっと肩を押し返して、真っ直ぐな瞳でじっと見つめてきた。
「無惨な死を遂げたアヴドゥルの為にも……今、ここで、頑張れ。それがお前に出来る罪滅ぼしだ」
『うん、頑張る!!』
承太郎さんがやる気スイッチを押してくれたので、ノリノリで蘇生した。バチバチっと痺れた後にグルンッと回る視界。一瞬だけ見えた最期の景色は、顔が真っ青のジョセフだった。
「ヒィィイイ!!?く、首が回りおった!エクソシストじゃ!ホラーじゃあああ!!わし無理!これトラウマ!」
「……うっ、……分かってはいますけど、あまりいいものではないですね」
「……出来ることならもう二度と使って欲しくないスタンド能力だぜ」
「「…まぁ…、今回は自業自得だけど」」
「おい!ストーカー野郎!!ちんたらしてねーでさっさと治せ!」
ーー「だ、誰がストーカーだって!?この性悪男め!お前なんかこうしてやる!!」ーー
「ッッ!!?……おい、そこのモヤッたストーカー野郎。今、俺に石を投げやがったのか?……この俺に、……石を……」
ーー「トドメはナイフだあああ!!お前なんかに御猫様は渡さんんんん!!滅びろこの大魔王め!!」ーー
「上等だてめえ!!ブッ殺してやる!!」
「「(…今、ここで、このタイミングでバトらなくても…)」」
こうして、最後はアヴドゥルさんも私も全然全く一ミリも関係ない話になったけど、アヴドゥルさん蘇生事件は無事に幕を閉じました。
ちなみにアヴドゥルさんの死因は、ポルナレルさん、イギー、ジョセフ、花京院君、承太郎さん、皆で話し合った結果、ナイショにすることに。
なので、アヴドゥルさんの死因は、
『ヴァニラアイスっていうレオタード?着たピチピチのモッコリなオッサンが襲ってた!』
「……レオタード?着たピチピチのモッコリなオッサン……ピチピチのモッコリなオッサンに襲われた……っ、……うー!ううー!!」
「「「「『(レオタード?着たピチピチのモッコリなオッサンに殺されるくらいなら、仲間に殺された方が幾分かマシな気もする)』」」」」
墓まで持っていこうと思います。