番外編/短編/過去拍手文/
□だるまさんが転んだ
1ページ/2ページ
親にお使いを頼まれた。買い物に行く途中、露伴先生とばったり会った。
露伴先生も買い物に行くとかで、なら一緒に行こうと、最近の御猫様の恋愛模様を聞きながらスーパーへ。
その途中の公園から「「ドラオラドラオラ」」と、どこぞのドラオラコンビの掛け声が聞こえた。露伴先生の目が輝いた。
「行こう!あそこ行こう!」と、子供みたいにはしゃぐ露伴先生を連れて、オラドラコンビと猫の居る公園へ。
無表情で新聞を読んでる承太郎さん、ポケーっとしてる御猫様、御猫様に引っ付いて離れない仗助くん。三人仲良くベンチに座って、その後ろでオラドラコンビの猛攻。目を背けたくなる光景だ。
でも、僕達の登場に気づくなり、承太郎さんがオラドララッシュを止めた。今さらなのに、大人気ない所を見られたくないみたいだ。ホント今さらなのに。
「こんにちわ!何してるの?」
「康一こそ露伴先生と何してんの?」
「親に買い出し頼まれて、さっきたまたま露伴先生と会ったんだ」
「親の手伝いをするなんて、さすが康一くんだ。どこぞの下僕犬も見習えばまだ使い用はあるんだがな、いかせんただのアホ犬で何の役にも立ちゃしねえ」
「ちょっと何を勘違いしてるんスかぁ〜。俺を使っていいのはエロオヤジじゃなくてハルだけっスからね〜」
「ははっ、さすがジョースケ君だ。下僕犬とアホ犬を自分で認めやがった。偉いぜ、褒めてやろう」
「ははっ、さすがネコ耳っ子マニアのヤンデレエロオヤジっスね。人の揚げ足取るのが上手いっス。だから知らぬ内に奥さんネトラレるんスよ」
「「……オラァ!/……ドラァ!」」
また始まったオラドララッシュ。この二人はどうしていつもこうなんだろう。
そういえば露伴先生は……と、一番テンションが上がってそうな露伴先生を見ると、物凄いスピードで何かを描いてた。
「創作ッ、意欲がッ、湧き上がるッ!」
どいつもこいつもって言いたい気持ちをため息に変えて、先程からポケーっとしてる御猫様に声を掛けようとした。
『あっ!そうだ!だるまさんが転んだにしよう!』
一体何の話だ。
「絶対に嫌だね」
「俺も嫌だぜ」
二人はオラドララッシュを止めて、すごく嫌そうな顔で断りを入れてる。
『康一くんも岸辺露伴も一緒にしよう!皆でした方が楽しいよ!』
「えっと、……何の話ですか?」
『今ね、誰がジュースを買いに行くかで揉めてたの!』
「うわっ、しょうもなっ!!」
「「あ?」」
「いえ、ナンデモナイデス」
『ってことで、だるまさんが転んだで勝負しよう!』
「「イヤだ」」
子供みたいな遊びが余程嫌みたいだ。かくいうぼくも絶対に嫌だ。お使いを理由に帰らせていただきます。
「何やら楽しそうじゃあないか。ぼくは参加するぞ!……優勝者には、ヘブンズドアーを自由に使える権利を!」
「「「『……なに?』」」」
「知りたいことがあれば、それを読ませてもらう。命令を決めてくれれば、ぼくがそれを書き込む。ただし、それぞれ一回だけ。そういうことに使うのは趣味じゃあないけど、何かあった方が楽しいだろ?」
「「『やるー!!』」」
「やれやれ、仕方ないか」
露伴先生の提案に両手上げて賛成。あの承太郎さんですらノリノリ。当たり前だ。ヘブンズドアーを自由に使える権利、つまり!好きに命令が出来る権利!
こんな美味しい話を逃すバカはいない。勝てばいいのだ。もし負けたとしても、オラドラコンビに巻き込まれる心配も、デメリットもナシ。あー、地味キャラで、本当に良かった!
『今回の特別ルール確認!このベンチが基点、鬼に触れた人が優勝、もしくは、鬼が全員アウトにすれば鬼の優勝、これでよろしい?』
「「「「問題ナシ」」」」
『それじゃあ、ジャンケン、始めるよー!ジャーンケーン………ッポン!!』
「あああああ!!!?」
「「「『チッ』」」」
地味キャラの運命なのか、鬼になってしまった。しかも一発で運命が決まるなんて…スタープラチナ並の動体視力があったら、こんな勝負負けないのに。
ハッ!?だから皆さん舌打ちしたんだ!鬼が一番良いポジションだもの!少しのズレでアウトに出来るもの!
「時止めナシっスからね!」
「分かってる」
「いや絶対にわかってねーっスよ。コンマ単位で時止めて距離縮めてそうっスもん」
「分かってる」
「何が!?あんたって根本的に人の話聞いてないっスよね!?」
「お前限定でな」
「は〜ら〜た〜つ〜!!」
「ぼくは"停止"に自信がある。ヨガで体幹を鍛えてるからね。ほら、みて」
『うわマジだ!わたしもネコ科だから関節柔らさに自信あるの。ほら!』
「ほうほう、では……こうだ!」
『むむっ、ならば……こう!!』
いつの間にか四人はベンチから離れて横一列に並んでる。オラドラコンビは未だに言い合い、露伴先生と御猫様は変なポーズ対決。こいつら相手に勝てる気でいた自分を殴りたくなった。
勝てるわけなかったのだ。この個性派揃いの中で地味キャラが勝とうなどと、厚かましい考えだった。
だけど、ぼくはやる。やってやる。絶対に四人を捕まえて優勝してやる!ぼくだってやれるんだ!
「いきますよー!」
「おう!いつでもきやがれ!」
「……」
「ならば……こう!!」
『それなら……こう!!』
変なポーズ対決をしてる二人は放置でいいとして、四人に背中を向けて、すぅっと息を吸い込んだ。
いざ、尋常に、勝負です!!