番外編/短編/過去拍手文/

□御猫様の恋の駆け引き事件簿〜シリーズ1〜
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ジョナサンがデートに行ったあと、ディオ様の部屋に遊びに行った。今日も紅茶を用意してくれてる。用意周到なヤツよ。

雑誌とメモ帳&ボールペンセットをテーブルに置いて、ソファーに腰掛けた。ディオ様も本を片手に隣に腰掛けた。いつもはベッド辺りにいるのに。

まぁ、ディオ様との距離感はどうでもよいとして、今日は昨日の続きである【これで貴女も報われる!片想いの男を落とす10の方法!】のステップ3とステップ4を習得しようと思う。

まずはこれから。【ステップ3、会話をするときは見つめながら「うんうん」と相槌する】だ。

昨日は一秒アイコンタクトだったのに、今回は見つめるらしい。見たいのか見たくないのかどっちなんだって思った。しかもステップ3なだけあって昨日よりも難易度が上がっている。これは参った。今回は無事にクリア出来るかどうか微妙な所だ。

見つめながら相槌するのは簡単だが、これの問題は会話だ。ディオ様と会話って何をテーマに喋ったらいいの?という壁にぶち当たる。ジョナサンと違って共通の話題がないのだ。

ジョナサンとなら飽きずにお喋り出来るのに!相槌する前に話題探しからスタートとかメンドクセー男だな!何でディオ様なんかの為にここまでしなくちゃあならないんだ!理不尽だ!

心の中でブツブツ文句言いながら紅茶を飲んでると、ディオ様が「話がある」と声を掛けてくれた。

しめた!これで【ステップ3、会話をするときは見つめながら「うんうん」と相槌する】がサクサク進むぞ。やはり運に恵まれた御猫様だ。こうも上手くいくなんて……まっ、これも御猫様の実力ね〜ん。

よし、【ステップ3、会話をするときは見つめながら「うんうん」と相槌する】をクリアする為に、ディオ様の話をディオ様を見つめながら【うんうん】と相槌してやろうではないか!

ってことで、隣に座ってるディオ様をじっと見つめながら『うんうん』と相槌。ディオ様の横顔のイケメンっぷりがヤバくて会話どころじゃなくなった。


「き、昨日の話だが……その!俺がダンナっていうのは……本当か?」

『うんうん(ディオ様の顔の向きが正面だったら悩殺されてたわ。横顔素敵。イケメンさん)』

「……アイツは……諦めたのかよ」

『うんうん(これでクソみたいな性格してるんだもんなぁ。私に対しても鬼畜系ドSで攻めてくれたらいいのに本当に残念無念な人だ)』

「……そうか、……じゃ、じゃあ、別に嫁にもらってやらんこともないな!フンッ、お前を飼い慣らすなんぞ朝飯前だ!」

『うんうん!(ただのツンデレで攻められてもドキドキしないよぅ。もっと凌辱的なプレイで快楽堕ち……イイね、そっちのディオ様なら好きになれそう)』

「だが、そうだな、……ジョナサンにも父さんにもナイショにしてろよ。報告するのはまだ早い」

『うんうん(あ、でも、あんなにも優しいジョナサンが実は鬼畜系ドSで……キャーナニソレ超ドキドキするぅ!ハァ……今日辺り……何か言わせてみようかな……ハァッ)』

「……その……まぁ、……それだけだ」


鬼畜系ドSジョナサンを妄想してる間に会話が終わったらしく、ディオ様はそっぽ向いて読書を始めた。

もしかしたら話を聞いてなかったのがバレてたのかもしれない。『ごめん、鬼畜系ドSジョナサンで頭がいっぱいであんたの話聞いてなかった』なんて言えないから、それを誤魔化す為に、ディオ様の腕にピッタリ引っ付いてみた。


「…………ゴホンッ」


咳払いを一回しただけで特に何も言ってこないから、話を聞いてなかったのがバレたワケじゃなさそうだ。むしろゴキゲンに見えなくもないぞ。

いつもなら「やめろよ」と言って腕を振りほどこうとするのに今回はそれがないのがイイ証拠だ。

やはり【これで貴女も報われる!片想いの男を落とす10の方法!】はスゴイ事がまたしても証明された。この調子で次へ進もう。


「……あ……」


ディオ様から離れて次のステップを雑誌で確認。【ステップ4、彼を真似して同じ言動をしてみる】と書いてあった。

真似て同じ言動を……なるほど!つまり、おうむ返しか!くぅ〜、やはりステップを踏むごとに難易度が上がってるぜ!

おうむ返しで何で好感が持てるのか謎だけど、今まで成功してるんだもの。きっと何か理由があるはずだ。【これで貴女も報われる!片想いの男を落とす10の方法!】を信じてやってみよう。

パタンと雑誌を閉じて、またディオ様に身体を向けて見つめると、何故かディオ様も私に身体を向けて見つめてきた。

な、なんと!こ、これは!おうむ返しの返しじゃあないか!やるな、貴様!って驚く気持ちをグッと堪えて、じっとディオ様を見つめる。すると、ディオ様の手が伸びてきて、私の頬をスッと撫でた。だから私もディオ様に手を伸ばして、ディオ様の頬を撫でた。


「……柔らかいな……」


フニフニと指でほっぺたを摘まんできたので、お返しにディオ様のほっぺたを摘まんでやった。


『ディオ様も柔らかいよ?』

「そうか?」

『そうじゃない?』

「なんだそれ」

『なんでしょう』


珍しくクスリと笑ったディオ様に笑顔で返したら、ほっぺたを摘まんでた指が耳へ。同じく私も耳へ。フニフニされたからフニフニし返すと、手が耳から移動して後頭部へ。思わず両手でディオ様の頭を掴んでしまった。

だってこのままいくとチューは確実コースみたいだったんだもの。確実に唇狙いできてたもの。勘違いするの止めて。私は【これで貴女も報われる!片想いの男を落とす10の方法!】がホンモノなのか実験がしたいのであって、ディオ様とキスがしたいわけじゃあないの。私の唇はジョナサンのモノなの!


「……ぐぬ……」

『……ぬぅ……』


ディオ様はおうむ返しの返しを発動して両手で頭を掴んできた。力を込めてコッチに顔を近付けようとしてくる。だから私もおうむ返しの返しの返しを発動して、力いっぱいそれを塞き止めてる。

お互いの頭を掴み合って、まるでプロレスみたいな光景だ。なんだ、一体これのどこが恋に発展する要素があるというのだ!

キスしようとするディオ様とそれを阻止する私、二人で「『ぐぬぅ』」と言い合ってたら、コンコンっとノック音が。そしてジョナサンの声が聞こえた!

これはマズイ。ディオ様と遊んでたってことがバレると非常にマズイ。ネチネチグチグチ言われてしまう!何でディオ様と遊んでいたのか、これを答えるまで寝かせてもらえないコース確定だ!

そうなると、【これで貴女も報われる!片想いの男を落とす10の方法!】の実験がバレてしまう!ダメだ、それはダメなのだァァアア!!考えろ、どうにかして誤魔化せるイイ方法を……ハッ!!そうだ!アレをしよう!


「あの……、ディオ、御猫様が何処にいるか知らないかい?」

「俺が知るか!いいか!今、扉を開けるんじゃあないぜ!」

『私は此処だーッ!!』

「この間抜けめ!何故暴露……ぐぬぅ!?」

「……あー!!二人で何してるんだ!」


考えた結果、ディオ様にヘッドロックをきめてみた。これなら完璧プロレスだし、普段ジョナサンをイジメて遊んでるからそのお返しという大義名分もある。それを踏まえてみればあら不思議。【ステップ4、彼を真似して同じ言動をしてみる】もクリアしているといってもいいだろう。あとはジョナサンの反応だが……


『ヘイヘーイ、この貧弱ディオめ!御猫様のヘッドロックはお気に召してくれたかな〜ン!?』

「ッ!!ッッ!!?」

「えっと……プロレスかい?」

『そうだ、ジョジョ!一緒に遊ぼうぜ!お前もヘッドロックやってみろよ!』

「え!?一緒に!?本当かい!?三人で遊べるなんて夢のようだね!」


何とか騙されてくれたジョナサンは何故か私の後ろに座り、私に対してヘッドロックをしてきた。何故だどうしてだの気持ちをを『ぐぬっ』に込めて唸る私の耳元でジョナサンはこう説明してくれた。


「ヘッドロックってさ、後ろから抱きしめてるみたいじゃない?僕とキミ、こんなにも密着してるだろ?」

『(ナニソレ考え方変えるだけでヘッドロックが幸せロックに早変わりしちゃったんだけど!ああん!ジョナサンの吐息が!声が!耳から……ゾクゾクするぅ!!)』

「でも、余計なのが引っ付いてるね。キミの腕の中に居るのは僕だけで十分だ。さぁ、ソイツを早く解放しろ。じゃないと、キミの首に回してるこの腕に少しだけ力を込める。耐えれる?……ほら、早くディオを解放しないと、このままキミを落としちゃうよ?」

『(ああああ!!幸せロック過ぎて気持ちイイ&このまま落とされた〜い!でもジョナサンの怒り具合がハンパないから離しちゃう〜)』


パッとディオ様を解放しようとしたらバンッ!と部屋の扉が開いた。そこにいたのは我らが当主であるジョージだった。


「騒がしいなと思えば……あっはっは!楽しそうな遊びをしているじゃあないか。どれ、私も参加しよう」


ジョージはニコニコ笑いながらジョナサンの後ろへ行きヘッドロックをきめた。ジョナサンの方から何かミチッて聞こえた。


「ジョナサン、お前にはガッカリだよ。御猫様に対して酷いことをして……少しはディオくんを見習ったらどうだ?」

「ぐぅっ!!?」

「御猫様の為に自らの首を差し出す勇気!尊敬に価する!それなのにお前ときたら……御猫様を放置して他の女とデートばかり!一度罰を与えんと分からんようだな!」


ジョージのせいで話の流れがおかしいことになってきた&ヘッドロックに飽きたからディオ様を解放して、私もジョナサンから離れた。


「……ゴホッ……ゴホッ……」


咳き込むディオ様を見ると首が赤くなってる。今さらだけど申し訳無くて、ディオ様に『ごめんね』と謝った。すると、外面用の笑顔の仮面を貼り付けて、わざとらしく丁寧に好青年風にこう言った。


「いいえ、これで貴女の気が紛れるのなら何をされても構いませんよ。えっと……プロレスで遊んだら次は散歩でしたよね?では、行きましょうか」


手を差し出してきたディオ様に悪い気はしなかったので、その手に自分のを重ねて、手を繋いで散歩へ行くことに。


「ほら見てみろ!お前がボケッとしとるからディオに抜け駆けされるんだぞ!これでいいのか!それでもジョースター家の長男かーーッ!!」

「(ディオ……、よくも僕の御猫様をッ!ディオっ、ディオォォオオ!!)」


ジョナサンの心の叫びを知らない私は、ディオ様と一緒に庭にあるバラ園で仲良く遊びました。

でもそこでもやっぱりヘッドロックな流れになったので、おうむ返しは難しいなぁと思いました。
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