番外編/短編/過去拍手文/

□御猫様の恋の駆け引き事件簿〜シリーズ4〜
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【これで貴女も報われる!片想いの男を落とす10の方法!】も終盤へと差し掛かった。

残りあと2つ。【ステップ9、トモダチに協力してもらう】と【ステップ10、恋の駆け引きはし過ぎない】だ。

今回は確実に上手くいくだろう。なんせ強力な助っ人がいる。吉良吉影のパパだ。吉良吉影をメロメロにしたいから〜って言ったら二つ返事で承諾を得た。しかもアドバイス付き。これでステップ9はクリアしたも同然だ。

残りのステップ10はしなくても大丈夫だろ。駆け引きをし過ぎないって意味分かんないし。少し積極的にやった方がいいに決まってるので、ステップ10は省いてオッケー。ってことで、最終的な仕上げをやっちゃいましょう。

パパと計画を練ったり、バドミントンして遊んでるうちに、あと数分で吉良吉影が帰ってくる時間になった。準備は万端。あとはオヤジさんのアドバイス通りに行動すれば、安泰の引きニート生活を手にすることが出来る!

注意:御猫様は吉良吉影の優しさにより当初の目的を忘れています。

気合いはじゅうぶんだけど、あと少しの勇気を貰おうと思って、この前拝借したワイン瓶片手にゴクゴク飲みながら玄関へ。


『これで吉良吉影は我輩のモノになるのッッダアアア!!?』


上手く歩けなくて壁にぶつかって、その拍子で転けてしまった。ほんのちょびっと酒が回りすぎたようだ。フラフラしてグルグルするぜ。でも丸ごと飲み干してやるぜ!


『……酒!!飲まずにはいられないッ!浮気者ジョセフと同じことをしてる自分に荒れているッ!クソッ!』


ディオ様のモノマネをしながらめっちゃ美味いワインを全て飲み干し、勇気を手に入れた私は雄叫びを上げた。


『WREYYYY!!あの男を御猫様の虜にしてやるぜーーーー!!』

「ただいま。大きい声で叫んだりしてどうしたんだい?」

『吉影ちゃーーーん!!ンチュー!!』

「ンンン!!?」

『しよ?いっぱいチューしよ?』

「……ええええ!!?」


ここまでが覚えている範囲だ。このあと吉良吉影が帰宅して何があったのか、私は知らない。

でも、酷い頭痛に悩まされながらも意識が戻った時、ご飯だと出されたしじみのお味噌汁と塩と鮭のおにぎりがめっちゃ美味くて泣いた。

それと吉良吉影の首元やらに赤い痕があったのを見た。目が合うと顔を赤らめて「気持ち良かったよ」と意味深なことを言われた。

話を掘り下げても良いことは絶対にないだろうし、吉良吉影も「覚えてないのか。飲んだ時の【あの事件】はノーカンってことにしよう。ボクも……その……耐えれなかったんだ。もう一度改めてキミを……」と言ってくれた。

なので、飲んだ時の【あの事件】は掘り返さずに、忘れたままこの先を生きていこうと思います。



▼▼▼▼▼


オラドラまでカウントゼロになってしまった。

吉良吉影に捕まった時の事を岸辺露伴に読んでもらったとき、御猫様の身にあったことを岸辺露伴がメモ書きしていたらしい。

それを知らなかった承太郎さんは、たまたま岸辺露伴に会ったときに、こう言われたとか。


「【御猫様の誘拐事件の真相】知りたくないですか?」

「真相だと?」

「吉良吉影とイチャコラニャンニャン「スタープラチナ・ザ・ワールド」………は?メモがないぞ!?承太郎さんは……クソッ、やられた!あのネコ耳っ子マニアのインチキストーカー変態エロオヤジめ!」


岸辺露伴から奪ったメモを持ってホテルに帰ってきた承太郎さんは、デンッとソファーに腰掛けて、私に手錠をつけて床に正座させた。

じゃあ今から【御猫様の誘拐事件】の真相を暴露しちゃうよ〜って時に、ジョースケ君が遊びに来た。そして暴露大会に参加。とんでもねえ大会が始まった。

改めてあの日々を思い返すと、吉良吉影の優しさ&紳士っぷり&手料理&お菓子が恋しく思う。とてもイイ人だった。穏やかで幸せでのんびりできた日々だった。


「完璧落ちてんな」

「ストックホルムっつーやつに?」

「吉良吉影を優しい紳士だとよ。これじゃあ説教しようにも逆効果だな」

「いやいや!どう考えてもこれは説教もんっスよ!?1回くらい痛い目みないとまたやらかしますって!」

「お前がやっていいぜ」

「俺がやっていいの!?」

「どーぞ。煮るなり焼くなり、今までの思いを込めてケツ叩きするなり、好きにしてイイデスヨ」

「(今までの思いを込めて……俺を忘れたままのコイツのケツを……)」


【御猫様の誘拐事件】の真相を知って一番暴れそうな人が途中退場。予想してなかった状況だ。でもこれで説教ナシ。ジョースケ君が説教する流れだけど、でも仗助君だもの。たかが知れてるわ。

大魔王様からの説教を回避したことに『ニャフフ』とほくそ笑みながらソファーに座り直すと、ジョースケ君がやって来て何故か私を四つん這いにさせた。


『にゃ?にゃ?』


よく分かんない状況になってきたので、首を傾げながらジョースケ君を見た。そこには大魔神様&大魔王様に匹敵しそうなほどの貫禄を滲ませてる大悪魔がいた。

大魔神&大魔王よりもまだ幼いが、それでも御猫様をブルブル震えさせるには十分な貫禄で、普段温厚だからこそ怒り時との温度差が半端ないというか。ジョースケ君の裏の顔は大悪魔というか。早く逃げないと大悪魔にやられてしまうとか。

ブルブル震える体をじわりじわりと動かしてると、ガシッと腰に腕を回してきた。我の震え方がブルブルからガタガタに変化した。そして大悪魔がとても低い声で話しかけてきた。呪いのスペルだ。我はもう死ぬのだ。


「話が違うぜ。誘拐ってよりも浮気だろうが、完璧に」

『違っ、違うにゃ!浮気じゃないにゃ!』

「野郎に心許した時点で浮気だろ。何なのお前。浮気ばっかじゃん。これで2回目だぜ。2回も我慢してやってる俺の気持ちがどんなか知ってる?それを忘れられてる俺の気持ち知ってんの?つーか俺を放置して浮気ってなにそれ。マジでケンカ売ってんだろ?」

『2回ってにゃんの話!?何か話がずれてきてにゃい!?』

「言い訳してんじゃねえ!この淫乱メスネコがーー!!」

『ぎゃにゃあああ!!?』


バッチーン!とお尻を叩かれた。あまりの痛さに逃げようと足を暴れさせてみたものの、ジョースケ君のお仕置きは止まることをしらなかった。どこぞのしんちゃんのようにお尻ペンペンペンペン&お説教の言葉が飛んできた。


「浮気してごめんなさいは!?」

『いやにゃーー!!悪いことしてにゃいもん!誘拐されただけだもん!』

「どう足掻いても証拠は残ってんだよ!俺がマジでぶちギレる前に謝れ!」

『イヤにゃ!謝らないもん!勝手にシテきたの向こうだもん!』

「はああ!?突っ込んでくれる雄だったら誰でもいいのかよ!心底ケーベツするぜ、この発情期の淫乱変態メスネコ!!」

『うわーーーん!!悪いことしてないのに叩かれた!承太郎さん助けて!!』

「そうやってまた浮気!!本当に懲りねぇバカネコだなぁ、ああ!?」


一体どうしちゃったってレベルでジョースケ君がぶちギレてる。吉良吉影について承太郎さんから怒られるなら納得だけど、何でジョースケ君にお尻ペンペンされなきゃならないんだ。しかも暴言付きで。

でもここで反抗したって火に油を注ぐようなもの。だから承太郎さんを降臨させたんだけど、それもダメだったみたいで。お尻ペンペンがお尻バッチーンバッチーンにレベルアップ。

もういい加減我慢の限界だ。1発ぶちのめしてどっちが上か分からせてやる!と心に決めた時、気づけば承太郎さんの腕の中にいた。


「大丈夫か」

『……承太郎さん……』

「すまないな」

『承太郎さんーー!!』


承太郎さんは助けに来てくれた。吉良吉影と浮気的なことをしたのに、私の大嫌いな説教もせずに、いつも通り御猫様を守ってくれた。

なんて優しくて男気があって器の大きい人なんだろう。ああ、そうだった。承太郎さんはいつだって男前なのだ。この人に勝る人なんてこの世に存在しないのに、吉良吉影の本当かどうかも疑わしい優しさに騙されてコロッと行くところだった。


『承太郎さん、承太郎さん』

「はいはい」


承太郎さんにギューッと抱きついて、いっぱいスリスリした。承太郎さんのイイ匂いがすりゅ。もうずっと嗅いでいたい。

しつこいくらいにスリスリクンクンしても嫌がる素振りもしないで、頭を撫でてきてくれる。私の旦那様最高。こんなにも最高な承太郎さんがいるのに私は何をしていたんだ。


『ごめんなさい、承太郎さん。……あなたの奥さん失格です……』


抱きしめていた腕を離して承太郎さんに背を向けた。後悔しても今さらなのに、後悔せずにいられない!

グッッと拳を握り締めて吉良吉影とのアレコレを後悔してると、後ろからそっと抱きしめてくれた。こんな私を抱きしめてくれたのだ!


「それでもお前を離さないぜ。お前はただ一人の俺の嫁だ。お前の罪ごと俺が受け入れてやる」

『……承太郎さん……』

「お前のためなら何だってしてやるって約束しただろ。分かったのならこっちを向きな。そろそろお前の笑った顔が見てーんだが」

『承太郎さーーーーん!!』


やっぱり優しくて男前な承太郎さんにもう一度抱きついた。承太郎さんもギューッと抱きしめてくれて。限界値を通り越した私はハートマークを飛ばしながらムギュムギュしてゴロゴロした。


『好きだよ!承太郎さんが世界で1番好き!』

「知ってる。……まぁ、だが、仗助の言い分も分かってやれよ」

『ジョースケ君なんて大嫌い!!』

「それもそうか。たかが説教で女のケツを叩くなんざ恐ろしい男だぜ。まぁいつかやると思ってたが。これに懲りたら仗助に近づくんじゃねーぞ」

『はーい!承太郎さんの言うことに従うの〜!』

「よしよし、イイコだ。お前は本当にイイコだ」

『きゃー、褒められた!』


私の罪を許して何故か褒めてきた承太郎さんにメロメロなってると、ほんのすぐそばで闇のオーラを感じた。きっとドラだ。ドラが闇を発動してるのだ。

こうなると高確率でオラも参加して、オラドララッシュってメンドクセー流れになるので、『ニャンニャンしたいからお風呂入ってくるね!』とテキトーなことを言って逃げた。


「ハメやがったな、このエロオヤジ!俺にムチの担当させてテメーはアメ役かよ!おいしいところ奪いやがって!テメーがお好きにって言ったんだぜ!何でこんなことすんの!?」

「下僕犬を有効活用しようと思った。うまくいったぜ。やるな、お前はジョナサン以上に使える下僕犬だ」

「もう言葉も出ねえわ!!おとなげなさすぎて失笑だわ!!少しは俺の悲しいポジションってのを理解して優しくしてくれません!?いい加減泣くよ、マジで!」

「おっと、そうだった。すまない、可哀想なジョースケ君。大嫌いと言わせるつもりはなかったんだ。やれやれ、あいつは俺の機嫌の取り方を熟知してるぜ」

「…………もうダメだぜ。キレた。俺の中の今までため込んだ想いっつーやつが、プッツンしちまった。お前がいなくなれば……お前がキエレバ……オマエノセイデ……」

「言ってろ、この万年失恋男」

「今日こそぶっ殺してやる!……ドラララララァァ!!」

「オラオラオラオラオラァァ!!」


っていう、二人のオラドラボイスがシャワールームまで聞こえてくるけど、聞こえないフリをして、今回の教訓をまとめました。


【ステップ9、トモダチに協力してもらう】
→有能な助っ人ならうまくいく。でもお酒は厳禁。

【ステップ10、恋の駆け引きはし過ぎない】
→承太郎さんのためにも、オラドラのためにも、自分のためにも、恋の駆け引きなんて二度としないと心に決めたぞ。(承太郎さんとジョナサン以外で)

御猫様の恋の駆け引き事件簿〜シリーズ4〜
〜完〜
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