番外編/短編/過去拍手文/

□御猫様の恋の駆け引き事件簿〜シリーズ5〜
5ページ/6ページ

一緒に遊ぶと騒ぐジョルノ君を引き連れて部屋へ戻ると、ジョナサンが叫びながらジョルノ君に殴りかかった。


「うおおおお!!ディオォォオオオ!!」

「ええ!?」


どちらかと言えばジョースター家寄りの顔立ちだよ。ディオ様に似てるの髪の毛の色くらいだよってツッコミしようと思ったけどやめた。

ジョナサンはディオ様にトラウマを持ってるし、というか、ジョルノ君は羽ばたいてしまったもの。ツッコミしたって色々と遅いんだもの。


「ああああ!!?これディオじゃなくてジョルノ君だった!ど、どうしよう!やってしまった!」


ジョルノ君に駆け寄って絶叫するジョナサンをスルーして暖炉の前に座った。しばらくすると「ふぅ」といい仕事したってサッパリ顔のジョナサンが隣に座ってきた。

振り返って追加された屍を確認。4体ともスヤスヤと寝息を立てていたので、またファンタジーで何かしたんだと思う。心の平穏のためにも何をしたのかは聞かないでおこう。でも代わりに謝ります。


『すまぬッ!』


4体に向けて合掌。誠心誠意真心込めて謝ったので、これでヨシ!また煖炉の方を向きジョナサンに寄っ掛かって、例のアレを続けることにした。

さっきとんでもねえネタを落とされた&ジョルノ君の登場で忘れてたけど、まだ恋の駆け引きの途中なのだ。

次は【ステップ7、愚痴を聞いてあげる】と【ステップ8、積極的にボディタッチをする】だ。これはブチャラティ様のアドバイスを思い出さずともよい。簡単。スッゲー簡単。

でも、長丁場ってかジョナサンのマシンガントーク炸裂一人言オンパレードになると思われるので、先に飲み物を作ることにした。


『よっこいしょ』


ジョナサンに寄りかかるのをやめて立ち上がると、ジョナサンが手を握って「どこ行くの?」と、とても寂しそうな表情を浮かべて聞いてきた。

寂しがり屋にもほどがあるけど、つい数週間前にジョナサンの姿を認識出来るようになったばかり。杜王町の事件から数年間、ずっと独りだったんだもの。また会えてやっと会話が出来る、それがとても嬉しいんだと思う。勿論、私もそうだ。

でも裏を返せば、不安だらけで極度の寂しがり屋になってるってことだと思う。また消える、また独りになる、その恐怖を私は知っている。

だから飲み物を諦めて座り直したら、安心したように、ジョナサンが腰に手を回してすり寄ってきた。

それじゃあさっそくステップクリアしていこうと、『愚痴溜まってない?』と、覚悟を決めて声をかけた。ここからはやっぱりジョナサンの独壇場だった。


「愚痴なら溜まってるよ。まず、一刻も早く承太郎君と別れるべきだと訴えてるのにそれを聞こうともしないキミに対して不満がある。何で別れないの?あんな男、裏で何やってるか分かんないんだよ?もう潔く僕のファンタジーで一緒に逝こう。あの空間で、小さい世界だけど幸せを築こう。二人で寄り添って生きよう。きっとそれが1番の幸せだ。何せ僕たちは人間の理を捨てた存在。僕は大魔神、キミは神様。在るべき所に一緒に還ろう。大丈夫だよ、怖くなんかない。キミと一緒なら例え暗闇でも天国、キミが居れば僕はもう満足なんだ。っていうか承太郎君の存在って何なの。ファンタジーは通じないわ、この僕を小バカにするわ、アイツ一体何者なんだ。僕の彼女に性的調教を施し、当て付けと言わんばかりのドヤ顔で僕を見てッ!クソ、思い出しただけでハラワタが煮えくり返る!大体ねキミもキミだよ!僕の存在を知っていながらよくもまぁ平気で!僕以外の男に足を開くなんて!キミがそんな淫乱だなんて知らなかった!知っていたら、あんな約束が無ければ、僕だってッ!」


ジョナサンの愚痴にテキトーに相づちを打ちながら、暖炉の火をボケーッと見つめてた。

ユラユラと揺れる火、じんわりと身体の中からあっためてくれる。何か癒される。いいね、こういうの。のんびりリラックスタイム。しかも簡単にステップもクリア出来た。

そろそろ次のステップにいきたいところだけど問題発生だ。次のステップ【ステップ8、積極的にボディタッチをする】のボディタッチについてだけど、どうすればいいのか分かんない。

ブチャラティ様のアドバイスは【テキトーに触っとけ】だったけど、テキトーに何処を触ればいいんだろうか?恋の駆け引きが出来るボディタッチだもの、きっと急所的な所だと思うんだけど。

そもそも今まで【ステップ8、積極的にボディタッチをする】って何してたっけ?吉良吉影の時は……おかえりのキス。イメトレカーズ様の時は……思い出したくないからスルーして、ディオ様の時は……ヌーだ!ディオ様の時は全裸でヌーしてた!


『ハッ( ゚д゚)』


恋の駆け引きでボディタッチするべき場所が分かったぞ。股間だ。股間を触ればいいのだ。確かに股間は急所。股間を触れば雄的本能のメロメロスイッチが入るってことを知っている!どこぞのロリ系猫耳っ子マニアのストーカーヤンデレエロオヤジで実証済みだ。

とにかく股間を触ればステップクリア。でもそれじゃあつまらん。ここはアレンジを加えてヌーしながら股間に手を伸ばすことにしよう!


『ジョナサン、ジョナサン!愚痴タイムは終わりだよ!』

「ええ、もう終わり!?……まだ全然言い足りないのに……」


シュンと犬みたいに落ち込んだジョナサンの股間に視線を落とした。ヌーしながらアレを触ればステップクリア。我の勝利。

ニヤニヤする口をそのままに、今だシュンと落ち込んでるジョナサンの股間に手を伸ばしたけど、とある重大な問題に気づいて手を引っ込めた。

ジョナサンの股間に触ったら二人の約束を破るって事に気づいたのだ。

二人の約束、キスまでって約束、キス以上はダメ、これを持ち掛けたのは私、私から破ったらダメだと思う。

でも股間を触るだけだし、ほんのちょっとさわさわぁってするだけだし、約束を破るとかそんな重大な問題に発展するものなのだろうか?

事前に股間を触っても可っていう承諾があれば……あ、いいね、それ。今回だけ特別に触らせてもらおう。そうすれば約束はそのまま維持されるし、ステップもクリアされる。

やれやれ、今回も御猫様の頭脳は冴えまくってるぜ。そうと決まればジョナサンにお願いしよう。大丈夫、ジョナサンは何でもお願いきいてくれるのだ。


『ジョナサン、ジョナサン』

「何?」

『ジョナサンの股間触らせて!』

「はあ?無理に決まってるだろ」

『え?』

「え?」


まさか断られると思わなくてポカーンとジョナサンを見た。ジョナサンもポカーンと見てきた。お互い目を合わせながら頭上にクエスチョンマークを浮かべた。


『え、え?何で?何でお願いしてるのに触らせてくれないの?』

「え、え?何で?何で僕が触らせる前提でいたの?」

『え、え?だってジョナサンはお願い何でもきいてくれるじゃん』

「え、え?いやいや場所が場所だよ?ってか何でいきなり触ろうと思ったの?」

『……』


恋の駆け引きしてました!なんて口が裂けても言えないので、スッと視線をずらして俯いた。

まさかの事態だ。ジョナサンなら好き放題触っていいって言うと思ったのに。まさか股間お触りNGだなんて!

あーもう仕方ないから別の場所を狙ってヌーしよう。でも急所を触るのに違いないので、本人が承諾した場所をヌーしよう!よし、万事解決!やはり御猫様は冴えまくってるぜ。


『どこなら触っていいの?お尻?それとも内太もも?』

「どこも無理に決まってるだろ」

『え?』

「え?」


まさかこれも断られると思わなくてポカーンとジョナサンを見た。ジョナサンもポカーンと見てきた。さっきと同じく、お互い目を合わせながら頭上にクエスチョンマークを浮かべた。


『え、え?何で?何で股間じゃないのに触らせてくれないの?』

「え、え?何で?何でアソコ以外なら大丈夫って思ったの?」

『え、え?何で?何となく股間以外ならオッケーかなって思って』

「え、え?何で?何でそんなに触ろうとしてくるの?」

『え、え?だって……』


恋の駆け引きやってます!とか口が裂けても言えないので、スッと視線をずらして拳を握り締めながら俯いた。私の顔は少し怒りに満ちている。

それを察したらしく、ジョナサンが、「発情期だね」とか何とかのんきに言ってた。しかし、少し怒りに満ちている私の耳には届いていない。

だってそうじゃん!股間以外のお触りもダメとかなにそれ!別に触らせてくれてもいいじゃん!愛人でしょ!?そんなに嫌なの!?あんたの身体どんだけだよ!ガード固すぎんだろ!って文句言いたいのを『ギリッ、ギリギリィ』と歯軋りで誤魔化した。

このままじゃダメだ。ステップクリアにたどり着けない。ちょっと落ち着こう。冷静になって話し合おう。新たな問題は、何故触らしてくれないのか?愛人にそんな権利はないのか?これだ。これが問題なのだ。


『何で触らせてくれないの?』

「だから何でそんなに頑なに触ろうとしてくるの?」

『触ったっていいじゃない!私だってジョナサンに触りたい時があるの!ジョナサンの股間触ってムハムハしたいの!テメーの股間触らせろよ!』

「ええー……」


冷静の限界値を越えたので、とりあえず手当り次第に股間に手を伸ばした。でもパシンパシンと叩いて防ぐジョナサン。股間を賭けた攻防戦が始まった。


『触らせろ!貴様の股間を触らせろ!』

「いやいや、何でアソコに執着してるの?コワイコワイ、マジでコワイ。ってかね、そもそもはキミがキスまでっていう約束を持ち掛けてきたんだよ」

『別に一回くらい股間触らしてくれたっていいじゃん!勃つもんであって減るもんじゃないんだし!』

「なにそのビックリ理論。じゃあ、僕も一回くらいキミに触れても?キミも僕も一回だけ約束を破る。これで平等、どう?」

『うむ、よかろう!』


ジョナサンがやっと股間を触らせてくれる気になったので股間に手を伸ばすのを止めた。すると、「僕から触る」って言ってジョナサンが両手を広げた。


「おいで、……キミに触れたくて……キミを抱きしめたくて、ずっと我慢してたんだ!」


屈託ない笑顔でそう言ったジョナサンに胸を打たれた。そうだ、抱擁も一種のボディタッチなのだ。何も股間じゃなくてもお触りじゃなくても良かったのに。私は股間の事しか考えて無かった。ジョナサンにセクハラすることしか考えつかなかった!


『ジョナサン!!ごめんね、セクハラすることしか考えてなくてごめんね!』


ジョナサンに飛び付いたらぎゅーっと力強く抱きしめられた。私もぎゅーっと力強くジョナサンを抱きしめた。


「そこまでして僕に触れたいと思ってくれたことがすごく嬉しい。ありがとう。って、お礼言うのも何だか変だね」

『ううん、私もありがとうってお礼を言いたいの。いつもお尻とか触ってくれてありがとう!すごく嬉しい……うん?……うーん、嬉しいよ!』

「……ハル、好きだよ」

『……ジョナサン、好きだよ』


何でいっつもセクハラしてるやつにお礼を言ったのか分からんが、笑顔でお礼を言って、二人でギュッと抱きしめあった。

作戦通りじゃなかったけど、お互いに抱きしめあった=ボディタッチってことで、無事にステップクリアした。


【ステップ7、愚痴を聞いてあげる】
→大魔神様の愚痴はこちらがとめないと永遠にとまらない。

【ステップ8、積極的にボディタッチをする】
→股間だけじゃなくて抱擁もボディタッチの一部ってことを忘れずに。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ