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□オフの日
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実は

私が卒業する少し前

とある収録を終えた日のこと。






"さゆりちゃん!今日も可愛いね!"
"ううん、まいちゃんが世界で一番可愛いよ"



収録中周りなんて一切気にせず
イチャつく 幸せモード全開のお馴染み
カップル。


飛鳥「ほんと仲良いよね~」


隣で飛鳥が楽しそうに笑っている。


そんな飛鳥が"世界で一番可愛いのに、大好きなのに。"

この気持ち…


伝えたらどうなっちゃうのかな。




私は嫌われる?距離を置かれる?



でも卒業する前に
どうしても伝えたい想い。



もうすぐ私はグループから居なくなる。




嫌われたらもう、それはそれでいい。



自分の中での覚悟はできていた。



収録終わりの楽屋で
私は飛鳥を呼び出した。





「飛鳥!ちょっといい?」


『ん、いいよ~どしちゃったの?急に深刻そうな顔して~』





「飛鳥はさ、私のことどう思ってる?」


ちょっと唐突すぎたかな??


『どうって。ふ、普通に好きだよ。』


「普通に…か…」


まぁこれが一般的な反応だよね。




『え?急にどうしちゃったの??
奈々未は私のこと嫌い?』





「ううん、そうじゃなくて…あの…」



不思議そうな顔で見つめてくる飛鳥…




「あ、あのね。その嫌だったら、私のこと嫌いになっても構わないし、うん、その…」


焦っているのか、
あたふたしてしまっているのが
自分でも分かる。



『ちょっと…奈々未らしくないよ??
ゆっくり話して?私ぜんぶ聞くから』





「うん、、えっと、、、




あのね




私は




飛鳥のことが



好き…。

好きって言ってもその、、人として、好きな気持ちもあるし、もっとその上というか、、」


だめだ。いざ本人を目の前にすると
上手く言えない。




"あれ?飛鳥??"




俯いたままの飛鳥…






「ごめん…」

やっぱり、、私、飛鳥のこと怒らせちゃったんだ。
ただただ謝ることしか出来なかった。






『ななみぃ。どうして謝るの??うっ…ぐっ』



「飛鳥!泣いてるの??」






『私も奈々未の事…好きなの。普通にって言っちゃったけど…ほんとは違うの。
きっと奈々未と同じ気持ち。』


「え?ちょっと、飛鳥…?」



どうしたらいいのか分からない。

初めての感覚…




嬉しい…同じ気持ちだったんだ。



泣いてる飛鳥を見ていると
嬉しさと、なんとか気持ちを伝えられ、
背負っていた何かが ふっと軽くなった気がした。

感情が一気に込み上げてきて私も涙が溢れる。




「ほらほら泣いたら可愛い顔が台無しだよ~」


そう言って私は彼女を強く抱きしめた。



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