NARUT〇

□おてんとさまも見てないし
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先ほどまでぽつぽつと滴るだけだった雨は、夏の夕方らしく突然本格的に降り始めた。たまらず二人は近場の茶屋の軒下に飛び込んで雨宿りを始める。後ろをついて来ていたためやや遅れたせいか、全身をししどに濡らした飛段が、あーあびしょびしょだぜ、と言いながら水滴を払う。さして気にもしていなかった角都だが、ケツの方まで濡れちまってら、というぼやきには目ざとく反応する。そうなると話は早く、そのしっとりとした胸元にするりと手を滑り込ませる。そのまま下の方まで撫で回され、オイオイ盛ってんじゃねえよ、という飛段の言葉は、煩い、という一言と唇によって遮られる。足早に通りを横切る旅人がぎょっとした表情で、絡み合う二人を見やる。生々しい水音が、雨によって掻き消されていることだけが幸いである。



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