NARUT〇

□眼福
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一昨日から雨の降り止まないところをみると、どうやら本格的に梅雨入りしたようである。蒸し暑い水を含んだ空気が体に纏わり付く、この時期は気が滅入るものだ。ちょっと休んでいこうぜ、という飛段の提案を、角都もすんなりと受け入れた。やりぃ、と飛段は口角をあげる。大樹の陰で角都が雨水を吸った頭巾を鬱陶しそうに脱ぐと、しっとりとした濡羽色の髪が零れた。飛段は外套を気にするふうで、後ろから、濡れ髪の毛束から滴る水滴までまじまじと眺める。どうにもいやなこの季節、ご褒美があるのは非常に助かる。



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