NARUT〇

□猫に小判。そして絆されかける
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早朝はまだ肌寒い。角都はとっくの昔に起床したというのに、飛段の方は布団にくるまって覚醒しきっていない様子である。まるで猫だ。
飛段は朝に弱い。叩き起したと思っても商談の途中にうとうとと船を漕ぎ始めたりしてどうにも始末が悪い。角都は手のかかる相棒を転がしながら、さっさと起きんか、そうだ、早起きは三文の徳だというだろう、と言う。
「んん、何だよ、さんもんって」
いかにも眠気を含んだ声で飛段が聞き返す。
「今でいう十五両くらいの金だ、」
貴様の好きな菓子のひとつやふたつ買える、と付け足すと、そんなはした金だったら、こうやっててめーとごろごろしてる方がましだね、とくぐもった返事が返ってきた。角都はうっかり、そうだな、と答えそうになって、慌てて口をつぐむ。金に勝るものがあってはいけないのだ。例え三文であっても。



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