NARUT〇

□送り火のむこう
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ぼうと滲んだ灯りが遠目に見える。盆の終わり、目に見えぬ祖先の諸々を再びあの世へ見送る儀式の印だ。山の新緑に浮いた橙色を横目に、くだらない、と飛段は考える。
ー死ねば終わりなんだぜ、幽霊だのなんだの、そんなのただの妄想だろうがよ。
古くなった山道の一歩を踏みしめ、隣を行く角都の背中にそっと手を伸ばす。角都は何も言わないまま、無意識的に飛段の身体を引き寄せた。形骸化した炎より、生ある相棒の体温の方が余程暖かいのだから。



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