夜が帷を降ろすまで

□2度目まして
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彼女は小さく息を吐くと、ヒソカを見上げて「まだ仕事が残っているから、見逃して欲しいの。」と言った。

意外に高い声だった。
頭の切り替えも早そうだ。

ヒソカはくっくっと笑って、ボク、こういうの弱いんだよね。とひとりごちる。


"窮鳥懐に入れば猟師も殺さず"ってこういう事だよねぇ…?


彼女のガラス玉のような瞳を見ながら、ヒソカは「…いいよ♣」と、彼女から手を離した。




「おーい、ヒソカ。片付いたか?」
マフィアを片付け終わり、転がった椅子を蹴飛ばしながらフィンクスが部屋に入ってきた。


「んっ」


彼女の意識がフィンクスに削がれた一瞬、ヒソカは素早く彼女に腕を回して深く口つけた。


彼女の硬直が、触れている首筋からも腕を回した背中から、唇からも伝わってくる。

「んんっ…んっ」


ようやく抵抗を始めた彼女の反発を、
胸の辺りに こそばゆく感じながら、さらに深くする。


「おい、女かよ。気がすんだら引き上げるぞ。」


フィンクスの姿が見えなくなるのを横目で見てから、チュッと軽い音を立てて彼女を放した。



口惜しいけど…我慢我慢…♦


悔しそうに上目使いで睨む彼女と目が合ったが、次の瞬間にはあの帯が出て霞のように消えた。



あぁ…名前、訊くの忘れちゃったねぇ…♠



 
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