咲けよ花!

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いろいろ知識があろうと未成年だけで暮らすのは簡単なことじゃない。
何をするにも大人の許可がいる。
そこで根津さんのアパートは雄英教員達が住んでいるらしく、近くに頼れる大人がいた方がいいだろうとのことでそこに住むことになった。

お金を残してくれたが、私がいまお金を稼ぐのは難しいし、どこか引っ越したいと思っていた。家が広いとお金が勿体ないし、なので根津さん達の提案に賛成した。
そして今日はイレイザーさんがアパートを案内してくれるらしい。マイクさんも行きたがっていたが、仕事があるらしい。ドンマイ。





『こんにちは、イレイザーさん』






迎えに来てくれたいつものコスチュームでは無かった、だけど全身真っ黒の格好だ。まっくろくろすけか。







『ほら、なつめもあいさつ』

「こ、こんにちは」





人見知りななつめ#は私の後ろに隠れてしまった。あまりイレイザーさんのことは覚えていないらしい。






『ああああ!かわいい!』

「心の中で言え、心の中で」




なんて言いつつもなつめの目線に合わせてしゃがむイレイザーさんが伊達に教師をしてないな、と思った。
なつめの手を握り3人で家を出る。
この3人で街を歩くなんて不思議だ。イレイザーさんはゼリー飲料ばっかりな人で、それを心配した両親がよくイレイザーさんは引きずりながら家に連れてくれば、大量のご飯を食べさせていた。
でも一緒に外出なんてしたことなかったし、こうして歩いているのは…。中学生の私と、幼い…。




『イレイザーさん!』

「どうした?」

『職質されてもちゃんと知り合いだと言いますからね!安心してください!職質されてもがっ』



イレイザーさんに頬を片手で掴まれた。やばいくっそ痛い。ほっぺが凹みそう。



「なにか言うことは?」

『ごへんなさい!!』





イレイザーさんの目が赤く光っていた。すごい怖い。怒らせちゃだめだ。この人。





「お姉ちゃん、”しょくしつ”ってなに?」

『えっとねー何かこの人変だな?って思う人にお巡りさんが声かけるんだよ』

「?イレイザーさん変なの?」

『ぶふっ!!』

「おい」

『笑ってなんかいません』




怒られそうだったので急いで顔面の筋肉に力を込める。きっと真顔のはずだ。
何事も無かったように振る舞い、足を進めれば綺麗な建物にたどり着いた。
入口は自動ドアで、中はめちゃくちゃ綺麗だった。






「セキュリティーはばっちりだ、防犯カメラももちろんある」

『これは安心ですね』

「それと言い忘れていたが、お前たちの部屋は俺の横だ」

『え』




まじか、イレイザーさんとお隣さんになっちゃうの?知っている人が横って安心するけど、生活音うるさかったら怒りそうだな…。





「ここがお前たちの部屋だ」





考え事をしていたらどうやら着いたらしい。角部屋だから右の部屋がイレイザーさんのお家か。鍵を渡され開ければ、なんだか新しい家の匂いがした。ここの部屋に前住んでいる人はいなかったのだろうか。
廊下があり、右にはトイレや洗面所、お風呂場。左には一部屋。廊下の奥の部屋はカウンターキッチンで、ここはリビングになるだろう。
そしてもう一部屋にバルコニー。




『日当たりいいし、いい部屋だねなつめ』








お父さん、お母さんと暮らしたあの家とはもうすぐでお別れだ。
さようなら。
さようなら、お父さんお母さん。






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