咲けよ花!
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見た目は高校生だけれど、精神年齢は10程違うので制服を着るのはやっぱり恥ずかしい。
コスプレをした気分なのだ。
ブレザーに赤いネクタイ、緑色のスカートは雄英高校の制服だ。
一般入試から一週間後に届いた合否通知のホログラムにはオールマイトさんに、マイクさん、イレイザーさんの3人が映り「「合格だ!」」と言ってくれた。
イレイザーさんはずっと俺まで巻き込むな、なんてずっと言っていたけれど。
なんというか、男子高校生がノリで撮った動画のようで面白かった。
そういえばオールマイトさんは今年から雄英の教師になるらしい。
学校ではきちんと敬語使わないと。
***
入試の時以来の雄英高校は相変わらず広い。
自分の教室となる1−Aを探す。
廊下も広いし、ドアもデカい。迷子にならないだろうかと不安があったが迷わず教室を探すことができた。
ドアを開けば、既に数名生徒が来ており皆期待半分緊張半分という面持ちだ。
今日から高校生、橋が転がっても笑えるお年頃の子たちと上手くやっていけるだろうかと思ったとき女の子に声をかけられた。
「あなた、入試のとき私を助けてくれた子よね?あの時は本当にありがとう。お礼を言いたかったのだけれど言えなくてごめんなさい」
『あー!全然いいのに、お礼なんて。同じクラスなの嬉しいな、私久我めぐ。よろしくね』
「蛙吹 梅雨よ。梅雨ちゃんと呼んで」
『よろしくね、梅雨ちゃん』
ケロケロと笑う梅雨ちゃんはとても可愛らしい。梅雨ちゃんに席はどうなっているのか聞けば、黒板に座席表が貼ってあるのよ。と教えてくれた。
『これは…』
「めぐちゃんの席、一番後ろの突き出てる席のようね」
『隣がいないの寂しいから梅雨ちゃん遊びにきてね』
「そうさせてもらうわ」
梅雨ちゃんとお喋りしていたら聞き覚えのある低い声が聞こえた。
「お友達ごっこしたいなら他所へ行け、ここはヒーロー科だぞ」
『い!!?』
「どうしたのめぐちゃん?」
人差し指を口元に当てながら私を見る梅雨ちゃんに何もないよ、と言いながら登場したイレイザーさんに目を向ける。
「ハイ、静かになるまで8秒かかりました。時間は有限。君たちは合理性に欠くね」
黄色い寝袋からぬーと出てきたイレイザーさんに、教室内は静まり返る。
「担任の相澤消太だ。よろしくね。早速だが、これ着てグラウンドに出ろ」
担任だとぉぉぉぉおお!!!?と叫ぶ、心の中で。
出席番号順に呼び体操服を渡していく、イレイザー…いや、相澤先生に呼ばれることに緊張し胃が痛くなる。
名字を呼ばれ、体操服を受け取るという行為ですでに疲れてしまった。
これから学校生活、過ごせていけるだろうか。
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