咲けよ花!

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中学2年の冬、両親が死んだあの日。
朝、学校に行く私を見送ってくれた両親といつも通り"いってきます"を言って家を出た。
最後に聞いた両親の「「いってらっしゃい」」はいつも通りだった。



その日の5限目の授業の途中、確か英語の授業だった。
いきなり胸騒ぎが起こった。ドクンッ、ドクンッと心臓の音が聞こえる錯覚がするほどだった。
わからないこの恐怖感、その時頭の中で思ってはいけない、思いたくない言葉が浮かんだ。






お父さんとお母さんに何かあったんだ








なにか確信めいたその言葉にいても立っても居られず、私は学校を早退し家に帰った。
帰ってる途中に何度も両親に電話したが繋がらず、家に着いた瞬間電話がなった。



お父さんかお母さんか、もしくは迷惑電話出会ってほしいと願った。
早退したことが学校から電話が行き、「大丈夫か?」って私を心配した電話であって欲しいと願った。





けれどその願いは叶わなかった。





電話は警察からで、大きな病院の名前を聞いたことだけは覚えている。
聞いた病院に行くともう両親は既に亡くなっていた。
両親は市民を庇い亡くなったと聞いた、敵も捕まえたと。市民に怪我は一つとなく、名誉ある死だと。






***



あの時と同じ胸騒ぎがおさまらない。
違う、違う!違う!誰も死なない!絶対に!!!





「13号!!生徒を守れ!!」




黒いモヤの中から次々人が現れる








「なんだアリャ!?また入試ん時みたいなもう始まってんぞパターン?」

「動くなあれは敵だ!!!!!」





イレイザーさんはゴーグルを着用した。






「13号に…イレイザーヘッドですか…先日頂いた教師側のカリキュラムではオールマイトがここにいるはずなのですか…」

「やはり先日のクソ共の仕業だったか」





頂いた…?先日?
これは計画的犯行?






「どこだよ…せっかくこんなに大衆引きつれてきたのにさ…オールマイト…平和の象徴…いないなんて…
子供を殺せば来るのかな?」



イレイザーさんは”個性”を発動させ布を手に持った。戦う気なんだ。


「ヴィランンン!?バカだろ!?」

「ヒーローの学校に入り込んでくるなんてアホすぎるぞ!」

「先生侵入者用センサーは!」

「もちろんありますが!」

「現れたのはここだけか学校全体か…何にせよセンサーが反応しねぇなら、向こうにそういうことが出来る"ヤツ"がいるってことだな。
校舎と離れた隔離空間、そこに少人数が入る時間割…バカだがアホじゃねぇ。これは何らかの目的があって用意周到に画策された奇襲だ」

『目的はきっと…』





オールマイトさんだ。




「13号避難開始!学校に連絡試せ!センサーの対策も頭にある敵だ。電波系の”個性”が妨害している可能性もある。
上鳴おまえも”個性”で連絡試せ」

「っス!」

「先生は!?一人で戦うんですか!?あの数じゃいくら”個性”を消すっていっても!!イレイザーヘッドの戦闘スタイルは敵の個性を消してからの捕縛だ。正面戦闘は・・・」





そう、イレイザーさんは少人数での不意打ちでの短期戦闘がイレイザーさんの戦闘スタイルだ。
あの人数では…。








「一芸だけじゃヒーローは務まらん」

『待ってイレイザーさん!!行かないで!!』

「…大丈夫だ。13号!任せたぞ」

『待って!!!』






イレイザーさんは飛びだして行ってしまった。これはきっと、私たち生徒に安心を与えるため。
最初に飛び出しきた敵達の個性をイレイザーさんは消し、布で捕縛し敵同士をぶつけ戦闘不能にする。全員があのレベルなら大丈夫かもしれない、でも最初に出てきたあの人は?
雄英に侵入してきたってことは沢山のプロヒーロー達がいるのに、侵入を計画したのだ。そのプロヒーロー達を倒せるほどの強い”個性”を持った人がいるんじゃないのか?







「めぐちゃん!」
「久我!」

『梅雨ちゃん、轟くん…』

「相澤先生が心配なのもわかるが、俺たちは避難しよう」

「私たちが巻き込まれていまったら、相澤先生も戦いづらくなるわ…」

『そうだね、うん』








今私には何もできることはない。それならイレイザーさんの邪魔にならないようにしなければ。
13号さんの指示で私たちは出入り口の方へ避難する。すると、一瞬のうちに最初にみた黒い靄の人が目の前に現れた。
この速さはもしかしてこの人も私と似たような”個性”?




「初めまして、我々は敵連合。せんえつながら…この度ヒーローの巣窟、雄英高校に入らせて頂いたのは。平和の象徴オールマイトに息絶えて頂きたいとのことでして」






やっぱり、こいつらの目的はオールマイトさんで間違いなかった。





「本来ならばここにオールマイトがいらっしゃるハズ…ですが、何か変更があったのでしょうか?まぁ…それとは関係なく…」





13号さんが”個性”を使おうと戦闘態勢に入るのが見えた。



「私の役目はこれ」






その瞬間に切島くんと爆豪くんが黒い靄に向かって行った。







「その前に俺たちにやれられることは考えていなかったか!?」

『切島くん!爆豪くん!』








切島くんと爆豪くんがいると13号さんは”個性”が使えない。


「危ない危ない…そう生徒といえど優秀な金の卵」

「ダメだどきなさい二人とも!」






その時黒い靄が広がり私たちを包んでいった。





「散らして 嬲り 殺す」




視界に入るのは全部真っ黒な靄で、どこにもテレポートできない。




「久我!!」

『轟くん!梅雨ちゃん!』





最後に見えたのは轟くんと梅雨ちゃんの顔だけだった。















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