咲けよ花!

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次に目を開けると土や石、岩、折れた大木などがある場所で、そして侵入してきた人たちの仲間だと思う敵がいた。私は腰に引っ掛けてある万力鎖を右手に添えながら相手の様子をうかがっていたが、次の瞬間凍った。
一気に周りの空気が冷える、この”個性”は。






『轟くん!』

「大丈夫か?」




轟くんは吐く息はとても白い。ケガも何もないので大丈夫だと答えると、轟くんは敵に顔を向けた。



「…っほんとに子どもに2人になさけねぇな。しっかりしろよ 大人だろ?」






轟は敵に近づいていく、地面が凍ったことでジャリジャリと音が鳴る。
敵は凍ってて動けないようだが誰がどんな”個性”を持っているかわからないのでいつでもテレポート出来るようにめぐは轟の隣を歩く。










「久我、俺は今からこいつらから情報を吐かせる。お前はどうする」






どうする、と言われ悩んだ。
私には何もできないけれど、この胸騒ぎが気になって仕方がなかった。でもこれは勘違いだいだと思いたかった、初めて敵をこんなに近くで見てただ私は怖がってるだけなんだ。
信じろ、イレイザーさんを。
今はまず轟くんと敵から、情報を聞き出すことが最優先だと思う。
他に敵が集まってくるかも知れないし、轟くんを一人にさせられない。












『轟くんと一緒にこいつらから情報を聞き出したい。なにかできることがあったら言って』

「…わかった」










全く身動きが取れないようで、痛いと声が聞こえる。ただの集められたチンピラだろう。
だけど最初に出てきた、顔に人間の手をつけた男と、私たちを散り散りにした黒い靄の人。あの人の”個性”は多分ワープだと思う。その人達を含め、本当にやばいのは4〜5人だと思う。
今ここにいるチンピラ達とは"違う"感じがした。

そして私は周りを見回す、私たち以外にこの土砂ゾーンにはいないみたいだ。
散り散りになった皆は、私たちのように様々な演習場に飛ばされたのだろうか。皆は無事だろうか。







「なあ、このままじゃあんたらじわじわと身体が壊死してくわけなんだが 俺達もヒーロー志望そんな酷え事はなるべく避けたい」


轟くんは敵に向かって言う。


「あのオールマイトを殺れるっつー根拠…策ってなんだ?」





***





同じ時―――――――――。



緑谷、蛙吹、峰田は水の中から広場で戦う相澤の姿を見つめていた。いや、見つめることしかできなかったのだ。
顔や体に人間の手を付けた男と相澤の戦闘で、相澤はその男に腹に肘で一発入れたが、男の左手で止められていた。
男の指が相澤の肘に触れた瞬間からボロボロと相澤の肘が崩れた。

左腕で男の顔を殴り、男から距離をとったがまだいたチンピラ同様の敵達が相澤を狙う。
右肘が崩され、そしてだんだん”個性”を使う時間が短くなっている相澤に、男が「脳無」と呼んだヤツが相澤に手を伸ばす。




地面に叩きつけられ、相澤の右腕は折られている。脳無に小枝をおるかのように簡単に折られてしまったのだ。
相澤は身体の一部でも見えていたら”個性”を消すことが出来る。だが”個性”を消しても力は強かった、それはオールマイト並みの強さだった。左腕を地面に押し付けられた瞬間、鈍い音が鳴った。
次は頭を地面に叩きつけられた。

その光景をみて、緑谷達は絶句していた。

そんな時、男の元に黒い靄が現れた。めぐ達生徒を自身の”個性”で散り散りにさせた敵だ。その敵は男を「死柄木 弔」と呼んだ。死柄木は黒い靄の男を「黒霧」と呼んだ。

死柄木は黒霧に「13号はやったのか」と聞いた。その問いに黒霧は答えた。13号は行動不能にできたが、1人生徒がここUSJから逃げられた、と。
それを聞き、死柄木は自身の首を掻き毟る。それも血が出るほどの力で。
そしてもう"今回"はゲームオーバーだと、帰ろっかと呟いた。

その言葉に峰田は喜ぶ、帰るのならばもうこれで安心だ、と。だが緑谷と蛙吹は気味悪がっていた。
これだけのことをしておいて、今更あっさり帰るだなんてとても信じられなかったのだ。


死柄木は十人以上のプロヒーローが現れれば、敵わないことがわかっていた。だから"今回”はゲームオーバー、帰ろうと思った。
が、平和の象徴としての矜持をへし折りたくなった。さっきから自分たちを見ている3人の子ども。ちょうどそこにいるし、この子どもを殺そう。殺して帰ろう、と3人の子どもに近寄った。





***










あの敵は、顔に人間の手をつけた男と黒い靄の男、そして脳の出ている異形型の”個性”だと思われる奴が"オールマイト殺しを実行する役"ということしか情報を知らなかった。
だがその言葉に自分の胸騒ぎが、頭に響く警報が確証した。
気づいたらテレポートを使い、イレイザーさんが戦っている広場に向かっていた。






***





死柄木は十人以上のプロヒーローが現れれば、敵わないことがわかっていた。だから"今回”はゲームオーバー、帰ろうと思ったが平和の象徴としての矜持をへし折りたくなった。さっきから自分たちを見ている3人の子ども。ちょうどそこにいるし、この子どもを殺そう。殺して帰ろう、と3人の子どもに近寄った。


その3人のうち、蛙吹に死柄木の手が伸びるのが緑谷は見えていた、脳内では先ほどみた相澤の肘が崩れていくシーンだけが何度もループしていた。
もうすぐ蛙吹に手が触れる所で、ここにいなかったものが現れた。








『梅雨ちゃんに触らないで』
















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