咲けよ花!

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▼蛙吹side



さき程まで自分がいた場所に友人がいた、自分は多分友人の”個性”で飛ばされたのだ。




私は離れたところから緑谷ちゃん、峰田ちゃん、敵の男、そして##NAM1##ちゃんの顔に男の手が触れるのが見えた。
脳内で先ほど見た相澤先生の肘が崩れていくシーンが頭に流れる。
声も出ず、体も動かずただ涙だけが溢れて流れた。









***






死柄木の手がめぐの顔に触れたが、顔が崩れていくことはなかった。
それは相澤が視界に死柄木を入れ、自身の”個性”で死柄木の”個性”を消していたからだ。





「本っ当かっこいいぜ イレイザーヘッド。お前も自分を犠牲にして飛び出してきたのかぁ…かっこいいなぁ」





相澤は脳無に頭を掴まれ、地面に叩きつけられる。それをみためぐは目を大きく開き、声にならない声を上げた。
その時緑谷が飛び出した。




「手っ・・・・離せぇ!!!!!」

「脳無」






緑谷が右手に力を込め打ったが、それは死柄木に当たらず相澤のところにいた脳無というやつが壁になっていたのだ。






「いい動きをするなあ・・・スマッシュって・・・オールマイトのフォロワーかい?」




死柄木の左手、めぐに触れている左手の中指は上がっている。
脳無は緑谷の腕を掴む、それを見ためぐは緑谷に手を伸ばすが死柄木に髪を引っ張られる。





『い゛っ・・・!!』

「お前の目、気になるんだよなあ。自分が飛びこんで来た時のお前の目。"死を体験した"ことのあるような暗い目してた」

『な、に・・・』






腰まである髪に死柄木の指が五本触れる。
すると掴まれた髪がボロボロと崩れていく。






「気に入った、お前の目」






顔につけている手の隙間から見える目は、笑っていた。死柄木はめぐの髪から手を放した。その時にはもう腰まであった髪は顎の部分まで短くなっていた。

その時に響いた何かが壊れる音、その音の方へ顔を向けた。今一番来てほしくて、今一番来てほしくない人だった。










「もう大丈夫 私が来た」




今一番来てほしくて、今一番来てほしくない人だった。







「オールマイトーーーー!!!」

『オール、マイトさん・・・』







いつも見る彼じゃなかった。あんなに笑っていないオールマイトさんを見るのは初めてだった。
オールマイトがネクタイを取った瞬間、広場に残っていた敵を倒し相澤の側にいた。







「相澤くん すまない」








そう言って相澤を担ぐと、オールマイトは敵達を睨んだ。そう思ったときにはもう全員オールマイトに助けられていた。








「久我少女!!テレポートで相澤くんを!!意識がない!!」

『はいっ』


「皆も入口に!!」

「久我さん!先に行って!相澤先生を連れて行って!!」








緑谷くんの言葉に悩んだが、イレイザーさんの顔を見ると頷くことしかできなかった。
イレイザーさんに触れ、私は入口にテレポートした。








***




入口には麗日、芦戸、障子、砂糖、瀬呂、負傷している13号がいた。
そこに久我血だらけの相澤が現れた。





「!めぐちゃん!?相澤先生!!?」

『イレイザーさんっ、イレイザーさん!!』








叫んでも、ピクリとも反応してくれない。
ただ浅い呼吸だけが彼が生きていることを証明しているだけだった。
両腕も折られ、顔にも傷があり血だらけだ。
ボロボロの相澤を見て、亡くなった両親が重なった。
病院に着いたときには既に亡くなっていた両親の身体はきっとボロボロだったのだろう。
包帯だらけで、きちんと顔も見られなかった。








『おねがい・・・しなないで・・・』







イレイザーさんの頬に自分の涙が落ちていく






『イレイザーさんまで・・・おとうさんとおかあさんみたいに・・・いなくならないよね・・・?』






おねがいだから






『生きて・・・イレイザーさん・・・っ』







銃声が聞こえ、顔を上げるとプロヒーロー達が集まっていた。






「皆、すまない遅くなったね。いますぐ動けるものをかき集めてきた」

「1−Aクラス委員長飯田天哉!!ただいま戻りました!!」






その中から小さい影がこちらに近づいてきた。






『!おばあちゃん…っイレイザーさんが…っ』

「わかってるさね、今から処置するよ。13号もこっちに連れてきてくれるかい?」







リカバリーガールは側にいた麗日達に13号を頼んだ。
そして私の頭に誰かの掌が置かれた。






「大丈夫だからなめぐ、これぐらいでイレイザーは死なねぇよ、な?」

『マイクさん・・・』

「・・・よし!仕事してくるぜ!!」








そう言って私に笑顔を見せたマイクさんだったけど、そのあと聞こえたマイクさんの声には怒りが含まれていた。






***




その後主犯格の2人には逃げられたらしい。
私たち生徒は入口前に集められた。集まったのは緑谷くん以外、全員。
イレイザーさんと13号さんは病院に運ばれた。





「めぐちゃん!!」

『梅雨ちゃん!!!』

「よかった…よかったわ無事で、ごめんなさいめぐちゃん」

『なんで梅雨ちゃんが謝るの?』





力一杯梅雨ちゃんに抱きしめられた。多分梅雨ちゃんは、私があの男の前に飛び出したことを気にしているんだと思う。私が勝手にしたことなのだ、気づけば私はテレポートで飛んでて、梅雨ちゃんを離れたところに飛ばしていたのだ。
梅雨ちゃんが謝ることじゃないのに。





「「めぐちゃん/さん/!!」」

『はい!?』

「その髪!!!!」

「どうしたん!!?」

「切られたの!?」

「は!?敵に!!?」





女子に囲まれ思い出す。そういえばあの男に髪を崩されたのだ。切られたのではなく、塵になった。腰まであった髪が顎までの長さになっていれば気づくよね、私自身忘れていたけど。





「20、21…。両足重症の彼を除いて…ほぼ全員無事か。君、髪を切られた?みたいだけど他にケガはないかい?」

『あ、ないです。大丈夫です。』

「とりあいず生徒らは教室は戻ってもらおう、すぐ事情徴収とはいかんだろ」











梅雨ちゃんは私の顔を見て、それから刑事さんに声をかけた。






「あの刑事さん、相澤先生は・・・」






すると刑事さんはスマホで病院に電話をかけてくれたらしい







《両腕粉砕骨折、顔面骨折・・・幸い脳系の損傷は見受けられません。
ただ・・・眼窩底骨が粉々になってまして・・・眼に何かしらの後遺症が残る可能性があります》

「だそうだ・・・」

『こうい、しょう・・・』






イレイザーさんの眼に後遺症が残ってしまう…?
私が早くイレイザーさんのところに行かなかったから・・・。私が弱かったから・・・。






めぐは自身の瞳から流れる涙を隠すように手を覆う様子を見ていたが、誰も声をかけることはできなかった。






「13号の方は背中から上腕にかけての裂傷が酷いが命に別状はなし。オールマイトも同じく命に別状はなし、彼に関してはリカバリーガールの治癒で充分処置可能ということで保健室へ」

「デクくん・・・」

「緑谷くんは・・・!?」






緑谷と一番仲の麗日と飯田が、刑事に緑谷の容態を聞いたが保健室にいると伝えた。
その後、生徒は教室に戻りケガをしたものはリカバリーガールの元へ。それ以外の者は教室で待機するように言われた。










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