咲けよ花!

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―――――――放課後。



今晩のおかずは何にしようか、イレイザーさんは両手使えないが夜ご飯は大丈夫なんだろうか?なんて考えていると教室の前が騒がしいことに気づいた。


「何ごとだあ!!!?」




麗日の声に扉の前を見ると、入口には大量の生徒がいる。




『轟くん、なんだろうこれ』

「偵察だろ」

『偵察?』

「出れねぇーじゃん!何しに来たんだよ!」

「敵情視察だろザコ」





峰田の言葉に爆豪が反応する。教えてあげるところまでは良いのに、最後の言葉が余計だなっと思う。






「敵の襲撃を耐え抜いた連中だもんな、体育祭前に見ときてぇんだろ。意味ねぇから どけモブ共」

「知らない人のこととりあえずモブっていうのやめなよ!!」

『初対面の人に失礼でしょ!』






クラス内はもう爆豪くんの性格を知っているからまず良いとして、初対面の人には失礼過ぎるから今回は注意した。
まだ失礼なことを言いそうな気がしたので、爆豪くん達がいるところまで移動して。








「どんなもんかと見に来たがずいぶん偉そうだなぁ。ヒーロー科に在籍する奴は皆こんななのかい?」

「ああ!?」

『ごめんね、いい子もいるんだよ。この子がちょっとアレなだけで・・・』

「アレってなんだコラ!!!」

『五月蠅い』

「ああ!?」





1人、人だかりの中から前に出てくる男子がいる。どこかで聞いたことある声だなっと思いつつ、威嚇してくる爆豪くんを軽くあしらう。
人だかりから出てきた男子は髪の色と目の下の隈が特徴的な人だった。





「こういうの見ちゃうと幻滅するなぁ。ま、あんたみたいな奴もいるんだろうけど」

『私…?』

「普通科とか他の科ってヒーロー科落ちたから入ったって奴結構いるんだけど知ってた?」


「『?』」


「体育祭のリザルトによっちゃ、ヒーロー科編入も検討してくれるんだって。その逆もまた然りらしいよ・・・」





その言葉に私たちの身体が固まった感覚がした。



「敵情視察?少なくとも普通科は調子のってっと足元ゴッソリ掬っちゃうぞっつ―――宣戦布告にきたつもり」




確かに、ヒーロー科の入試は毎年300倍のこの学校では体育祭を気にヒーロー科に編入するために準備してきている人たちもたくさんいるのかもしれない。
ヒーロー科に入ったからって安心しちゃいけないんだ。






「隣のB組のもんだけどよぅ!!」

『!』

「敵と戦ったっつうから話聞こうと思ってたんだがよぅ!!エラく調子づいちゃってんなオイ!!本番で恥ずかしい事になっぞ!!」


「『・・・・・・』」




皆が爆豪くんを見つめる。横にいる爆豪くんをみたが眉間に皺の無い爆豪くんの顔があった。なにその顔珍しい。
その爆豪くんは何も言わず、人だかりの通り帰ろうとするのを切島くんが止めた。





「!待てコラどうしてくれんだ!おめーのせいでヘイト集まりまくってんじゃねえか!!」

「関係ねぇよ・・・」

「はあ――――――――!?」

「上に上がりゃ関係ねえ」





そう言い残し爆豪くんは帰ってしまい、男子は数名、爆豪くんの言葉に心打たれていた。
だんだん教室の前にいた人もいなくなり、隈のある男子も去っていった。帰りに目が合ったが、どこかで会ったことある気がする。
どこで会ったか悶々としながら自分の机に戻ると轟くんが来た。



「何か悩んでんのか?晩飯か?」

『それもあるけど、さっきの隈が特徴的な子どっかで・・・』





自分の鞄に教科書を入れる為開くと、鞄の中に入れていたラッピングされたものを見つけて思い出した。



『あ!!!!』

「どうした?」

『思い出した!!ちょ、行ってくる!』

「あ、おいっ」






鞄の中に入れっぱなしだったラッピングされたものを持って教室から飛び出した。
さっきの男子を探していたら、ちょうど教室から出てきた。





『あ、きみ―――ってごめん!!』

「びっ!くりした・・・」









夢中になって走ったりすると勝手にテレポートしてしまう時があり、隈が特徴的な子を見つけエ思わずテレポートしてしまったらしく、気づけばその男子の目の前にいた。
普通科の教室の前で「なんだなんだ」と視線が痛かったので、一緒に中庭まで来てもらうようにお願いした。






『さっきはごめんなさい、夢中で走ってたら”個性”使っちゃったみたいで…。私1−Aの久我めぐです。私の”個性”はテレポートで、驚かせちゃった』

「…いや、それより俺に何の用?用事があってここまで連れてきたんだろ?」

『そうだった、貴方入試の時私にハンカチ渡してくれた子でしょう?』

「さあ…」

『顔はあの時見てなかったけど、声は覚えてたんだ。それでさっき声を聞いて思い出して、追っかけて来たの。入試で号泣している女とか、珍しくて忘れないと思うけど?』

「…忘れてはないけど、"はい、俺です"って言うのも恥ずかしいだろ」

『それもそうだね』







やぱっりあの日私にハンカチを渡してくれた人で会っていた。
きっとその人とは会える気がして、お返しの新しいハンカチをずっと鞄に入れていたのだ。突然会った時に返せるように。





「最初新手のナンパかと思った」

『…それじゃあナンパついでに貴方の名前教えてくれる?』

「心操、人使」

『しんそうひとしくん、あの時はハンカチありがとう。これ受け取ってください』

「別に良かったんだけど…それに会えるかもわかんなかったのに」

『でもなんだか会えると思ったから準備して、鞄に入れてたんだ。私の勘は当たりね』




心操くんにラッピングされた袋を渡した。ハンカチには猫のシルエットが入ったものだけど、男子には可愛すぎたかもしれない。



「ねえ」

『うん?』

「なんであの日泣いてたの?試験結果が出た日ならわかるけど」

『あーあの日ね、弟に"入試頑張って"っていうお守り貰った感動で号泣してた』






いつも制服のポケットに入れている、なつめからのお守りを心操くんに見せる。






「そういうことか、すごい号泣していたから身近な人でも亡くなったのかと思った」

『まあ、両親もいなんだけどね』

「え」

『ん?』

「ご、ごめん」

『あ!いや私もてっきりうっかり!!!ごめんね気にしちゃったね!!?』




本当についうっかり"両親いない"と伝えてしまった。本当に申し訳ない




「いや、俺が悪かった。軽率だった…」

『こ、子供が気にするな!!』

「いや、あんたも子供じゃん」

『まーそうなんですけどね!!!?』

「…でも何か、あ。飲み物奢ろうか?」

『いやそんなのいいから!!』

「いやでも俺が気まずい…」

『んーじゃあ、心操くんの”個性”教えてくれる?』






そういうと心操くんの顔が少し曇った。これは私が彼の地雷を踏んでしまった感じだな!?







『ごめん!!言いたくないなら大丈夫!!』

「いや…俺の”個性”は洗脳、だよ」

『洗脳かー、人質とかの事件に大活躍だね。敵に"人質を離せ"って言えば離して貰える感じかな?』

「は?」

『は?』





一言でいえば"間抜け"な顔を見た。初対面なのにいろんな顔みせてくれる子だな。



『何か変なこと言った…?』

「いや、俺の”個性”知った奴って大体敵向きだねって言われること多くてさ」

『なるほどね、でも心操くんの”個性”は敵もケガさせないし。私はとってもいい”個性”だと思うな』

「そっか…ありがと」

『どういたしまして、心操くんがヒーロー科に来るのも時間の問題かもね。せっかくのいい”個性”だし』

「やめろ…でもうん、早く行きたい。今また前よりもっと行きたいって思い始めた」

『そう?…って、あ!やばこんな時間!』





腕時計を見たら大分いい時間になっていた。






「帰る?」

『そうだね!』

「ねぇLINE、教えて欲しい」

『ナンパ?』

「そうかも」







この後心操くんとLINEを交換して教室に戻ったら、「告白なのか」と質問攻めにあった。







「何!?一目ぼれ!?一目ぼれなのめぐ!!?」

『三奈ちゃん落ち着こう?告白しに行ったんじゃないって言ってるでしょ?』

「じゃあなんで追いかけたの!!!?」

『透ちゃんも落ち着こう?ね?』

「あ!!なんかLINE来てる!しんそう…?LINE交換してる!!」

「なにそれ詳しく!!」

「めぐさん‼初対面の男性と容易く連絡先を交換してはいけませんわ!!」

『お、落ち着いて百ちゃん…轟くん、梅雨ちゃん助けて!』

「知らね」

『えっ』

「今回は私は轟ちゃんの味方よめぐちゃん」

『えっ』

「めぐどんまい」

『響香までひどくない?ねえ?』






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心操くんといきなり仲良くなりすぎたかも知れない。恋バナ大好き三奈ちゃん、透ちゃん。
百ちゃんはめぐちゃん大好きだと思います。轟くんと梅雨ちゃんは、普通科の人にめぐちゃんを取られて気に入らない。響香ちゃんは楽しんでいます。
愛されていますめぐちゃん。









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