咲けよ花!
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プレゼント・マイクはヒーロー科から経営科までを紹介しマイクのスイッチをオフにする。隣に座る高校時代からの友人であり、同じ教師をしているイレイザーヘッドを視界に少し入れれば、包帯中のなかから見える目は生徒達を見つめている。
イレイザーは自分のクラスを持っているので、きっと彼の目に1番写っているのは"1-A"だ。マイクは自分のクラスを持ってはいないが、生徒は皆可愛いと思う。それでもその中で、小さい頃から知っているめぐのことをついつい見つめてしまう。
「おい」
「あ?」
「めぐのこと見すぎだぞ」
「いやーしょうがねぇよ。やっぱり可愛いんだわ、娘のような妹みたいな存在なんだからよ」
色素の薄い髪色に、この前のUSJの事件で敵に髪を短くされボブになっためぐの姿をついつい目で追ってしまう。
緊張した顔の多い中、めぐは笑顔だ。なんか変な笑い方だけど。
「まあ、それはわかるけどな。だが15も違って妹はねぇだろ」
「15しか違わなかったら、娘でもおかしいけどな!!」
それでも自分たちが保護者的立ち位置にいることはかわりない。
「実況、めぐ贔屓しちまいそう」
「教師としてダメだろ」
「そうだけど!!そうなんだけど!!」
今も1年の審判である、ミッドナイトの話を生徒達が聞いている。
その中でもめぐをすぐに見つけてしまうのは仕方がない。
あ、誰かに手振った。
「…誰に手振ったんだ?」
「イレイザーもめぐのこと見てんじゃん!!」
「俺のクラスの生徒だからな」
「ずりぃな!!!」
***
笑顔で!と意気込んでいたが実際競技場に出てみたらあまりの人の多さと歓声、テレビカメラに笑えてきた。流石、オリンピックに変わるだけある。
『あっはっはっ』
「どうしたんだ!?」
『やばい飯田くん、また緊張してきたよ』
「久我さん、食堂で警報がなった時もおかしくなってたよね」
「多分めぐちゃん、緊張したり慌てると壊れるタイプなんやと思うわ」
『えっへへ』
緑谷と麗日は食堂での時に、変なテンションになっためぐを見ていたので謎の分析を始めていた。
その時、審判であるミッドナイトがピシャっと鞭を打った。
「選手宣誓!!」
ミッドナイトの格好に男子は顔を赤らめたり、常闇に関しては「18禁なのに高校にいてもいいのか」と呟いていたがあの峰田は力強く親指を上げた。
「静かにしなさい!!選手代表、1-A爆豪勝己!!」
「えー、かっちゃんなの!?」
「あいつ一応入試一位通過だったからな」
その言葉に普通科の生徒から「ヒーロー科のな」と声がかかる。すごく敵視されている、まあ体育祭だからわかるけれど。
そう声をかけてきた女子生徒の傍に心操くんがいた。目が合ったので手を振ってみたが、逸らされてしまった。
『かなしい…』
「せんせー」
いつの間にか前に立っていた爆豪くんは、明らかにダルそうに選手宣誓をする。
『選手宣誓するところは、偉いよね』
「爆豪ちゃんに怒られるわよ」
こら、と梅雨ちゃんに注意された。
「俺が1位になる」
「絶対やると思った!!」
切島くんの声が響き、爆豪くんの選手宣誓にブーイングが起こる。
なんとも爆豪くんらしいんだ、と思っていたらまたミッドナイトさんの鞭を打った音が響く。
「さーて、それじゃあ早速第一種目といきましょう!」
雄英ってなんでも早速だね、とお茶子ちゃんが呟いた。うん、自由だからね色々と。
「所謂予選よ! 毎年ここで多くの者がティアドリンク! さて運命の第一種目! 今年は…」
巨大なモニターが現れ、画面がスロットルのように動く。
自然とお守りが入ってあるポケットに手がいった。
「コレ!!」
ババンッ!!とモニターに映し出されたのは"障害物競走"だった。
「計11クラスでの総当りレースよ!コースはこのスタジアムの外周4Km!我が校は自由さが売り文句!ウフフフ…コースさえ守れば何をしたって構わないわ!さぁさぁ、位置につきまくりなさい!!」
まずはこの第一種目を生き残らなければ。この種目は私の得意分野。まずはここでどんな”個性”かをプロヒーロー達に見てもらえ。
でも使いすぎてはダメ、体力の温存も考えて行かなきゃ。
ゲートの上にある信号機の二つ目が点灯する。
ゲートの入口がこの人数に対してとても狭い。もうここから、始まってる。
鼻から息を吸い、吐く。
そしてゲートの先を見る。
「スタート!!」
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