咲けよ花!

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スタートの合図が聞こえ、一斉に走り出すがゲートの狭さで人がごった返す。
その先を見つけ私は"飛ぶ"




『うわ!!』




飛んだ先は凍っており、ツルツル滑る。
後ろから「冷たい!!」やら「痛い!!」という言葉が聞こえる。これをしたのは






『轟くんだな!』

「久我か」




先頭にいたのは予想通り轟くんだ。
初っ端から飛ばしてもいいが、後々どんな障害があるかわからない。私は先頭から遠く離されない位置を保ちつつ、使いどころを決めて”個性”を使おう。





《さーて実況していくぜ! 解説アーユーレディ!? ミイラマン!》
《無理矢理呼んだんだろうが》







マイクさんとイレイザーさんの声が聞こえる。ミイラマンって、それなつめがイレイザーさんに言ってたヤツじゃん。







「甘いわ、轟さん!!」

「そううまく行かせねぇよ半分野郎!!テレポート女!!」

『爆豪くんネーミングセンスない!』

「今はそこじゃねぇだろ!!」






爆豪くんに突っ込まれた。百ちゃんは長い棒を創造したらしく、爆豪くんは手からの爆風で飛んでいる。それから常闇くんや尾白くんなどなど顔見知りがいた。

轟を視界に捉えながら走る。飛んでいる爆豪やダークシャドーをうまく使っている常闇に追い抜かれていくが今は使うべきではない。落ち着け自分。




《さあいきなり障害物だ!! まずは手始め…第一関門ロボ・インフェルノ!!》





受験の時以来のお邪魔虫の仮装敵が何十体といた。
その仮装敵が一気に凍る、不安定な状態で。
この不安定な状態の下を通るのは危険極まりないが





『私には関係ない』





視界に見える赤白の髪をみて"飛ぶ"
するとお邪魔虫仮装敵は私の後ろにおり、そして倒れる。
誰も下敷きになってないか気になるけど、心の中で謝りながら走る。




《1-A轟!!攻略と妨害を一度に!同じく1-Aの久我!!轟の妨害をものともせずになんなく通り抜けた!!こいつぁシヴィー!!!》




轟くんをみて"飛んだ"ので横を走る形となった。




「やっぱ早いな、テレポートは」

『この種目は得意分野だからね』






よく耳をすませば爆破のような音が聞こえるから後ろに爆豪くんがいるのだろう。
後ろは振り向かないようにしよう、なんだか怖いから。

走っていると突然景色が変わる。余談だけど、いつのまにこんなの作ったんだろう。







《オイオイ第一関門チョロいってよ!んじゃあ第二はどうさ!?落ちればアウト!!それが嫌なら這いずりな!!ザ・フォール!!》




足場は縄しかなく、所々に地面があるが落ちたら一溜りもない。これ死人でないよね?
でもここが私の”個性”の使いどころ!!






『お先に!!』





所々にある地面を見て"飛ぶ"
視界には先の地面が見えているが、"飛ぶ"距離が短い方が楽なので所々で飛ぶ。




《先頭は1-A久我!!あっという間に第二関門はクリアしそうだな!
そして久我を追う轟も”個性”をうまく利用してるな!!》




後ろを見れば、氷で縄を凍らしながら渡っていた。なにそれカッコイイ。
めぐが一抜けすれば、すぐに轟も追ってくる。なんて速さだろうか。
氷を発生させるまでの時間がとても早い。これは幼い頃からの、修行の成果なのだろうか。
少し考えそうになったが、頭を振り考えを飛ばす。今はまず自分のことだろう。




走っていけば開けた場所に出た。





《先頭が一足先に抜けて下はダンゴ状態!上位何名が通過するかは公表してねぇから安心せずにつき進め!!そして、早くも最終関門!!かくしてその実態は!》




地面は薄らと何かあるのがわかる。





《一面地雷原!!!怒りのアフガンだ!!ちなみに地雷!威力は大したことねぇが、音と見た目は派手だから失禁必死だぜ!》






『なんてこった!』






よく見れば地雷がどこにあるのかはわかるが"飛ぶ"となると飛んだ先に地雷があってバーーンッは嫌だ。失禁もしたくない!
これは仕方ない、地味に行こう。


一面地雷原に足を踏み入れれば、轟くんもすぐ足を踏み入れた。早くない?
地雷を避けているとはいえ、動き面白いだろうな。これ。





「てめェ宣戦布告する相手を、間違えてんじゃねぇよ!!」




《ここで先頭が変わったー!!喜べマスメディア!!お前ら好みの展開だぁぁ!!》




後ろから聞こえた声に振り向けば飛びながら爆豪くんが来て、轟くんに攻撃を仕掛け引っ張り合う。そして爆豪くんの攻撃が私にも来た。






『どぉわっ!?』

「避けんじゃねぇ!!」

『避けるわ!!』





顔に向けて爆豪の手のひらが向かってきたので、どうにか地雷を踏まないように避ける。
そうしていたら轟と爆豪が、攻撃し合いながら先に進んでいく。今の時点ではめぐは3位。
めぐも2人のあとを追うように、地雷を避けながら走れば、突如爆音と爆風が聞こえた。





『え!!?』




《後方で大爆発!!? 何だあの威力!? 偶然か故意か──A組緑谷、爆風で猛追───…つーか!!!》




ビュンッという風を切る音と暴風がめぐの頭上で聞こえた。





《抜いたぁぁああああああー!!!!》





目の前にいた轟と爆豪の頭上を緑谷が飛んでいく。なにをどうして、そんなに飛んだのかわからないが2人ともそれぞれが”個性”を使って走る。
めぐ自身も”個性”を使いたいが、いままだこの位置では地雷がない地面がわからないため使えない。







《元・先頭二人、足の引っ張り合いを止め緑谷を追う!! 共通の敵が現れれば人は争いを止める!! 争いはなくならないがな!》
《何言ってんだお前》





本当に何言ってんのマイクさん!?意味がわからないよ!!





前で足の引っ張りあいを辞めた爆豪、轟の元に落ちるように緑谷は段々とスピードを無くしていったが、緑谷は乗っていた仮装敵の部品部分を再度地面に叩きつけ爆風を生んだ。
その勢いで緑谷は飛び、そして走り抜けていった。ということは今緑谷が走っている地面には地雷はない!!







『飛べ!!!』







飛べば地面には地雷は無く、気にせずに走れるが軽く頭痛がした。思った以上に使いすぎてしまったかも知れない。

緑谷の後ろ姿は見えないが、爆豪と轟の後ろ姿は見えるので再度"飛んだ"







『3位以内に入りたい!!』







《緑谷、間髪入れず後続妨害!! なんと地雷原即クリア!! イレイザーヘッドお前のクラスすげえな!! どういう教育してんだ!》

《俺は何もしてねえよ。奴らが勝手に火ィ付け合ってんだろ》







確かに、この子たちと勝負してたら闘争心に火がついてしまいついつい”個性”を使いすぎてしまう。
後ろでは爆豪が爆風で、轟は氷で滑りながら追ってくる。これはもう1度"飛べ"!!






《さァさァ、序盤の展開から誰が予想できた!?今一番にスタジアムへ還ってきたその男―――、緑谷出久の存在を!!》





次の景色はスタジアムにいた。周りの観客たちの姿が見える。







《久我めぐは2位だぁああああ!!!》



『2位だぁぁああ!!』





本音を言えば1位がもちろんよかったけれど、ここは2位でいい。これは第一種目だ、この結果が第二種目に繋がるはず。
それを考えれば順位が高くなればなるほど、不利になる、と考えていた。

その後轟、爆豪の順でゴールした。







『緑谷くん1位おめでとう!!』

「久我さんも2位おめでとう!!」

『エンダァアアする?』

「し、しません!!」




お祝いにしようと思ったが断られてしまった。そうだな、テレビにも写っちゃうしな。

私はイレイザーさんとマイクさんがいる放送席と、トゥルーフォームの姿で体育祭を見ているオールマイトさんに手を振った。




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