咲けよ花!

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第一種目の結果ーーーーー

1位 緑谷出久
2位 久我めぐ
3位 轟焦凍
4位 爆豪勝己







「予選通過は上位42名! 残念ながら落ちちゃった人も安心なさい!! まだ見せ場は用意されているわ!! そして次から本選よ!! ここからは取材陣も白熱してくるよ! キバリなさい!!」



予選にはA組は青山くん以外が入ったようだった。
モニターに先程の結果と共に、自分のポイントが映し出される。めぐは205Pだ。




「上を行く者には更なる受難を、雄英に在籍する以上何度でも聞かされるよ。これぞPlus Ultra!予選通過1位の緑谷出久くん!持ちP1000万!!」




ミッドナイトの言葉に全員の視線が緑谷に刺さる。そんな中、めぐはグッと手を握った。自分の考えが当たっていた、予想通り第一種目の結果で次の種目が不利になると思っていたから。

第二種目は騎馬戦だ。振り当てられたPの合計が騎馬のPとなり騎手はそのP数が表示されたハチマキを装着する。
そのハチマキを時間いっぱい奪い合うのだ。
そして普通の騎馬戦と違うのは、ハチマキが取られても騎馬が崩れてもアウトにはならない。








「それじゃ、チーム決めの交渉タイムスタートよ!」






ミッドナイトの言葉で全員が動き出す。









『さて、どうしようかな』








私のP数は高いので、いろんな人から組もうと誘いを受けたが内心考えていた。
私は騎手より前騎馬の方が、視界も見えやすいだろうし騎手になってハチマキの奪い合いでは”個性”がうまく活用できそうにない。
それと第一種目で思った以上に”個性”を使ってしまった。







「おい、テレポート女」

『うん?』

「俺と組めや」




爆豪くんと、その後ろには切島くんと瀬呂くんがいる。この3人がチームなんだろうな。







『んー、お断りします』

「あ゛あ゛!?」

『顔怖っ ちゃんと理由あるから怒らないでよ。このメンバーだと爆豪くんが騎手でしょ?』

「当たり前だ!誰が騎馬なんかするか!」






喚く爆豪くんを切島くんが宥める。ああ、なんていい子なのこの子。





『切島くんと瀬呂くんは?』

「俺は前騎馬だ!爆豪の爆発に耐えれるのは硬化の俺だからな!!」

「んで、俺は飛んだ爆豪の回収係!」






瀬呂くん自信満々に言ったけど"回収係"でいいの?いいのか。






『私は”個性”が使いやすい前騎馬がいいの。だから爆豪くんのお誘いはお断りします』

「んじゃあクソ髪!テレポート女と変われ!!」

「マジかよ!?」

『いや、爆豪くんの爆発に耐えれないからね?私』








理由を言ってもあまり納得できないのか、暴れる爆豪くんからサラリと離れた。あともう一つ理由がある、爆豪は人使いが荒そうだからだ。このあとのことを考えて、まだ余力は残しておきたい。


その時ふと視界に入った心操くんの側には尾白くんと、多分B組の男子がいた。
…この騎馬戦では心操くんの”個性”って有利?








『心操くん!私と組んで!!』








***




オールマイトは職員席から自分の”個性”を受け継いだ緑谷と、自分の娘と言っても過言ではないめぐの様子を眺めている。
生徒の特別扱いはダメだと、入学式の日に相澤に言われたが、それでも愛弟子と娘のような存在のめぐに目がいってしまうのは、しょうがないんじゃないかと思う。

特にめぐの両親が亡くなり、1人で弟の世話と学業を両立させる姿に最初は心配しよくアパートに行き、雄英での就任が決まってから同じアパートに引っ越した。
家では家事もし、弟の面倒を見て、夜は自分たちの分までご飯を作ってくれる。
めぐ達とご飯を食べるまで、人の手料理を食べたのは何年ぶりだったろうか。
それから中学を卒業し、雄英に入学してからは今まで見れなかった同い年の子達と話す姿。
中学生の時の運動会は、自分のヒーローという仕事もあり見ることが出来なかった。それが今、直接見れているのだ。それがオールマイトにとってとても嬉しかった。







「大きくなったなぁ」






きっとマイクも、そして特別扱いはダメだと言ったあのイレイザーも。めぐに関しては娘の成長を見るような目できっとみているだろう。


この体育祭が終わったらなんて声をかけようか。今日は疲れるだろうから、私が夕飯を作ろうか。




「頑張れめぐ」






***





「あんた爆豪と組むんじゃなかったの?」

『爆豪くんは断ったの。心操くんはもう2人声掛けてるんだね?』




心操くんのそばに居る2人を見て思った、これは多分洗脳状態じゃないかって。
B組の子は初対面だから話しかけてこないことはわかるけど、あの尾白くんなら一緒のチームになるとなれば話しかけて来ると思う。けれどどこかぼーっとしており、一度も私の方を向かない。




「……」

『私第一種目で思った以上に”個性”使っちゃって、あとの事を考えたら沢山は使いたくないの。本当はここでも目立っておきたいけど、次に進むのが最前だからね。1位とりたいし。だから心操くんは何かいい案があるんじゃないかと思って声掛けたの。心操くんも上に上がるでしょ?』

「当たり前でしょ。だけどいいの?俺久我と同じクラスの奴に”個性”使ってるけど」

『”個性”の使用ありなんだから、心操くんはただ”個性”を使っただけでしょ?』






めぐの言葉に心操は首の後ろを掻いた。今まで自分の”個性”を言えば怖いとか、そんな言葉しか返ってこなかった。なのに、あっけらかんとしているのだ。







「もっと怒ったりするかと思った」

『なんでよ、皆それだけ本気ってことでしょ』

「…そうだな」

『で、”個性”はテレポート。P数は205ってなかなかいい商品だと思いますが心操くんどうします?』

「買う」

『はい!私お買い上げ!心操くんの作戦聞かせて!』







ほかの人には作戦も心操の個性がバレないように、コソコソと話し合う。
きっとこの作戦ならいけるはず。
めぐが前騎馬となり、後ろの騎馬は尾白とB組の男子だ。きっとこの作戦なら、この二人も賛同してくれるとは思うけれど生憎”個性”の解除の仕方はわからない。

そこで交渉タイムが終了した。













《さァ上げてけ鬨の声!!血で血を洗う雄英の合戦が今!!狼煙を上げる!!》






「久我、よろしく」

『こちらこそ!よろしくね!』






マイクさんのカウンドダウンが聞こえる。
絶対上がってみせる。




《START!!!》





スタートの合図とともに、1000万Pを持っている緑谷チームに二つのチーム攻める。その隙を狙ってハンカチを奪う者もいた。
そんな中心操チームは





『あらら、取られちゃった』

「あとは時間ギリギリまでのんびりと行きますか」



開始2分も経ってないが、既に心操チームは0Pだ。
0Pになれば他のチームも気にされなくなり、P数の高い緑谷チーム、轟チーム、爆豪チームに狙いが行く。
その間私たちはPを奪うフリをしつつ
他チームの様子を伺う。





《やはり狙われまくる1位と猛追をしかけるa組の面々共に実力者揃い!現在の保持Pはどうなってるのか…7分経過した現在のランクを見てみよう!》






会場の上にあるモニターに現在のP数が写った。
半分のチームは既に0Pだ。






『モニターにどのチームがどれくらいのPを持ってるかわかるのは、私たちに有利だね』

「だな」





《あら!?ちょっと待てよコレ…!A組 緑谷以外パッとしてねぇ…ってか爆豪あれ…!?》




爆豪くんのチームも0Pなのには驚いた。




《あ?第一種目2位のめぐは心操チームなのか!!》





そんなことマイクのスイッチ切ってから言ってよマイクさん!!!
それに下の名前で呼んでるよ!!さっきまで久我って呼んでたのに!!




「めぐ…?」

『気にしないでいいからね、心操くん!それより緑谷くんチームと轟くんチームの対決だよ!』






残り時間が半分切った時、緑谷チームと轟チームが対決していた。一方、爆豪チームはBぐみに囲まれていた。
その時、轟チームの上鳴が自身の”個性”を使った。離れたいた場所にいた心操チームは上鳴の無差別放電は浴びなかったが、威力の強さはわかった。
分かれた場所で攻防が起きる中、心操チームはチャンスを伺う。





《残り1分を切って現在轟ハチマキ4本所持!!ガン逃げヤロー 緑谷から1位の座をもぎ取ったあ!!上位4チームこのまま出揃っちまうか!?》





「このまま出揃える訳にはいかないな」

『どのチームを狙うの?』





現在の上位4チームは轟チーム、物間チーム、鉄哲チーム、拳藤チームだ。
だが、すぐに爆豪チームが2本ハチマキを奪い返し上位4位に上がってきた。
そして轟チームや緑谷チームもPが変動していく。




《そろそろ時間だカウンドダウンいくぜエヴィバディセイヘイ!10!》






「久我、鉄哲チームに」

『了解!!』




《7!》




鉄哲チームを視界に入れて



《6!》




『"飛ぶ"よ!!』





《5!》






目の前には鉄哲チーム




《4!》




「"なあ"」



《3!》





心操くんが声を掛け、鉄哲チームが返事する




《2!》



「"お前らのハチマキくれよ"」




《1!TIME UP!!!》






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