咲けよ花!

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「めぐちゃん戻ってこないから心配したわ」

『ごめんね梅雨ちゃん、いろいろあって…』



試合が終わって、A組の観客席に戻ってきた。障子くんの隣が空いていたので座らせてもらう。反対側に峰田くんが居てこっちにこようとしたけれど、障子くんが押さえてくれた。
今の試合は百ちゃんと常闇くんだったが、常闇くんは百ちゃんの作ったものを使わせる前に場外にさせた。
次の相手は常闇くんだ。



『次の試合、よろしくね常闇くん。ダークシャドウ…くん?』

「ああ」

「ヨロシクネ!」




戻ってきた常闇くんとダークシャドウくんに声をかければ、ダークシャドウくんは握手しに来てくれた。




『そういえば改めまして久我めぐです』

「シッテルヨ!めぐッテヨンデモイイ?」

『いいよ!ダークシャドウくんかわいいねぇ!!』

「カワイイジャナイ!カッコイイ!!」

『うんうん!かっこいい!!』





ぎゅっと抱きついてきたのですごく可愛くて抱き締め返していたら常闇くんに怒られた。





『ごめんね常闇くん』

「久我に怒ったわけではない、黒影」

「ウラヤマシイ?」

「断じて違う」




なんて話していると切島くんとB組の鉄哲くんとの試合が始まる。2人の”個性”は似ているらしい、そして性格も。男らしい試合は引き分けとなり、回復後に簡単な勝負事で勝敗を決めるらしい。
そして次の試合は梅雨ちゃんの言う通り、ある意味最も不穏な組の試合が始まる。



《中学からちょっとした有名人!!堅気の顔じゃねえ ヒーロー科爆豪勝己!!対
俺こっち応援したい!!ヒーロー科麗日お茶子!》





マイクさんの私情が入った実況で、一回戦目最後の試合が始まる。
開始の合図とともに麗日は仕掛ける。前にいる緑谷が、予測を話していく。




「事故でも触れられたら浮かされる!間合いは詰められたくないハズ!だからかっちゃん的には回避じゃなくて迎撃!」



麗日は爆豪に触れるため間合いを詰めるが、避け右の大振りで容赦なく麗日に爆破を浴びせる。煙幕が上がり体操服が見え、爆豪は反応するが上着を浮かせ、自身は爆豪の後ろを狙っていたがそれさえも反応した。







「触れなきゃ発動出来ねぇ麗日の”個性”。あの反射神経にはちょっと部が悪いぞ…」




誰かがそう呟いたけれど、でもお茶子ちゃんは考えている。






『すごいよ、お茶子ちゃん』





だが、観客席の一部からブーイングが飛ぶ。






《しかし正直俺もそう思…わあ肘っ》






マイクさんはお茶子ちゃんの"武器"に気づいてないのか、ブーイングをいう観客達に同意しようとしたがイレイザーさんが止めたらしくイレイザーさんの声が響いた。






《今遊んでるっつったのプロか?何年目だ?シラフで言ってんならもう見る意味ねぇから帰れ。帰って転職サイトでも見てろ》






イレイザーさんの声でブーイングが止まった。





《ここまで上がってきた相手の力を認めてるから警戒してんだろう。本気で勝とうとしてるからこそ、手加減も油断も出来ねぇんだろうが》




皆本気なのだ、だから誰も気を抜けない。抜く暇も抜く気もないのだ。



「ありがとう爆豪くん。油断してくれなくて」


今まで低姿勢で攻撃をしていたお茶子ちゃんが立ち上がり、両手の指を合わせた。
低姿勢での攻撃は蓄えてた武器を悟らせないため。






「勝あアアァつ!!!!!!!」




叫び、”個性”で浮かばせていた瓦礫を解除し落とした。






《流星群ーーーーー!!!!》





だが、振り落ちてきた瓦礫を爆豪くんは一撃で粉々にした。






《会心の爆撃!麗日の秘策を────正面突破!!!》





秘策を破られたが、それでも麗日は攻撃しようと踏み出した途端に倒れ込んだ。




「麗日さん…行動不能。二回戦進出爆豪くん──!!」






小休憩を挟み、切島と鉄哲の腕相撲での勝敗が決まり二回戦進出者は切島となった。
そして二回戦目は緑谷対轟だ。朝の控え室で緑谷に轟はつっかかった。緑谷の”個性”がオールマイトと似ていることで、敵視している轟。







「何か、気になることがあるのか」

『え?』




隣に座っている障子が静かに呟いた。





「顔が、困ったような表情をしているから」

『ちょっとね、この2人の試合を見るの緊張しちゃって』





そんな顔していたのかと、めぐは顔を触った。その姿を前に座っている爆豪は見ていたがめぐは気づいていなかった。






***




《今回の体育祭 両者トップクラスの成績!!
まさしく両雄並び立ち今!!
緑谷対轟!! START!!!》




開始の瞬間に轟は氷結をぶつけ、緑谷は右手の中指を犠牲にしあの"力"を放ち打ち消した。氷結が砕け、冷たい空気が生まれた。
轟が氷結を出し、緑谷が超パワーで打ち消す。その繰り返しが続いていたが、緑谷の右手はは全滅し紫色に変色している。
轟は氷結を足場にし、緑屋に間合いを詰め氷結をぶつけたが、また超パワーで崩した。だが今回は急に間合いを詰められたからか先程より高威力だった。そのせいか、次は左腕が変色している。
だが轟の身体も震えているのがわかる。






「悪かったな ありがとう緑谷。おかげで…奴の顔が曇った。その両手じゃもう戦いにならねぇだろ、終わりにしよう」





《圧倒的に攻め続けた轟!!とどめの氷結を────…》







再度、氷結を轟は出したが






「どこ見てるんだ…!!」





緑谷は既に壊れた指で弾き、氷結を崩した。
先程よりももっと色が変わっている。







「てめェ…なんでそこまで…」

「震えてるよ、轟くん。…”個性”だって身体機能の一つだ、君自身冷気に耐えられる限度があるんだろう…!?で それって左側の熱を使えば解決できるもんじゃないのか…?」




緑谷は傷ついた右手を動かし





「…っ!皆…本気でやってる 勝って…目標に近づく為に…っ一番になる為に!半分の力で勝つ!?まだ僕は君に傷一つつけられちゃいないぞ!」





握った





「全力でかかって来い!!」






その言葉にイラついたように轟は走り出すが、動きが鈍い。それはきっと体に霜が降りているからだ。
緑谷は低姿勢になり間合いをつめ、轟の腹に1発入れた。
轟が出す氷の威力は弱まっており、緑谷は握れない指を頬で引っ掛け氷を壊す。





「何でそこまで…」

「期待に応えたいんだ…!笑って応えられるような…かっこいい人に…なりたいんだ。だから全力で!やってんだ皆!」







一瞬動きが止まった轟に、もう1発入れた








「君の境遇も、君の決心も 僕なんかに計りしれるもんじゃない…でも…全力も出さないで一番になって完全否定なんてフザけるなって今は思ってる!だから僕が勝つ!!君を超えてっ!!」

「俺は親父を─────…」

「君の!力じゃないか!!」






一瞬見えた轟くんの子供らしい顔。そしてずっと否定し続けていた左側の”個性”







『…すごい…緑谷くん』






きっと緑谷くんは轟くんにとってのヒーローだ。





「かちてぇくせに…ちくしょう…敵に塩を送るなんてどっちがフザけてるって話だ…俺だってヒーローに…!!」




轟と緑谷が笑い合う。エンデヴァーが叫ぶが轟は1度も見なかった。
最後にお互いが全力を出しあい”個性”をぶつけあった瞬間に爆風が起こった。爆風が晴れたとき緑谷くんは





「緑谷くん…場外 轟くん───三回戦進出!!」








***




飯田、麗日、蛙吹、峰田と共にリカバリーガールの出張保健所に向かう。ボロボロになった緑谷が心配になり見に行ったのだ。








『「デ緑ク谷くくん!!!」』






保健所のドアを開けるとトゥルーフォーム姿のオールマイトさんがいた。







『オ!?』





名前を呼びそうになったが慌てて口を抑える。オールマイトさんもジェスチャーで"しー"と口に人差し指を当てた。
なんでここに?と思ったが、何かオールマイトさんと緑谷くんは関係があるのかも知れない。
ほとんど私達は緑谷くんと話せないまま、手術ということでリカバリーガールに締め出された。





***








『常闇くん、ダークシャドウくんよろしくね』

「ああ」

「ヨウシャシナイヨ!」








あっという間に来た二回戦目、常闇くんとダークシャドウは一回戦目で百ちゃんに攻撃を与える暇なく場外にした。
攻撃の速さと広範囲に渡る守備力…常闇くんたちはとても強い。先手必勝がいいと思うが、それは常闇くんもそう考えているはず。
スタートの合図ともに"飛ぶ"







「常闇くん場外!!久我さん─三回戦進出!!」








審判の判定が響き、観客の声が響く。
スタートの合図ともに常闇の背後に"飛んだ"がすぐさま常闇の真正面にテレポートし、常闇に触れ場外になる場所へ"飛ばした"






『ほとんど死角が無い広範囲の守備ができる常闇くんとダークシャドウくんだからこそ成功したよ!』





最初に常闇の背後に飛んだめぐにダークシャドウは反応した。だからこそ2回目のテレポートに反応するタイミングが、少し遅れた隙にめぐは常闇に触れ飛ばしたのだった。だが感覚を置かずに続けて”個性”を使うのは、とてもきつく息が上がった。






「ハヤスギルヨ!」

「完敗だ」







握手を試合、二回戦目の勝負が終わった。
切島と爆豪の試合で勝った方が次のめぐの試合相手だ。







《三回戦進出!!爆豪ーーー!!!》





次の相手が決まった。攻撃力も高く、反応速度も早い、試合時間が長くなれば長くなる程調子を上げていく爆豪への作戦は1つしか考えられなかった。だけどこの作戦で行くには彼女の許可が欲しい。





『お茶子ちゃん、ちょっといいかな?』





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