咲けよ花!

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※アニメの方の物語で進んでいます。苦手な方はご注意を









始まった期末テストは皆が教えてくれたお陰でわかる問題が多く、なかなかいい点数が取れると思う。上鳴くんと三奈ちゃんも百ちゃんに教えてもらい、全部埋められたと感謝していた。
そしてついに演習試験だ。






「それじゃあ、演習試験を始めていく。この試験でももちろん赤点はある。林間合宿行きたけりゃみっともねえヘマはするなよ」






相澤先生が言う。皆コスチュームに着替え集まった場所には、相澤先生以外にも雄英の先生達がずらりと並んでいた。何でこんなに先生達がいるんだろう…?と考えていたが、相澤先生の首元がモゾモゾと動いていることに気がついた。
なんだ?と思ったけれど相澤先生は気にしてない様子で淡々と話していく。私たちが情報を仕入れて、今回の演習試験について知っていることを話した。
上鳴くんと三奈ちゃんは入試の時の用なロボットだと聞いて、テンションを上げている。





「入試みてぇなロボ無双だろ!」

「花火!カレー!肝試しー!」




イエーイ!と2人はテンションを上げている。それと同じく相澤先生の首元に謎のモゾモゾの動きが激しくなり、ひょこっと雄英高校の校長であり私が住むアパートの所持者である根津校長が姿を現した。





「残念!諸事情があって今回から内容を変更しちゃうのさ!」




か、可愛い…。と思ったが、言葉は可愛くなかった。まさか今回から試験内容を変えるだなんて。そして察した、後にズラリと並ぶ先生達と私達とでの対人戦闘か。
先程までテンションを上げていた2人も固まった。




「これからは対人戦闘・活動を見据えた、より実践に近い教えを重視するのさ!というわけで…諸君らにはこれから、チームアップでここにいる教師陣一人と戦闘を行ってもらう!」




やっぱりそうなのか!何で察してしまったんだ!
確かにプロになれば戦闘する相手はロボではなく人だ。先のことを考えると、対人戦闘に慣れている方がいい。それはわかるのだが、いきなりのことに心が追いつかず少なからず動揺した。私も、皆も。それについて気づいているのだろけど、相澤先生は気づかないふりをして話を進め




「尚、ペアの組と対戦する教師はすでに決定済み。動きの傾向や成績、親密度…諸々を踏まえて独断で組ませてもらったから発表していくぞ。まず轟と、八百万のチームで…俺とだ」




不敵な笑みを浮かべた。この笑みを浮かべている時は良いことが無いと知っているので、相澤先生の顔を見ないようにした。







「次、障子、葉隠、久我。相手はスナイプ先生だ。それで久我」

『は、はい!?』

「お前はこれをつけろ、唯一3人1組のチームで後この試験は少しお前に有利かも知れないからな」






そう言い渡されたのは重りで足につけろと言われた。




「これで試験に参加しろ、いいな」

『へっ?』





まさかの言葉に素っ頓狂な声しか出なかった。え、私だけ重りあり?何でや!?
相澤先生を見たが、目を合わせてもらえず次の組発表に移っていた。






「それぞれのステージを用意してある。10組一斉スタートだ。試験の概要については各々の対戦相手から説明される。移動は学内バスだ。時間がもったいない、速やかに乗れ」







***







スナイプ先生が今回の試験の説明をしてくれ、何故相澤先生が私に重りをつけろと言ったのか理解が出来た。今回の試験で生徒が教師にハンドカフスを掛けるか、誰か一人がこのステージから脱出することだった。人数がほかの組より多い分、もし透ちゃんと障子くんが囮となってくれ私がテレポートし続けたら、脱出するのは他のみんなに比べ少し楽かもしれない。なので相澤先生は私に重りを渡してきたのだ。やっぱりあの笑みを浮かべてる時は良いことがない。
だけど私たちに用意されたステージは私にとって苦手な場所だった。確かにスナイプ先生の戦闘スタイルを考えると、壁等が多い方がいい。けれど私に取っては"見て"から"飛ぶ"ので障害物が多いとやりずらいのだ。

ステージは建物内で柱のようなものが沢山立っている。そして自分の足の重りは、少し動きづらい。だけど集中しなければ銃弾が当たってしまう。





『透ちゃん、障子くん。多分先生は私の”個性”を考えたら脱出する方が得意だと思ってると思う。私としてもそう思う』

「そうだな」






だけどこれじゃあスナイプ先生の思うツボだ。自分の得意なことを押し付ける方が、自分もやりやすい。けれど私たち3人は”個性”的に戦闘向きでは無い。







『それとハンドカフスも私が持つと思ってると思うの、テレポートすればスナイプ先生の懐に入れるから。最初は私がハンドカフスを持ってスナイプ先生に近づくけど最終的には透ちゃんに任せたい!』

「私?」

『隠密行動は透ちゃん得意でしょ?』






私はハンドカフスを持ってスナイプ先生の近くにテレポートする。これは罠みたいなもで、私が持っていると思えさせる為だ。
だけどスナイプ先生の反応速度は早い。隠れつつ、索敵対決を繰り返し私は持っていたハンドカフスを透ちゃんに渡す。
透ちゃんは手袋と靴を脱ぎ、ハンドカフスを持った。その時スナイプ先生が発煙筒を投げ、ステージが煙だらけになる。






「任せろ」






障子くんが前に出て囮となる。






「無謀過ぎるな!」







障子くんはスナイプ先生の銃弾をスレスレで避ける。私は障子くんが囮になってくれている間にスナイプ先生の近くにある壁にテレポートし、銃を持っているスナイプ先生の右手を万力鎖を巻き付けた。その隙に、透ちゃんがハンドカフスをスナイプ先生に掛けた。
その時少しスナイプ先生が動き、肘が透ちゃんの胸に当たったらしい。




「スナイプ先生ー!」

「ち、ちが!これは!」




ベシベシッと音が聞こえるのでスナイプ先生は叩かれているらしい。
だけどその時リカバリーガールの声が聞こえた。






《報告〜〜障子・葉隠・久我チーム…条件達成!》






『やったー!』



透ちゃんには少し申し訳なかったけれど、条件達成できたのは嬉しかった。
障子くんとハイタッチし、透ちゃんとはハグした。



『ありがとう〜2人とも!』

「やったな」

「林間合宿だぁ!!」






これで期末テストは終了した。この試験で1歩進んだ人、壁に阻まれた人、悲喜交々の中、その一方で奴らが三度動き出そうとしていたことに私達が知るはずもなかった。





***


次の日学校に行くと、上鳴くん、三奈ちゃん、切島くん、砂糖くんが暗い顔をしていた。三奈ちゃんに至っては泣いている。




「皆…土産話っひぐ楽しみに…うう してるっがら!」



確かに一番楽しみにしていた2人が、昨日の演習試験で条件が達成できなかった。とても楽しみにしてたんだろう。





『三奈ちゃん泣かないで、ほらチーンしなチーン』



三奈ちゃんの鼻にティッシュを持っていけばチーンと鼻を拭いた。そんな4人がほっとけないらしく緑谷くんがフォローをするが、上鳴くんは荒ぶっており緑谷くんを目潰ししていた。
そんな中で瀬呂くんが自分もわからないと言った。



「峰田のおかげでクリアしたけど寝てただけだ とにかく採点基準が明かされてない以上は…」

「同情するならなんかもう色々くれ!!」

『金をくれ!!』

「どうしたんだ久我!」

『ここはもう、金だと思って。お金欲しい』





私の金をくれ発言に瀬呂くんは驚いていた。すると相澤先生が入ってきたことに皆慌てて席に座る。





「おはよう 今回の期末テストだが…残念ながら赤点が出た。したがって…林間合宿は全員行きます」

「「どんでんがえしだあ!!!!」」




相澤先生は子供に見せられない笑顔を見せ、赤点組は叫んだ。よかったよかった。
でもやっぱり林間合宿行くのはなつめと離れるということなので少し寂しい。
きちんと家に帰ったらなつめに話さなきゃ。夏休み入ってすぐ、少しでも思い出を作ってあげたいな。プール、海、花火、バーベキュー、スイカ割り、でも外ばっかりだと熱中症が少し怖いな。なら水族館?そう言えば物心ついてから水族館行ったっけ?
うん、涼しげでいいな水族館。ふれあいコーナーとかもあるし、イルカのショーとかもみれたらいいな。あ、やっぱりなつめと離れるのさみしい。もうこの際ブラコンでもいい。もうブラコンヒーローだ私は。そう書けば良かったなヒーロー名の時に。そう言えば林間合宿ってことはイレイザーさんも一緒だよね。なら今回はオールマイトさんとマイクさんの2人に頼むしかないな…。また迷惑かけちゃうな…………林間合宿になつめを連れて行くっていい案じゃない?




「じゃあ合宿のしおり配るから後に回してけ」

『先生!質問です!』




ガタッとめぐが立ち上がる




『弟を連れて行っちゃダメですか!』

「ダメです、ほら回してけ」

『ふぐぅっ!』

((なんで弟が関わると少しお馬鹿になるんだろ…))




そうクラスの皆は思っていた。

時は進み、放課後─────







「まぁ 何はともあれ全員で行けてよかったね」

『もう1回相澤先生に抗議しに行ったけどダメだった』

「何を講義しに行ったの?」

『弟連れていくの』

「あ─────」



そりゃそうだろうな、と思ったが心の優しい尾白は言えなかった。
そして皆が合宿のしおりを見ながら持ち物について話している。各自、買い足すものがあるらしい。そこで葉隠が提案した。



「あ じゃあさ!明日休みだし、テスト明けだし……ってことでA組みんなで買い物行こうよ!」

「おお良い!!何気にそういうの初じゃね!?」

「おい 爆豪 お前も来い!」

「行ってたまるかかったりィ」

「轟くんも行かない?」

「休日は見舞いだ、先週行ってねぇし」

「ノリが悪いよ空気読めやKY男共ォ!!」




それに上鳴が同意し、切島は爆豪を誘うが行くつもりが無いらしい。緑谷も轟を誘うが、ダメだった。




『そう言えば瀬呂くん、赤点って本当?』

「傷に塩塗らねぇでくれ、てか相澤先生言ってたろ?」

『私朝のHR全く話聞いてなかったや』

「ねぇねぇ、めぐちゃんも瀬呂くんも行くでしょ!?」




葉隠が2人が話している間に入って行った。瀬呂は行くと答えたが、めぐは少し渋っていた。



『うーん、なつめ置いてでかけるのは…』

「あ!じゃあ弟くんも連れてきなよ!ね?!」

『え、いいのかなー…』

「いいっていいって!連れて来いよ!」




葉隠と切島がそう言ってくれたので、めぐはお言葉に甘えることにした。




「めぐ行くのか…」

「へ!?あ、そうみたいだね!?」




轟の独り言が聞こえ、緑谷は答えた。
どうやら久我行くなら行きたいようだが、先週お見舞いに行ってないため2週間も空けることに躊躇しているらしい。
そんな轟くんの事情は知らずめぐ達女子は皆でのお出かけについてワイワイと話していた。


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