ange
□かなでる
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まるで弦のようだ…と思う
「何だ…?」
■かなでる■
まるで法則性を以て光を集めているかのようで、また同じように散らばっていく。
かといっても再び集合すればまたもとのように控えめに、そして確かに輝き始める。
黒い絹、もとい滑らかに肩に流れた彼の髪は収束した楽器の弦のようだ。
「どうした?…一人で何を笑っている?」
何も、と答えようとして彼と目があった。
彼は穏やかに、でも瞳はいたずらっぽく輝かせて
「私には教えてくれないのか?お前の笑顔の理由を教えてくれ……名無しさん」
そのまま、私の髪を一房とって手で、唇で弄び始める。