ange
□季節感
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聖地にも季節感を!
なんて、本当にいらないことをしてくれましたね女王陛下。
このところ毎日ルヴァ様にお弁当を作って執務室に届に行く。別に「名無しさんの料理が三度食べたいなんて、わがままでしょうか…?」とか言われてほだされてきゅんきゅんして執務室に通い詰めているとか、どうでもいい理由をつけてでもいいから傍にいたいとかそんなことはない。絶対にないけど。
あー、蝉…この間までいなかったのに…あー、うるさい…ていうか
「あつい」
「何がですか?」
「何もかもです」
冷房のない地の執務室。手元にほっこりというかもう熱源、いや、発汗源となっている緑茶は弁当を食べ終え、今は一休みがてらに読書をしている(きっと取り上げないとずっと読んでいる)ルヴァ様にさっき淹れてもらった。
「はあ、そうですかー」
とぼけた返事だなー、と思っているとすぐ本に戻る視線。
ていうか
「ルヴァ様」
「はい、どうかしましたかー?」
「あつくないんですか?」
「何がですか?」
「全部」
外のかんかん照りの太陽とか蝉の声とかこの部屋の暑さとかそのだぼっとした服だとか熱々の緑茶とか。
「あー、全く平気ですよー」
そうみたいですね。
ほやっと笑った顔はいつもと何ら変わりなく。いつも通りかっこよくてちょっとかわいいです。
じゃなくって