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□ORANGE DAY
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「4月14日はオレンジデーである」
「バレンタインデー、ホワイトデーと想いを通わせた恋人たちが更に愛を重ねるための日だ」
「行ってきます」と玄関を開けて外に出ると、両隣の家に住む幼なじみの元就と三成が腕を組んで立っていた。
二人揃って整った顔をしている幼なじみ
モテる。
確かに、目つきが悪くて無愛想で口を開けばきつい言葉ばかり出てくる二人とお付き合いするとしたら、相当頑丈でないと無理だろう。勿論心が。
よく告白されているのは見たことがあるが、鉄の精神をもつ女性とは出会えていないからか彼女はいないらしい。
というよりも、当の二人は恋愛には興味がないと思っていた。
だから、今まで数多の女子のハートを打ち砕いてきたこいつらが、朝一でおはようすら言わず開口一番に恋愛イベントについて語りだしたことに驚きを隠せない。
「聞いているのか」
「は。ああ、うん」
「今日はオレンジデーだと言っておる」
「これからお菓子会社の陰謀に利用される日だね」
「兎にも角にも」
「はは、聞けよ」
バレンタインデーは確かにチョコレートはあげたが(勿論義理でセコイア)不満そうだったのが不満だ。
ホワイトデーもいただいたが。元就は真空パックの切り餅、三成は秀吉様(づけ強要)金太郎飴だった……思い返しても微妙だ。
二人とは小学生のときから同じ学校に通っているが、クラスや課が一緒ではないしバレンタインデー&ホワイトデー(以下、V&W)の遣り取り以外、たまに登下校を共にするくらいしか接点がない。