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□ORANGE DAY
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「今日はV&Wを経た我らのための日である」

「おい、貴様違うだろう」

「訂正だ。我と名無しさんのための日だ」

「ふざけるな。私と名無しさんのための日だ」

「貴様…ぬけぬけと」


元就と三成は昔から仲が良くない。
よく、しょうもないことで喧嘩していた二人の間に入って泣きながら仲裁したのは、今となっては昔のことだ。

最近落ち着いていたから、体とともに心も成長して分別がついてきたんだなー、とか思っていたのに相変わらずの犬猿の仲なのか。

というか、会話があほらしい。
そもそも、V&Wは小学生の低学年から儀礼的にやりとりしているだけなのに突然オレンジデーが何たらと言い出したことが、意味不明なことこの上ない。

成長した私は睨み合う二人を仲裁するのは面倒くさいのだが。男二人が邪魔で家から出れない。


「はいはい、どいて。私は出かける」

「今日は休日だぞ、どこへ行くのだ?」

「場所によっては許可しない」


許可ってなんだ。土曜日恒例の北条太極拳教室に行くのどうして三成の許可が必要なのか分からない。


「なんなんだ…」

「愚図が。オレンジデーだと何度もいわせるでない。今日は我とともに過ごすのだ」

「失せろ毛利。名無しさん、私と来い」

「え、ちょっと」

「石田!その手を離せ」

「貴様が離せ!」

「腕千切れる腕千切れる!それか体の真ん中で真っ二つになる…!」

「名無しさんが真っ二つになるぞ、毛利」

「はっ、貴様が離さぬなら知れたこと。むしろ半分は確実に我のものよ」

「成る程。そういう考えもあったか…」

「いやいやないない。ないから」


元就も三成もどうかしている。今日はなんて厄日だ。
確かこれ前もあったぞ。小学生のときに、二人が私の両腕を引っ張ってよく泣かされたやつだ。いや無理痛い。
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