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□イマヤヤマイ
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名無しさんは鼻歌を歌いながら、台所に立っていた。夕飯の仕度をしながら夫である三成の帰りを待っているのだ。
あと30分ほどでいつもの帰宅時間だ。そろそろ仕上げというところで再度腕を捲り直したところだった。
ガチャガチャガチャガチャ
「三成?」
慌ただしく鍵穴が鳴る音がした。名無しさんはコンロの火を止めて首をかしげながら玄関に行く。
「今帰った」
ドアを開けて家に入ってきたのはこの家の主、石田三成その人だ。
正しく彼であることは間違いないが、
「おかえり、早いね…どうしたの?顔色が悪いよ。それにすごい汗」
「貴様は勘が良いな。さすが我が妻だ。何、少し腹痛がな。」
「大事ないぞ。医院には行ったのだ」と上着を脱ぎながら廊下を進む背中を追いかける名無しさんは違和感を感じた。
と、脱いだ上着からはらりと一枚の紙が名無しさんの足元に落ちた。
三成はしまった、という顔をしたが名無しさんが拾う方が早かった。いつもなら三成の方が早く拾うだろうにそれもおかしかった。
「何々…血液検査」
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