短編

□好き
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5限目というのは

とてつもない眠気が襲ってくる。


学生にとって、過酷な時間。

ただでさえ眠いというのに最悪なことに、教科は数学。


黒板に書かれる公式が暗号に見え、

更には教師の解説が子守唄にさえ聴こえてくる。



そんな中…僕は屋上に来ている。

もちろん、唯一僕が友と呼べる西園寺李桜も一緒に。



『今日も良い天気!お昼寝日和だぁー』

「そうですね。」




それっきり会話が途切れ、沈黙が訪れた。
別に普段と変わったことはなかった。

が、

今日はその沈黙を破るしかなかった。



…僕が今、一番気になっていることを聞いておきたい、…と思ったから。

「あの、今日…誕生日ですよね?」


『うん、そうだよー。

てか、よく誕生日知ってたね!私言ったっけ?』

「あ、いや、李桜からは聞いていませんが、犬と千種から…聞きました。」


『へぇー

あいつらがねぇ…知ってくれてたんだな』


そう言い、

微笑む李桜の横顔は

少女とは思えない程に綺麗でした。

あまりにも綺麗に微笑むものだから



本当は僕が知りたいと言ったら

2人が調べてくれていたのだと言い出せませんでした。


「それで聞きたいことがあるんですけど

良いですか?」

『良いけど、急にどーした?』


やはり李桜は鋭いですね。


「今朝見たのですが
靴箱にたくさんのラブレターがありましたよね!

しかも、
今日は李桜の誕生日だからいつもより多かった…ですよね?



その…どうするんですか?」



僕は一番気になっていたことを、やっと言えた。


李桜が創り出す少しの間が、とても長く感じてしまう。




『あぁー。あれねぇ。
う〜ん、多分

イイ人がいたら"付き合う"かもしんない。』




何ですか?この胸の締め付けは...

李桜が僕の知らない男と付き合う?




「……で下さい。」

『へっ?骸もう一回言ってくれない?』



「付き合わないで下さいって言ったんです!!!」


『え?な、なに言ってんの?骸...』


本当に何を言っているのか

僕は。


考える前に口にしてしまっていた


僕の本音が出てしまう。




「僕がいるじゃないですか!



…僕にしませんか?」





ボンゴレが言っていた


"好き"

という気持ちが分かった気がしました。





-end-
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