Short

□とりあえず
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"なんとかモンスターってアニメに出てくる、モンスターボールみたいだな"と
彼に大しての第一印象はそんなふざけた感想で終わっていた。

成績優秀、個性はかなり強い。オマケに顔が良いときたものだ。
神様は理不尽な分配をするななんて、自身と比べて苦笑しながら、すげぇすげぇと声を上げる皆につられて彼を眺める。ただそれだけだった。

単純に、凄いなぁと。あまりに自分と違う立ち位置にいるものだから そんな、安直な考えしか浮かばず、正直 彼… とどろき(漢字も知らないし、名前も忘れた)の事は目の端にある位の存在であった。
そうであった筈だった。



なのに、なんなんだ、この現状は。




「…………駄目か?」

「…や、その…」


じっと見つめるその瞳は、紛れもなく とどろき のモノで、その瞳に写っているのは紛れもなく私であって

「そもそも、私達そんな喋った事ないよね…てか、喋った事ってあったっけ…」

「3回はある。1回目は確か、6月18日の11時23分で、その時はオレが消しゴムを落とした時に名無しさんが拾って「はい」と言って渡してくれた。流石にその時の「はい」の声のトーンは明確には覚えてないけどな」


覚えてたら、逆に怖いわなんてツッコミ
普段のテンションなら言えてるハズの言葉は、緊張と困惑で出てこれないらしい。
というか、この人こういうキャラだっけ…
ストーカー紛いの行為を、仮にも好きな人にこう、サラッと言えちゃうところに何故かカリスマ性を感じてしまう。

なんというか、彼…"とどろき'が今私にしているこの行為は、俗に言う告白ってやつで…あまりにも突拍子もなく起こったイベントに、かなり困惑しているところだ。

しかも、あの、とどろき、だ。


「……気付いたら、名無しさんはオレにとって目で追う存在になってたんだ。そん時はこの感情がなんなのか…よく分からなかったが、緑谷なんかに相談して、答えが出たんだ。」

"だからすぐさま行動に移った"


普段クールなとどろき君のイメージとは程遠い彼からの告白イベントは、どうやらかなり女子の心をわし掴みしそうな、そんか感じだ。なんだお前計算してんのかって

あまりにも真剣な眼差しでコチラを見てくるものだから、キュンなんて、慣れない音が少しばかり心の中に響き渡る。

ただ、やっぱ……………


「……まぁ、その…なんというか……」

「…………やっぱイキナリすぎたな…悪ぃ、忘れてくれ……」

「や、断ったわけじゃないよ。あのさ」


とりあえず、友達から
(今までそんなに喋った事無かったから…今日の放課後、一緒に帰ってみる?)(……!!!)
なんだか、スグに落ちる予感

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